- 著者
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齋藤 道彦
- 出版者
- 中央大学人文科学研究所
- 雑誌
- 人文研紀要 (ISSN:02873877)
- 巻号頁・発行日
- vol.88, pp.51-80, 2017-09-30
日本は、一七世紀から南シナ海の島・礁と関わりを持っていたが、一九一七年には占有したと主張した。日本は、フランスとの間で一九三三年から領有をめぐって対立したが、南シナ海の島・礁の領有に「新南群島」という名称を付与し、日中戦争期の一九三九年三月三〇日に「新南群島」領有に対する「法的手続を完了」し、台湾総督府が管轄した。しかし、日本は一九四五年八月一四日、連合国に降伏し、一九五一年九月のサンフランシスコ平和条約で南シナ海諸島・礁の放棄に同意し、一九五二年四月二八日、同条約は法的「放棄」が発効した。この領有行為は、その後の中華民国による「一一段線」主張とそれを引き継いだ中華人民共和国による「九段線」主張の原型となったという点で重要な意味を持つことになった。