著者
柴田 弘捷
出版者
専修大学人間科学学会
雑誌
専修人間科学論集. 社会学篇 (ISSN:21863156)
巻号頁・発行日
vol.10, pp.43-64, 2020-03-23

本稿は安倍政権によって進められている「働き方改革」の下で変わりつつある日本の「雇用されない働き方」の一形態である「フリーランス的な働き方」の実態を明らかにしようとするものである。まず「働き方改革」の狙いと内容を素描し、そこで追求されている「多様で柔軟な働き方」の一つとしての「フリーランス的な働き方」をしている者の量的把握を試みたいくつかの試算を紹介した。その数は少ないもので230万人、多いもの470万人となっていた。「フリーランスの就業実態」以降で、いくつかの実態調査を基に、その類型、属性、業務内容、就業実態、収入の現実および「フリーランス」の意識(満足感、問題点、課題認識等)を明らかにした。「フリーランス的働き」をしている者は、属性、業務内容、就業時間、収入も多様でまさに千差万別であった。ただ、契約期間の短さ、就業時間の短さが特徴的に浮かび上がってきた。また働き方への満足度が強いにもかかわらず、仕事と収入が安定しないこと、「自営業主」扱いであるため、雇用者に保障されている様々な保険が適用されないことへの不満が強いことが明らかになった。最後に、現代の「フリーランス的働き方」の典型と思われるギグワーカー(gig worker)の分析も行った。それはまさに究極の不安定就労であることを指摘した。

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