- 著者
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奥田 安弘
- 出版者
- 法学新報編集委員会
- 雑誌
- 法学新報 (ISSN:00096296)
- 巻号頁・発行日
- vol.124, no.9-10, pp.51-125, 2018-03-05
本稿は、平成二八年一二月一六日に公布された養子縁組あっせん法の意義と課題を考察するものである。まず、養子縁組あっせんの法体系上の位置づけを考える。民間事業者による養子縁組あっせんは、社会福祉法上の第二種社会福祉事業とされてきたが、届出だけが求められ、罰則がないこともあり、これまで十分な監督がなされてきたとは言い難い。この度成立した養子縁組あっせん法は、これを届出制から許可制に変更するものであり、それ自体は評価できるが、あっせん業務の質を確保するという面では課題が多い。とくに実父母からの同意に十分な熟慮期間が設けられていないことは、後に同意の撤回を招くおそれがあり、児童の利益を保護するうえで問題である。現に、養親希望者に児童が引き渡された後に、最終的な同意の確認がなかったとして、実母への返還に至るケースが見られる。また国際養子縁組の場合は、児童の取戻し自体が事実上不可能となってしまうが、養子縁組あっせん法では、そのような国際養子縁組が完全に排除されていない点が問題と思われる。最後に、これらと同様に、あっせん業務の質を確保するうえで問題と思われる点を幾つか取り上げる。