- 著者
-
中野 敬一
- 出版者
- 日本ペストロジー学会
- 雑誌
- ペストロジー学会誌 (ISSN:09167382)
- 巻号頁・発行日
- vol.17, no.1, pp.21-28, 2002
- 参考文献数
- 17
- 被引用文献数
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8
<p>都市公園におけるゴキブリの生息状況を把握するため,2000年8月から2001年8月に東京都港区の公園等52箇所で調査を行った.夜間観察でゴキブリの生息の有無を確認し,種類,個体数,発見場所,活動状況を記録した.また,ゴキブリが生息していた樹木の種類等を調査した.</p><p>ゴキブリの生息は調査した公園等52箇所の46%である24箇所で確認できた.ゴキブリの種類はクロゴキブリとヤマトゴキブリであった.ゴキブリは公園の地面と樹木上で確認した.ゴキブリを確認した樹木は大木・老木が多く,12科19種であった.クロゴキブリはイチョウ,ケヤキ,ソメイヨシノなどに生息していた.ヤマトゴキブリは6,000m<sup>2</sup>を越える大きな公園にあるスダジイ,シラカシ,ケヤキ,エノキなどに生息していた.クロゴキブリは7月〜9月に多く確認した.ヤマトゴキブリは1年を通して確認したが,4月と11月に幼虫数のピークがあった.クロゴキブリは屋外でゴミ,鳥の糞,樹液,ネコ餌などを摂食していた.東京の都市部ではクロゴキブリもヤマトゴキブリ同様に公園で越冬し,周年生息ができると判断した.都市温暖化はクロゴキブリの屋外生息性を促進する可能性がある.また,公園でのネコやハトへの餌供給はゴキブリの増加を助長する怖れがある.</p>