著者
松坂 裕子 知地 英征 YUKO MATSUSAKA CHIJI HIDEYUKI 藤女子短期大学 生活学科 食品栄養学研究室 藤女子大学 人間生活学部 食品機能学研究室
出版者
藤女子大学
雑誌
藤女子大学・藤女子短期大学紀要 第2部 (ISSN:02869470)
巻号頁・発行日
no.34, pp.27-31, 1996-12

ハスカップのアントシアニン色素を塩酸メタノールで溶出し,Dowex50Wカラムを用いて精製した。ハスカップ色素の安定性に及ぼす糖,有機酸,L-アスコルビン酸の影響を検討した。1. 糖類添加では,5.0~20.0%濃度,いずれも吸光度の増大が認められ,増強された赤色は長時間安定であった。また,糖濃度が高い程,濃色化効果は大きかった。2. 有機酸0.8%添加でも濃色化効果を示し,その効果を長時間持続した。3. L-アスコルビン酸添加では.色素は低温(4℃),室温(20℃)ともに急激に退色が進んだ。
著者
阿部 典子
出版者
藤女子大学
雑誌
藤女子大学・藤女子短期大学紀要. 第II部 (ISSN:02869470)
巻号頁・発行日
vol.12, pp.13-21, 1974-12

本研究に於いてパイクラストの薄層形成ともろさについて油脂量を0%〜100%までの9段階の配量と油脂の種類としてバター,パイバター,ネオマーガリン,コーンマ-ガリン,ショーートニソグ,マリーナ, ラーマを用いて折り重ねを2〜6回まで行なった場合の影響及びバターとコーンマーガリンの混合による成品への影響について検討し,次の結果を得た。1)パイクラストの薄層の形成ともろさは,油脂量に左右され油脂量50%以下ではパイ特有の連続した層形成は困難で厚く硬い。100%は薄層で連続的でありもろいが,味は油脂量が多いため油っぽい。外観は100%よりは劣るが80%,70%が好まれる。2)油脂の種類としてはバターを用いた場合には生地を十分冷却(7℃)して焙焼すると薄層となり浮きがよい。焼き色,風味は他の油脂より優れている。パイバターは層状は良好であるが風味はバターより劣る。コーンマーガリンはパイバターのように安定した層を形成し,風味はパイバターより良好で融点37℃で比較的高くパイ用の油脂として使用出来ることが認められた。ネオマーガリン,ショートニング,マリーナ,ラーマはパイ作りには不向きと認められた。3)油脂の種類と折り方の関係はバター,ネオマーガリンでは重ね4回、5回が層形成がよい。パイバターは重ねの影響を受けず常に安定した組織を形成する。コーンマーガリン,マリーナ,ラーマは重ね3回、4回が浮きがよくこれより重ねが多過ぎても少な過ぎても層の明瞭さが失なわれる。ショートニングは重ね2回,3回がパイ様であるが,重ねが多くなると不連続なビスケット状となる。油脂の種類によって伸展性と固定化が異なるので油脂の性質に応じた重ね数を選択する必要を認めた。4)バターとコーンマーガリンの混合に於いてバターにコーンマーガリンを10%混合すると重ねが少ない2回,3回が薄層で連続的な層となるが混合割合が変ると油脂の固定化が悪く不連続な層を形成する。コーンマーガリンは混合物よりむしろ単独で使用した方が膨化や薄層形成には良好であることが認められた。