著者
大鐘 敦子
出版者
関東学院大学法学部
雑誌
関東学院教養論集 (ISSN:09188320)
巻号頁・発行日
no.22, pp.1-25, 2012-01

フローベルの歴史長編小説「サラムボー」(1867)は、19世紀末に向けて輩出した「宿命の女(ファム・ファタル)」の系譜に取り上げられ、ワイルドの「サロメ」にも影響を与えたと言われている。「ファム・ファタル」とは、男性の命を左右するつれなき美女(La dame sans merci)と言われているが、サラムボーの女性像の初期形成において、ファム・ファルタ性はどのように形成されているのか。その特徴と問題点を検討する。
著者
大鐘 敦子
出版者
関東学院大学法学部教養学会
雑誌
関東学院教養論集 (ISSN:09188320)
巻号頁・発行日
no.29, pp.29-46,

フローベールの初期作品群には、後期のジャンルを超えた大作家になる以前の様々な作品が40 以上もあり、初期をどう捉えるかいくつかの見解がある。こうしたなか、初期作品における女性像は、後期に描かれるファム・ファタル的な女性像と異なり、ロマンティスムに影響をうけた宿命に屈する女性像たちが中心であった。フローベールの初期作品群におけるファム・ファタル的女性像の萌芽はどのようなものだったのだろうか。
著者
瀬古 潤一
出版者
関東学院大学法学部教養学会
雑誌
関東学院教養論集 = Journal of arts and sciences (ISSN:09188320)
巻号頁・発行日
no.27, pp.95-111, 2017-01

「J・アルフレッド・プルーフロックの恋歌」と「風の夜の狂詩曲」は「ある貴婦人の肖像」、「前奏曲集」とならんでT・S・エリオットの初期詩篇の代表作であり、1911年、パリ遊学中に書き上げられた。本稿では両作品におけるエドガー・アラン・ポオの存在について論じることにする。特に注目するのは「モルグ街の殺人事件」との関係である。 エリオットはパロディやアリュージョンを駆使した特異な文学技法をどこで学んだのか。これはエリオット文学の根本、さらには、モダニズム文学の根本に属する問題であるにもかかわらず、いまだに結論は出ていない。ここにポオがどの程度関与したのか。エリオット研究においてポオの扱いは小さい。ポオ研究の領域ではすでにエリオットの詩論がポオの大きな影響下で書かれたという指摘がなされている。だが、この指摘に対するエリオット専門家の反応は鈍い。詩論ばかりか、エリオットがその特徴的な文学技法をある程度ポオから学んだ可能性が高い。ポオとの関係を探ることで、エリオット文学の核心に迫ることが出来るかもしれない。エリオット研究においてまだほとんど手つかずの問題である。そもそも、小説とエリオットの関係自体がこれまであまり問題になってこなかった。アメリカ文学者との関連についても議論は手薄である。 本稿の分析はあくまでも手始めである。初期詩篇におけるポオの存在を整理し、今後の探求の足がかりにすることが目的である。一部内容の重なる「J・アルフレッド・プルーフロックの恋歌」及び「風の夜の狂詩曲」と主としてポオの「モルグ街の殺人事件」との関連を指摘することになる。この作業にかかる前に、やや詳細にグローバー・スミスの論考を検討する。
著者
道幸 俊也
出版者
関東学院大学法学部
雑誌
関東学院教養論集 (ISSN:09188320)
巻号頁・発行日
no.24, pp.169-176, 2014-01

本研究は仕事に対する動機付けに関する実践研究である。仕事への取組方が、本来その人の持って生まれたパーソナリティ指向を活かすことができている人ほど、仕事に対する満足度も高くキャリアビジョンを描くことができる(Isabel. M 1964)とある。当概念に基づいて日本社会における各業界ではまだ具体的検証事例が少ない。本研究はIT業界における若手3年目社会人の仕事満足度を検証するものである。そのためにJung.Cの心理学的類型論をベースとした性格心理検査(MBTI)をキャリア開発研修の中で実施し、質問紙による調査を実施した。