著者
明野 伸次
出版者
北海道医療大学
雑誌
北海道医療大学看護福祉学部紀要 (ISSN:13404709)
巻号頁・発行日
no.11, pp.95-100, 2004
被引用文献数
1

本稿では男性看護師に対する業務評価・役割期待に関しての文献を検討し、今後の研究課題と方向性を得ることを目的とした。その結果、男性看護師に対する業務評価・役割期待は「看護師である男性」と「男性である看護師」との二面性の認識から行なわれていた。「看護師である男性」とは、特に女性患者に村する「羞恥心を伴うケア」は困難として、その業務評価と役割期待は低く、一方、力仕事や機械類に強い、また判断力があるといった、一般的な「男性的イメージ」から男性看護師に対して業務評価と役割期待をしている認識である。「男性である看護師」とは、性別に関係なく「専門職」として男性看護師に対して業務評価と役割期待をしている認識である。以上から、今後の研究課題と方向性に関して、「男性である看護師」という認識からの業務評価と役割期待は、本来看護に求められる「専門性」に関して、十分に検討していく必要がある。また「看護師である男性」という認識からの業務評価と役割期待は、性の違いに関してジェンダーという一方の方向からのみ捉えるのではなく、「セクシュアリティ」という広い視点で考えていく必要があると示唆された。
著者
志水 幸 志渡 晃一 村田 明子 日下 小百合 亀山 青海 小関 久恵 古川 奨 杉山 柳吉 倉橋 昌司 樋口 孝城 貞方 一也 岩本 隆茂
出版者
北海道医療大学
雑誌
北海道医療大学看護福祉学部紀要 (ISSN:13404709)
巻号頁・発行日
vol.11, pp.67-71, 2004

本稿では、本学新入学生の健全なライフスタイルの確立に資するべく、日常の健康生活習慣の実践度、心身の自覚症状、自覚的健康感などについて検討した。その結果、以下の諸点が明らかとなった。1)健康生活習慣実践指標(HPI: Health Practice Index)で良い生活習慣が守られていた項目は、男女ともに「適正飲酒」(男性96.6%、女性98.1%)であった。他方、もっとも実践率が低かった項目は、男性では「朝食摂取」(57.7%)、女性では「拘束時間が10時間以下」(69.6%)であった。2)HPI得点は、男女とも6点がもっとも多く、男性28.4%、女性34.3%であった。また、7点以上の良い生活習慣を実践している割合に、男女間での差はみられなかった(男性23.5%、女性23.7%)。3)自覚症状で、女性と比較して男性で有訴率が有意に高い項目は確認されず、男性と比較して女性で有訴率が有意に高い項目は、「なんとなくゆううつな気分がする」、「誰かに打ち明けたいほど悩む」、「理由もなく不安になる」、「自分が他人より劣っていると思えて仕方がない」、「足がだるい」、「肩が凝る」、「胃・腸の調子が悪い」、「便秘をする」の8項目であった。4)HPIを実践している群と比較して、実践していない群で自覚症状得点が高い傾向、また、自覚的健康感が低くなる傾向が認められた。以上の結果から、HPIの実践は、自覚症状有訴率の低下、および自覚的健康感の向上のための、有効な規定要因の1つであることが示唆された。ただし、自覚症状有訴内容や、HPIの実践と自覚的健康感の関連などに性差がみられることから、健康教育対策を講ずる際には性別に対する十分な配慮が必要であると考えられた。