著者
溝渕 佳史 永廣 信治 荻野 雅宏 McCrory Paul スポーツ頭部外傷検討委員会(日本脳神経外傷学会)
出版者
一般社団法人 日本脳神経外傷学会
雑誌
神経外傷 (ISSN:03895610)
巻号頁・発行日
vol.39, no.1, pp.1-26, 2016

<p>【 解 説 】 「スポーツにおける脳振盪に関する国際会議」 はおよそ4年に一度開催される。2001年にウィーンで第1回会議が開かれ,第2回 (プラハ,2004年),第3回 (チューリッヒ,2008年) を経て,2012年には再びチューリッヒにて 「第4回国際スポーツ脳振盪会議」 が開催された。この4回にわたる国際会議の目的は,選手の安全確保と健康改善であり,プロフェッショナル,アマチュアを問わず,スポーツで脳振盪を負った選手の状態を正しく評価し,安全にスポーツに復帰させることを目指すものである。さまざまな分野のエキスパートが討論を重ねて 「共同声明 (consensus statement)」 を発表する一方,脳振盪を負った選手の臨床所見を競技場内外で明らかにする評価ツール 「Sport Concussion Assessment Tool (SCAT)」 が作成された。</p><p>SCAT2からSCAT3への改訂にあたって変更されたのは,重症な状態を早期に評価できるようにしたことである。はじめに救急対応を取るべき状態 (Glasgow Coma Scaleが15点未満,精神状態の悪化,脊髄損傷の可能性,症状の進行 ・ 悪化あるいは新たな神経症状の出現) が記載された。そのため,SCAT2では3番目の評価項目であったGlasgow Coma Scaleが1番目に変更され,意識状態の評価を早期に行うことを重視している。さらに5項目目に頚部の評価が加えられ,脊髄損傷などの重症外傷を評価できるよう改訂された。バランステストの項目では,SCAT2ではModified Balance Error Scoring System (BESS) を用いて評価していたが,SCAT3ではBESSとつぎ足歩行の両方か,もしくはどちらか一方を選択できるようになっている。またSCAT2は10歳以上を対象にしていたため,SCAT3では13歳未満の選手用にChild SCAT3が追加された。</p><p>以下は,</p><p>McCrory P. Consensus Statement on Concussion in Sport: The 4th international Conference on Concussion in Sport, Zurich, November 2012. BJSM 47(5): 250-258, 2013.の翻訳である。</p>
著者
篠永 正道 鈴木 伸一
雑誌
神経外傷 (ISSN:03895610)
巻号頁・発行日
vol.26, no.2, pp.98-102, 2003-11-28
被引用文献数
8