- 著者
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篠崎 彰彦
- 出版者
- 内閣府経済社会総合研究所
- 雑誌
- 経済分析 (ISSN:04534727)
- 巻号頁・発行日
- no.179, pp.36-54, 2007-08
- 被引用文献数
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本研究は、全国9500社を対象に実施された平成15年度情報処理実態調査をもとに、どのような企業改革が具体的な情報化の効果に結びついているかを実証分析したものである。共通に回答が得られた3141社のデータをもとに、業務・組織体制面と人材面の企業改革が情報化の効果にどう関係しているかをロジット・モデル分析した結果、次の3点が明らかとなった。第一に、業務・組織体制面の社内見直しでは、内容によって集中化が効果的な場合と分散化が効果的な場合に分かれること、また、社内事務のペーパーレス化や重複業務見直しが効果をもたらしている一方で、組織上層部の権限や職務見直しは充分な効果が確認されないこと、第二に、社外と関連した業務や組織体制の見直しでは、商取引のペーパーレス化など一部の取組みで効果が確認されるものの、企業分割(取引の外部化)を伴うような事業の見直しや取引の打切りを伴うような企業間関係の見直しなど、ドラスティックな改革では情報化の効果との関係性があまり確認できないこと、第三に、人材面の対応では、社内研修、社外自己啓発の奨励など既存の従業員の教育やこれまでも取り組まれてきたアウトソーシングなどでは情報化の効果が確認できるが、中途採用や派遣社員など外部から組織内への人材移動は必ずしも効果に結びついていないことである。 これらを総合すると、情報化に際して、日本企業では、業務・組織面でも人材面でも、既存の仕組みの「恒常性」に大きな変化を及ぼすような企業改革の取組みは、必ずしも充分な効果に結びついておらず、情報化のメリットを充分に享受できない要因に「国本型」と形容される企業システムの特質が影響していることを示唆している。