著者
浅利 裕伸 柳川 久 安藤 元一
出版者
森林野生動物研究会
雑誌
森林野生動物研究会誌 (ISSN:09168265)
巻号頁・発行日
vol.39, pp.11-16, 2014-03-28 (Released:2017-04-26)
参考文献数
32

日本産樹上性リス類による森林被害に関する論文として,論文検索サイトによりキタリス(Sciurus vulgaris)およびタイリクモモンガ(Pteromys volans)各1編,ニホンリス(S. lis)3編,ムササビ(Petaurista leucogenys)9編の4種14編を収集した.ムササビによるスギ(Cryptomeria japonica)やヒノキ(Chamaecyparis obtusa)の被害は餌植物の不足によるもの,ニホンリスによるキノコ類のほだ木の剥皮害は材内幼虫を捕食するためと考えられた.シカやネズミ類などと比べて樹上性リス類による被害は小さく,むしろ樹上性リス類の健全な生息環境を維持するための休息・繁殖場所となる樹洞の維持,通年多様な食物を提供する針広混交林の創出,移動を妨げない連続した森林配置などの樹上性リス類に適した森林管理が,生態系の改善に向けて重要な課題と考えられる.
著者
長岐 昭彦 高橋 幸男
出版者
森林野生動物研究会
雑誌
森林野生動物研究会誌 (ISSN:09168265)
巻号頁・発行日
vol.24, pp.5-12, 1998 (Released:2017-10-03)

Many things about the life cycle of the land leech are unknown, so we researched the life history by breeding indoors. The results were that the numbers of the egg capsules laid once were between 1 and 9, and the numbers of the young hatched were between 1 and 8. It needed about twenty days from feeding blood to laying eggs, one month from laying eggs to hatching, and two months from feeding blood to hatching. And it became clear that the hatched individual could not lay eggs if it had not fed blood several times, and it could lay eggs again, if once it had fed blood after laying eggs.
著者
秋元 博一 荒井 敢太
出版者
森林野生動物研究会
雑誌
森林野生動物研究会誌 (ISSN:09168265)
巻号頁・発行日
vol.23, pp.6-12, 1997 (Released:2017-10-03)

本研究は野生カルガモを、ニワトリの育成用飼料を用いて育成し、その体重の成長パターンを明らかにするために、3点法によるRichardsの成長曲線モデルの当てはめを行った。あてはめ計算のための測定週齢の組合せ数は12組を設定し、m値は0から2.0まで0.1間隔に設定して、それぞれの曲線モデル式を推定した。適合度は決定係数(R^2)の大・小によって判定した。(1)カルガモの成長パターンは初期成長が旺盛で、変曲点時週齢は雄では4.36週齢、雌は3.76週齢であり、アヒル(中国産ペキン種)の変曲時週齢に近い。(2)12組の測定週齢の組合せの中で、最も高いR^2値をえたm値では1-8-19週齢の1.1(R^2=99.74%)、雌は1-9-20週齢の0.8(R^2=99.40%)である。したがって、成長型は雄はGompertz曲線に近く、雌はBertalanffyよりGompertz曲線への移行型と考えられる。(3)決定係数(R^2)と規値の関係は、アヒルやニワトリと同様に1本の曲線で表現される。
著者
矢竹 一穂
出版者
森林野生動物研究会
雑誌
森林野生動物研究会誌 (ISSN:09168265)
巻号頁・発行日
vol.35, pp.7-12, 2010-03-01 (Released:2017-10-03)

千葉県と山梨県のアカマツが優占する森林でニホンリス(Sciurus lis)の営巣木40例および球状巣23例の測定を行った.営巣場所は林縁木および林縁部の利用も多く,営巣木はアカマツの28例が最も多く,その他カラマツ6例,スダジイ2例,シラベ2例など常緑針葉樹の利用が多かった.営巣木の胸高直径(平均±標準偏差)は26.1±9.7cm,樹高は13.0±3.3m,巣の地上高は10.1±2.5mであった.巣は長径40cm,短径25cm,高さ20cm程度で,巣材は外層が営巣木と同種の小枝,内層はスギ・ヒノキの樹皮が主に利用されていた.小枝は直径約2〜5mm,長さ50〜300mmのものが1巣で53〜116本が使用されていた.リスの巣は球状で鳥類のように皿状ではなく,周囲に内層巣材に利用したスギ・ヒノキの剥皮跡が見られることが特徴であった.また,ムササビの球状巣はリスのものより約1.5〜2倍弱大きかった.