著者
笹木 葉子
出版者
北海道医療大学
雑誌
北海道医療大学看護福祉学部紀要 (ISSN:13404709)
巻号頁・発行日
vol.12, pp.69-74, 2005-12-20

育児は生活の営みの一部であり、時代、文化、習慣、によって大きく左右される。育児相談ではそれら時代の変化や文化、習慣、個人の価値観等に応じて育児法の情報を提供していかなければならない。しかし、相談に応じる医療者に対する育児法に関する系統的な教育は確立されておらず、個人的見解や経験則に基づく助言が中心になっている。育児法に関する情報を科学的で統一した見解にするためには、エビデンスに基づいて1つ1つ検証していかなければならない。「子どもの睡眠」については養育者の睡眠にも影響を及ぼすため、深刻な場合が多い。この相談に適切に対応するには乳幼児の睡眠生理についての正しい知識が必要である。睡眠については、大脳の生理学や内分泌の研究の進歩によってかなり詳しく解明され始めている。本研究では、乳児期各月齢ごとに睡眠覚醒リズムの生理をまとめ、睡眠覚醒リズムの確立を促す育児法について検討した。全月齢共通に"朝は明るく夜は暗く静かに過ごす"ことを基本に、妊娠期の母親の生活リズムの調整や、乳児期の日中の授乳、離乳食、遊び、運動、タッチケア、沐浴、入浴等で生活にメリハリをつけるなど実践的な育児法に関する情報をエビデンスに基づき整理した。
著者
福間 麻紀
出版者
北海道医療大学看護福祉学部
雑誌
北海道医療大学看護福祉学部紀要 (ISSN:13404709)
巻号頁・発行日
no.27, pp.27-37, 2020

貧困状態を経験した子どもに不足している力(非認知的スキル・社会情動的スキル)とその養成に必要な支援を明らかにするために、児童養護施設長への調査を実施した。その結果、児童養護施設の施設長がこれまでの実践を通して、貧困状態にある子どもに不足していると認識している力は、「自分を知る力」「継続する力」「マネジメントする力」「将来を見通す力」の概念で構成される「目的達成力」、「他者を信じる力」「関係を作る力」「自分を表現する力」の概念で構成される「協調力」、「挑戦する力」「自分を信じる力」「問題を解決する力」「他者を頼る力」の概念で構成される「苦境に立ち向かう力」であった。また、これらの力は相互に関連しており、いずれかの力の養成には他の力を要し、得られた力が次の力の養成につながっていることが明らかとなった。それらの力の養成に必要な支援として、「目的達成力」に対しては、「現実を受け止めるための支援」「ロールモデルの存在」などの12の支援、「協調力」に対しては、「愛着の形成」「時間をかけて関係を作る」などの9 つの支援、「苦境に立ち向かう力」に対しては、「楽しい経験の提供」「自分だけのためと思える支援」などの12の支援が抽出された。児童養護施設ではこれらの支援が日常的な関わりや支援のなかに含まれており、児童養護施設の本来の施設機能が非認知的スキルの養成に貢献していることが確認された。非認知的スキルの養成はそのスキルに特化したプログラム等による直線的な支援で行われるものではなく、職員との関わりを含めた子どもが生活する環境を、非認知的スキルを身に着けることに適切な状態にすることが必要である。
著者
笹木 葉子 ササキ ヨウコ Yoko SASAKI
雑誌
北海道医療大学看護福祉学部紀要
巻号頁・発行日
vol.12, pp.69-74, 2005-12-20

育児は生活の営みの一部であり、時代、文化、習慣、によって大きく左右される。育児相談ではそれら時代の変化や文化、習慣、個人の価値観等に応じて育児法の情報を提供していかなければならない。しかし、相談に応じる医療者に対する育児法に関する系統的な教育は確立されておらず、個人的見解や経験則に基づく助言が中心になっている。育児法に関する情報を科学的で統一した見解にするためには、エビデンスに基づいて1つ1つ検証していかなければならない。「子どもの睡眠」については養育者の睡眠にも影響を及ぼすため、深刻な場合が多い。この相談に適切に対応するには乳幼児の睡眠生理についての正しい知識が必要である。睡眠については、大脳の生理学や内分泌の研究の進歩によってかなり詳しく解明され始めている。本研究では、乳児期各月齢ごとに睡眠覚醒リズムの生理をまとめ、睡眠覚醒リズムの確立を促す育児法について検討した。全月齢共通に"朝は明るく夜は暗く静かに過ごす"ことを基本に、妊娠期の母親の生活リズムの調整や、乳児期の日中の授乳、離乳食、遊び、運動、タッチケア、沐浴、入浴等で生活にメリハリをつけるなど実践的な育児法に関する情報をエビデンスに基づき整理した。
著者
志渡 晃一 森田 勲 竹内 夕紀子 佐藤 陽香 山田 耕平
出版者
北海道医療大学
雑誌
北海道医療大学看護福祉学部紀要 (ISSN:13404709)
巻号頁・発行日
vol.11, pp.79-85, 2004
被引用文献数
2

若年者における体型意識の実態をあきらかにすることを目的として、看護福祉学部臨床福祉学科と医療福祉学科医療福祉専攻の男女学生377名を対象にアンケート調査を実施した。BMIをもとに体型を「痩せ群」BMI<20、「標準群」20≦BMI<24、「肥満群」BMI≧24の3群に分類し、特に「痩せ群」の体型意識に焦点を当てて、性別特性を検討し、以下の結果を得た。1)現在の体重をもとに算出したBMI「現実BMI」の値(平均値±標準偏差)は、男(21.6±2.6)に比べて女(20.0±2.3)で低かった。体型分類別にみると、男では「標準群」(60%)が最も多く、ついで「痩せ群」(25%)、「肥満群」(15%)だったのに対して女では「痩せ群」(60%)が最も多く、次いで「標準群」(36%)、「肥満群」(4%)の順だった。2)「現実BMI」と美容面からみて理想であるとした体重をもとに算出した「美容BMI」および健康面からみて理想であるとした体重をもとに算出した「健康BMI」の3者を比較村照した結果、男ではそれぞれ(21.6±2.6): (21.1±2.0): (21.6±3.3)と3者間に差がないのに村して、女では(20.0±2.3): (18.2±1.2): (18.7±1.8)と「現実BMI」に比べて「美容BMI」「健康BMI」で有意(p<.05)に低く、痩せ志向が窺われた。3)「現実BMI」「美容BMI」「健康BMI」の3者について、「痩せ群」を性別にみると、男では(18.5±1.1): (20.1±1.4): (20.5±1.2)と理想に向けて体重を増加させようとする傾向があるのに対して女では(18.6±1.0): (17.7±0.8): (18.1±2.0)とむしろ減少させようとする傾向を示した。4)現在の体型について「普通より太っている」と認識している率は、男(37%)に比べて女(54%)で有意(p<.05)に高かった。体型分類別にみると、男の「痩せ群」(0%)、「標準群」(42%)に比べて女の「痩せ群」(32%)、「標準群」(85%)で有意(p<.05)に高かった。反対に「普通より痩せている」と認識している率は、男の「痩せ群」(70%)に比べて女の「痩せ群」(9%)で有意(p<.05)に低かった。5)体型の変化について「現在より痩せたい」と志向している率は、男(54%)に比べて女(91%)で有意(p<.05)に高かった。体型分類別では、男の「痩せ群」(13%)、「標準群」(60%)に比べて女の「痩せ群」(85%)、「標準群」(100%)で有意(p<.05)に高かった。反対に「現在より太りたい」と志向している率は、男の「痩せ群」(47%)に比べて女の「痩せ群」(5%)で有意(p<.05)に低かった。6)理想の美容体型として、筋肉質体型を選んだ率は男(84%)、女性(52%)だった。「痩せ群」についてみると男に比べて女で細め日のシルエットを志向している割合が高かった。また、理想の健康体型として、筋肉質体型を選んだ率は男(78%)に比べて、女性(67%)だったが、「痩せ群」において性差はみとめられなかった。7)体型変化を志向する理由に関して、「痩せ群」についてみると、最も高い項目は男では「強くたくましくなりたい」(50%)、女では「体型が気になる」(59%)であった。痩せたい部分に関して最も高い部位は、男では「胴回り」(75%)、女では「もも」(70%)であった。8)ダイエットに関する情報源については、男では民放テレビ(58%)から得るという回答が最も多く、女性は週刊誌(57%)から得るという回答が最も多かった。また最も回答が少なかったものは新聞や教養書、インターネットからであった。全体に男に比べて女でマスメディアからの影響を多く受けていることが示唆された。
著者
横山 登志子
雑誌
北海道医療大学看護福祉学部紀要
巻号頁・発行日
vol.11, pp.19-25, 2004

本稿の目的は、ソーシャルワーク(以下、SW)におけるナラティヴ・アプローチの貢献と、問題や課題についての議論を整理し、筆者の意見を提示することである。SWにおけるナラティヴ・アプローチの貢献は次の4点である。(1)SWの知識の権威性について「問い」を投げかけた点、(2)クライエントの生きたローカルな知識が注目された点、(3)価値実践としてのSWを考えるきっかけになった点、(4)ソーシャルワーカーは何をどのような立場から援助を行うのかについての自己言及性が求められた点である。問題・課題は次の3点である。(1)理論と介入の一貫的な説明、(2)物語の二分法に関してのリアリティーある説明、(3)SWに関する反省的実践(研究)の必要性である。特に3点目の課題について、SW理論史でソーシャルワーカーがどのように規定されてきたのかに関する批判的検討の必要性と、実践経験においてソーシャルワーカーがどのような自己規定の変容を経験しているのかについて明らかにすることが重要であることを述べた。
雑誌
北海道医療大学看護福祉学部紀要
巻号頁・発行日
vol.14, pp.99-114, 2007