著者
渡邊 亮士 岩本 隆茂
出版者
一般社団法人 日本認知・行動療法学会
雑誌
行動療法研究 (ISSN:09106529)
巻号頁・発行日
vol.31, no.1, pp.59-69, 2005-03-31 (Released:2019-04-06)

本研究の目的は、抑うつ傾向による随伴性認知の違いに関する知見の検討であった。実験に先立ち、393名の健常の大学生に対し、抑うつ傾向についてスクリーニングを行い、低抑うつ群、高抑うつ群として各24名ずつ選出した。実験では、被験者の行動(ボタン押しの有無)と、その行動を受けて示される結果(ライト点灯の有無)との随伴性について、被験者に評定させる課題が用いられた。おもな結果は以下の通りで、抑うつリアリズム理論や統制の錯覚現象は、非随伴事態で限局的にみられるものであるということが判明した。(1)評定の難易度が高い非随伴事態において、低抑うつ者は高抑うつ者に比べ、随伴性評定が不正確である度合いが有意に大きかった。(2)評定の難易度が低い非随伴事態において、随伴性評定の正確さに、両群の有意差はみられなかった。(3)低抑うつ者は、高抑うつ者と比較して、ベースラインの情報をそれほど重要視していなかった。
著者
佐藤 洋一 福井 至 岩本 隆茂
出版者
一般社団法人 日本認知・行動療法学会
雑誌
行動療法研究 (ISSN:09106529)
巻号頁・発行日
vol.28, no.1, pp.47-62, 2002-03-31 (Released:2019-04-06)

本研究の目的は、福井・西山(1995)の作成した、論理情動行動療法に基づくComputer-AssistedCounselingのためのコンピューター・プログラムを基盤に、より実用性の高いプログラムを作成して、その効果を検証することであった。福井・西山(1995)のプログラムはJapanese Irrational Belief Test(松村,1991)の項目を用いて、不合理な信念を合理的な信念に変容するものである。しかし福井・西山(1995)の手続きでは1セッションあたりの所要時間が非常に長くなる恐れがあり、実用性に乏しいため、本研究では実施回数は変えずに、1セッションあたりの所要時間が50分程度でおさまるプログラムとした。また、論理情動行動療法のABCモデルの説明を加え、さらに不合理な信念をもっている場合の損な点と得な点を考えてくるというホームワークを追加した。実験の結果、本プログラムには、福井・西山(1995)のプログラムと同等以上の不安低減効果があることが示された。
著者
岩本 隆茂 久能 弘道
出版者
北海道大學文學部
雑誌
北海道大學文學部紀要 (ISSN:04376668)
巻号頁・発行日
vol.40, no.2, pp.189-219, 1992-02-05
著者
岩本 隆茂
出版者
北海道大學文學部
雑誌
北海道大學文學部紀要 (ISSN:04376668)
巻号頁・発行日
vol.41, no.3, pp.105-141, 1993-02-26
著者
渡邊 亮士 岩本 隆茂
出版者
一般社団法人日本認知・行動療法学会
雑誌
行動療法研究 (ISSN:09106529)
巻号頁・発行日
vol.31, no.1, pp.59-69, 2005-03-31

本研究の目的は、抑うつ傾向による随伴性認知の違いに関する知見の検討であった。実験に先立ち、393名の健常の大学生に対し、抑うつ傾向についてスクリーニングを行い、低抑うつ群、高抑うつ群として各24名ずつ選出した。実験では、被験者の行動(ボタン押しの有無)と、その行動を受けて示される結果(ライト点灯の有無)との随伴性について、被験者に評定させる課題が用いられた。おもな結果は以下の通りで、抑うつリアリズム理論や統制の錯覚現象は、非随伴事態で限局的にみられるものであるということが判明した。(1)評定の難易度が高い非随伴事態において、低抑うつ者は高抑うつ者に比べ、随伴性評定が不正確である度合いが有意に大きかった。(2)評定の難易度が低い非随伴事態において、随伴性評定の正確さに、両群の有意差はみられなかった。(3)低抑うつ者は、高抑うつ者と比較して、ベースラインの情報をそれほど重要視していなかった。
著者
志水 幸 志渡 晃一 村田 明子 日下 小百合 亀山 青海 小関 久恵 古川 奨 杉山 柳吉 倉橋 昌司 樋口 孝城 貞方 一也 岩本 隆茂
出版者
北海道医療大学
雑誌
北海道医療大学看護福祉学部紀要 (ISSN:13404709)
巻号頁・発行日
vol.11, pp.67-71, 2004

本稿では、本学新入学生の健全なライフスタイルの確立に資するべく、日常の健康生活習慣の実践度、心身の自覚症状、自覚的健康感などについて検討した。その結果、以下の諸点が明らかとなった。1)健康生活習慣実践指標(HPI: Health Practice Index)で良い生活習慣が守られていた項目は、男女ともに「適正飲酒」(男性96.6%、女性98.1%)であった。他方、もっとも実践率が低かった項目は、男性では「朝食摂取」(57.7%)、女性では「拘束時間が10時間以下」(69.6%)であった。2)HPI得点は、男女とも6点がもっとも多く、男性28.4%、女性34.3%であった。また、7点以上の良い生活習慣を実践している割合に、男女間での差はみられなかった(男性23.5%、女性23.7%)。3)自覚症状で、女性と比較して男性で有訴率が有意に高い項目は確認されず、男性と比較して女性で有訴率が有意に高い項目は、「なんとなくゆううつな気分がする」、「誰かに打ち明けたいほど悩む」、「理由もなく不安になる」、「自分が他人より劣っていると思えて仕方がない」、「足がだるい」、「肩が凝る」、「胃・腸の調子が悪い」、「便秘をする」の8項目であった。4)HPIを実践している群と比較して、実践していない群で自覚症状得点が高い傾向、また、自覚的健康感が低くなる傾向が認められた。以上の結果から、HPIの実践は、自覚症状有訴率の低下、および自覚的健康感の向上のための、有効な規定要因の1つであることが示唆された。ただし、自覚症状有訴内容や、HPIの実践と自覚的健康感の関連などに性差がみられることから、健康教育対策を講ずる際には性別に対する十分な配慮が必要であると考えられた。