著者
保井 俊之
出版者
特定非営利活動法人 日本コンペティティブ・インテリジェンス学会
雑誌
インテリジェンス・マネジメント (ISSN:21866252)
巻号頁・発行日
vol.1, no.1, pp.23-34, 2009-09-05 (Released:2013-01-31)
参考文献数
14
被引用文献数
1

金融インテリジェンスは国家安全保障のために,金融に特化した組織により,金融の手法により要求・収集・分析され,金融のフォーマットで政策決定者に提供されるインテリジェンスと定義される。金融インテリジェンスは主として1990年代、マネーロンダリング対策のための法執行活動として出現した。そして2001年9月11日の米国における同時多発テロは金融インテリジェンスの活動分野を,非伝統的な脅威と戦う非対称な戦争の分野へと拡大した。さらに2005年から米国は北朝鮮及びイランを重大な安全保障上の脅威とみなすようになり,これらの国に金融インテリジェンスを活発に適用するようになった。2007年秋に発生したグローバルな金融危機により,米国のインテリジェンスコミュニティは金融サービス及び金融市場をインテリジェンス活動の主要な領域とみなすようになっている。
著者
中島 庸介 保井 俊之 神武 直彦
出版者
特定非営利活動法人 日本コンペティティブ・インテリジェンス学会
雑誌
インテリジェンス・マネジメント (ISSN:21866252)
巻号頁・発行日
vol.3, no.1, pp.15-26, 2011-09-18 (Released:2012-11-09)
参考文献数
17

2008 年のグローバルな金融危機以降, オープンソース・インテリジェンスの重要性が米国のインテリジェンス・コミュニティを中心に認識され, 国家保障に関するインテリジェンスに積極的に活用され出している。本論文は, オープンソース・インテリジェンスをコンペティティブ・インテリジェンスの手法として戦略的に活用する際の好機と制約を明らかにしつつ, テキスト・マイニングをその中核に位置付ける。そして, その具体的な活用事例として, 2010 年問題を抱える日本の製薬業界のこの10 年間のM&A の動向を取り上げ, 手法としての有効性を分析・検証する。
著者
高橋 文行 市川 照久 峰野 博史 西垣 正勝 菅澤 喜男
出版者
特定非営利活動法人 日本コンペティティブ・インテリジェンス学会
雑誌
インテリジェンス・マネジメント (ISSN:21866252)
巻号頁・発行日
vol.3, no.1, pp.3-14, 2011-09-18 (Released:2012-11-09)
参考文献数
24

本論文では,企業における研究開発戦略を策定する意思決定に必要とされる重要な技術情報に着目した。特に製品あるいは技術開発に焦点を絞り込んだ一連の理論と手法である技術インテリジェンスの実践活動の中で求められる,信頼性の高い,有益な技術情報の情報源を分析した。さらに近年注目されているソーシャルメディアを情報源としての考察も行った。その結果,企業が技術情報を収集する情報源の実態と動向が明らかになった。最後に効果的に活用できる技術情報源と留意点を取りまとめ有効化の方法を提案し,A 企業における新製品開発の意思決定の事例を取り上げ有効性の検証を行った。本研究は競争力を強化したい企業の技術戦略の策定に寄与しようとするものである。
著者
高橋 文行 水野 忠則 菅澤 喜男
出版者
特定非営利活動法人 日本コンペティティブ・インテリジェンス学会
雑誌
インテリジェンス・マネジメント (ISSN:21866252)
巻号頁・発行日
vol.2, no.1, pp.37-48, 2010-09-18 (Released:2013-01-31)
参考文献数
19

本論文では,中国国内で収集したCI関連の公開情報及び文献を基に,中国におけるCI研究の現状と展望を概説する。特に中国におけるCI研究に関する公的機関と企業間を横断的に連結した情報交換システム,そして企業向けCIソフトウェア開発と活用の実態を明らかにする。さらに中国のCI研究と展望を描く中で,中国市場に進出を策する,又は既に進出して現地での競争に苦慮する日本企業が,いかにして中国市場に関する競争情報を収集し,堅実な経営成果をあげるかについて具体的問題を提起し,実務的方策を提言する。