著者
高橋 良博 森山 敏文
出版者
駒澤大学
雑誌
駒沢社会学研究 (ISSN:03899918)
巻号頁・発行日
vol.26, pp.101-116, 1994-03

本研究は、前報『仏教におけるイメージの研究I』(駒沢大学社会学研究第25号1993.3.)にひき続き、「遍」と呼ばれる単色の円図形の観察課題のもたらす効果を検討した。ここでは、刺激図自体が持つ効果を分析するため、「図形から思い浮かぶことや連想されるものを、思い浮かぶ順に記述する」という課題で、被験者に5分間の反応を求めた。その結果、120名の被験者から652の反応を得ることができた。これらの連想されたイメージの内容を、ロールシャハ・テストのスコアリングに基づき整理したところ、全体の数の上ではObj系の反応が第1位を占め、第2位がPlanet(天体)系、第3位がFood系、第4位がAbst系の反応であった。また、本研究に参加した学生は、経済学部経済学科、経済学部商学科、仏教学部禅学科、仏教学部仏教学科の各専攻の学生が含まれていたが、上記の連想されたイメージの内容の割合や反応の質は、統計的検討は行われていないものの、被験者の専攻学部・学科等により若干の特色が観察された。これは、実験の行われた時間等の要因の影響を考慮しなければならないが、一方では被験者の関心・興味等を含む、環境への認知のありかたが、図形から連想されるイメージの内容にも反映しているものと考えられた。