著者
山下 静江 井町 和香 武藤 志真子
出版者
くらしき作陽大学
雑誌
くらしき作陽大学・作陽短期大学研究紀要 (ISSN:13438581)
巻号頁・発行日
vol.38, no.2, pp.51-63, 2005

8年間にわたり夏休みと学年末を除く各月、体脂肪率測定のみを行い、とくに教育介入を行わなかった学生集団について、体脂肪率の月別変化を、性別、地域別、年次別に比較し、季節変動の実態を明らかにすること、および体脂肪率の季節変動の適正範囲を探ることを目的とした。東京地域および岡山地域の2地域の専門学校または大学に通学する19歳〜29歳の男女学生765名が対象である。体脂肪率はBIA法により、食後3時間経過後測定した。東京の男女間の系列相関係数は、0.96で有意(p<0.01)であり季節変動の傾向には性差が認められなかった。岡山は季節変動の傾向には性差が認められた。夏期と冬期の群集合比較では、東京は男女とも有意に冬期>夏期であったが、岡山は、夏期と冬期間の差異は有意ではなかった。男性については月別変化に東京と岡山間に地域差があるとはいえなかった。女性については、岡山は東京よりも体脂肪率増加時期が遅れるというタイムラグが認められた。岡山地域男性は年度間に有意な相関はなかったが、東京男女、岡山女性では有意な相関があった。以上の季節変動から、東京地域男性は、夏期は12.4%〜20%、冬期は14%〜22.4%が許容できる幅であり、東京地域女性は、夏期は15.8%〜24%、冬期は17%〜25.3%が許容できる幅と推定された。
著者
大野 婦美子 笠井 八重子
出版者
くらしき作陽大学
雑誌
くらしき作陽大学・作陽短期大学研究紀要 (ISSN:13438581)
巻号頁・発行日
vol.38, no.2, pp.43-50, 2005-12-28

でんぷんの混合が「精粉」こんにゃくの力学的性状に及ぼす影響を明らかにすることを目的に,物性試験及び微細構造観察により検討した.でんぷんはジャガイモ及びサツマイモでんぷんを使用し,配合比は,「精粉」(S):でんぷん(D)=1:0,0.3,0.5,0.8,1.0,1.5の6水準とした.でんぷんの配合方法として,「精粉のり」を調製後,加熱したでんぷん液を混合する方法(A法)と,「精粉」とでんぷん粉を混合して「のり」を調製する方法(B法)を設定し,その影響についても検討し,以下のような結果を得た.1)こんにゃくの破断特性に及ぼすでんぷん配合の影響は,A,B法により相反した.A法は,「精粉こんにゃく」の破断応力を減少の方向へ,B法は増加の方向へ作用した.でんぷん配合量の影響は,「精粉」に村し5割までは少なく,8割配合で顕著に示された.でんぷんの種類による差異はみられなかった.2)でんぷん配合の影響は,精粉濃度3.0%,2.2%で差異はなかった.しかし,A法の1.7%濃度では,でんぷん添加の増加による量的影響は小さくなった.3)粘弾性については,A法では,でんぷん量の増加により,各要素の物性値は低下した.フック体弾性率は,3〜5割のでんぷん配合で約80〜90%に,同量以上の配合で50〜60%に減少した.これに村しB法では,フック体弾性率は等量までの配合で約1.2倍に,等量以上の配合で約2倍に増加し,A法と相反した結果を与えた.4)A,B法による物性変化の差異は,「のり」の網目構造が充分形成されてから,でんぷんが混合されたかどうかが重要な要因として認められた.「いもこんにゃく」がもつ滑らかさや粘性の付与には,糊化したでんぷん液の混合が有効であると示唆された.