出版者
人工炭酸泉研究会
雑誌
人工炭酸泉研究会雑誌 (ISSN:13442279)
巻号頁・発行日
vol.1, pp.5-19, 2019 (Released:2019-08-01)

Ⅰ.基 礎 1.炭酸泉とは日本の温泉法によると、炭酸泉は主に遊離炭酸が250ppm(1ℓに250mg)溶けていれば炭酸泉と名前が付き、さらに炭酸泉に関しては1000ppm(1ℓに1g)溶けていれば療養泉となる。天然の炭酸泉は低温のものであれば濃い濃度の炭酸泉が日本随所にある。しかし、温度が40℃程度の温浴に適した天然の温泉は日本が火山国でもあるためか数少ない。41℃程度では大気圧下で溶存できる炭酸濃度は1000ppm 程度が上限であるため、大分県長湯温泉での大丸湯「高温ラムネ温泉」の41.2℃で遊離炭酸911ppm(2007.8.2)の源泉は珍しいものと思われる。
著者
坂野 裕洋 朝倉 淳弥
出版者
人工炭酸泉研究会
雑誌
人工炭酸泉研究会雑誌 (ISSN:13442279)
巻号頁・発行日
vol.1, no.1, pp.73, 2019 (Released:2019-07-19)

【緒言】炭酸泉浴は、古くから鎮痛を目的に行われている慣習的な水治療法のひとつであり、含有成分である二酸炭素(CO2)が皮膚を透過し、末梢組織に特異的作用を引き起こすことが知られている。しかしながら、炭酸泉浴の疼痛抑制効果については科学的根拠が乏しく、炭酸泉に含まれるCO2 濃度の違いが治療効果に与える影響についても不明である。そこで本研究では、人工炭酸泉浴の疼痛抑制効果にCO2 濃度の違いが及ぼす影響について、侵害刺激に伴う中枢性感作を指標に比較検討した。