著者
片山 健二
出版者
農林水産省農業研究センター
雑誌
農業研究センター研究報告 (ISSN:02893207)
巻号頁・発行日
no.33, pp.11-71, 2001-01
被引用文献数
2

サツマイモデンプンの用途は水飴,ブドウ糖などの原料が主体で,他にハルサメ,わらび餅などがあるが,その利用範囲は固定化している.しかし,用途拡大につながるデンプンの質的改変についはこれまであまり研究が行われていない.そこでサツマイモのデンプン組成を遺伝的に改変するための基礎的知見を得ることを目的として,サツマイモおよび近縁野生種の遺伝資源についてデンプン組成や糊化特性の変異を調査するとともに,交雑や突然変異誘発処理による変異の拡大を試み,変異体の探索と特性解明を行った. 1.サツマイモ遺伝資源におけるデンプン組成変異体の探索 世界各地から収集したサツマイモおよび二倍体I.trifidaの遺伝資源のアミロース含量を調査し,変異体を探索した. 2.デンプンの理化学的性質の品種間および年次間変動 サツマイモ20品種・系統を1996~1998年の3年間供試してデンプンの理化学的性質を調査し,1998年は21品種を供試して蒸しいもと蒸切干しいもの食味も調査した. 3.交雑および突然変異誘発処理によるデンプン組成の変異拡大 サツマイモの品種間交雑および突然変異誘発処理による変異拡大を試みるとともに,二倍体I.trifidaの突然変異誘発処理による変異拡大を試みた. 4.デンプン組成および糊化特性変異体の特性解明 まず,サツマイモと二倍体I.trifidaとの種間雑種のデンプン特性を解析した.次に,サツマイモおよびI.trifidaのWxタンパク質(アミロースを合成する顆粒性デンプン合成酵素)量を調査した.最後に,サツマイモで初めて発見した糊化特性変異体「関系92(関東116号)」のデンプン特性を解明した.
著者
井邊 時雄 赤間 芳洋 堀末 登
出版者
農林水産省農業研究センター
雑誌
農業研究センター研究報告 (ISSN:02893207)
巻号頁・発行日
no.34, pp.37-48, 2001-02
被引用文献数
3

農業研究センターにおいて,ヒノヒカリ/稲系517の交配組合せの後代より育成された関東188号は,水稲農林366号として登録され,ミレニシキと命名された.この品種の特徴は以下のとおりである. 1.出穂期は朝の光並であり,「中生の早」に属する.稈長はやや短く,一穂粒数の多い穂重型の草型を持つ.強稈で耐倒伏性は強いが,湛水直播栽培での耐転び型倒伏性は中程度である. 2.葉いもち,穂いもちに対する圃場抵抗性は強い.白葉枯病抵抗性は「やや強」である.縞葉枯病抵抗性は持たない. 3.収量性が高く,標準品種より10%程度多収である.また,ほとんどの試験地,栽培様式において標準品種の収量を上回り安定して多収である.直播栽培での収量は,移植栽培での標準品種の収量並である. 4.食味は日本晴に優るが,キヌヒカリにおよばず,「上下」と評価される.玄米の外観品質はやや劣るが,直播栽培では「中中」である. 5.以上の多収性,直播適性,いもち病抵抗性などの特性から,ミレニシキは低コスト栽培に適した新しい品種である.
著者
樽本 勲
出版者
農林水産省農業研究センター
雑誌
農業研究センター研究報告 (ISSN:02893207)
巻号頁・発行日
no.15, pp.p15-29, 1989-03
被引用文献数
2