著者
小森田 龍生
出版者
専修大学人間科学学会
雑誌
専修人間科学論集. 社会学篇 (ISSN:21863156)
巻号頁・発行日
vol.12, pp.93-101, 2022-03-23

本稿では、日本における性的少数者(ゲイ・バイセクシュアル男性)のメンタルヘルス悪化のメカニズムを、要因間の関連性と時間の経過に伴う影響力の変化に注目して明らかにすることを目的として実施した調査結果の一部を報告する。昨年度、本誌に掲載された調査報告に続く本稿では、メンタルヘルス問題と深いかかわりがある自殺念慮や自殺未遂経験(歴)、そのほか関連が予想される心理的変数およびカミングアウト経験の有無等を中心に集計結果を提示する。昨年度の調査報告と異なる視点として、本稿では異性愛男性とゲイ・バイセクシュアル男性との比較にくわえ、ゲイ男性とバイセクシュアル男性との比較を行った。その結果、ほとんどの変数に関して異性愛男性とゲイ・バイセクシュアル男性との間では異なる回答傾向が認められたが、ゲイ男性とバイセクシュアル男性との間では共通した回答傾向が確認された。たとえば自殺念慮や自殺未遂経験とも異性愛男性に比べてゲイ・バイセクシュアル男性の該当割合が高く、ゲイ男性とバイセクシュアル男性との間には目立った違いはなかった。ゲイ男性とバイセクシュアル男性との間で比較的に大きな違いがあったのはカミングアウト経験の有無であり、ゲイ男性のカミングアウト経験割合が高かった。カミングアウト経験とメンタルヘルスとの関連を調べたところ、カミングアウト経験がある場合にメンタルヘルスの状態が悪い傾向にあることが確認された。

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