著者
中丸 茂
出版者
駒澤大学
雑誌
駒沢社会学研究 (ISSN:03899918)
巻号頁・発行日
vol.34, pp.91-114, 2002-03

本研究は,顔文字が文章の信頼度・感情度・評価度に及ぼす影響を評定尺度法を用いて考察することを目的とした.調査Iでは,顔文字の有無や顔文字の種類の違いが,文章の信頼度・感情度・評価度に及ぼす影響を検討し,文章と顔文字の意味が一致している場合には信頼度・感情度・評価度とも高くなり,不一致の場合には信頼度・感情度・評価度とも低くなるが,顔文字の有無で変化のみられない場合(意味の融合)もあることが確認された.調査IIでは,顔文字の位置の違いが文章の信頼度・感情度・評価度に及ぼす影響を検討したが有意差はみられなかった.以上のことから,文章と顔文字の意味が不一致の場合には誤解を生じさせる可能性が高くなることが考えられ,不一致の組み合わせを用いる場合には,相手との関係を考慮して使用していく必要があるだろう.また,調査間において,いくつかの項目といくつかの項目間の差で有意差が認められたが,これは,メール使用者の増加にともなって短文や顔文字を使う機会が増加したためと考えられる.
著者
高橋 良博 森山 敏文
出版者
駒澤大学
雑誌
駒沢社会学研究 (ISSN:03899918)
巻号頁・発行日
vol.26, pp.101-116, 1994-03

本研究は、前報『仏教におけるイメージの研究I』(駒沢大学社会学研究第25号1993.3.)にひき続き、「遍」と呼ばれる単色の円図形の観察課題のもたらす効果を検討した。ここでは、刺激図自体が持つ効果を分析するため、「図形から思い浮かぶことや連想されるものを、思い浮かぶ順に記述する」という課題で、被験者に5分間の反応を求めた。その結果、120名の被験者から652の反応を得ることができた。これらの連想されたイメージの内容を、ロールシャハ・テストのスコアリングに基づき整理したところ、全体の数の上ではObj系の反応が第1位を占め、第2位がPlanet(天体)系、第3位がFood系、第4位がAbst系の反応であった。また、本研究に参加した学生は、経済学部経済学科、経済学部商学科、仏教学部禅学科、仏教学部仏教学科の各専攻の学生が含まれていたが、上記の連想されたイメージの内容の割合や反応の質は、統計的検討は行われていないものの、被験者の専攻学部・学科等により若干の特色が観察された。これは、実験の行われた時間等の要因の影響を考慮しなければならないが、一方では被験者の関心・興味等を含む、環境への認知のありかたが、図形から連想されるイメージの内容にも反映しているものと考えられた。