著者
勝山 光太郎 佐藤 文明 中川路 哲男 水野 忠則
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.30, no.2, pp.234-241, 1989-02-15
被引用文献数
1

情報通信システムの発展に伴い 各種通信ソフトウェアの開発機会が増大するとともに その規模も拡大し 通信ソフトウェアを効率的に開発することが課題となってきている.このため我々は 近年注目を集めているオブジェクト指向言語によるソフトウェアの高い生産性に着目した.また 情報通信システムおよび通信ソフトウェアの論理構造と オブジェクト指向モデルとの類似性が高いことから オブジェクト指向言語によるこれらの設計開発を行うこととした。そのために 通信ソフトウェアに要求される実行速度を十分に考慮しつつ オブジェクト指向言語の特徴を生かし かつ汎用的なシステム記述言語であるC言語と親和性のあるオブジェクト指向言語superCを開発した.さらに 本言語をOSI通信ソフトウェアの開発に実際に適用することによって オブジェクト指向による設計・開発の効果を確認し その言語で書かれたプログラムの性能を評価した.その結果 オブジェクト指向言語の利点を生かして 効率的に開発が行えることが確認できた.また オブジェクト指向で問題となっている実行速度に関しては コンパイル時にメソッドの探索・決定を行う静的束縛の機能を導入したことにより 実行時にメソッドの探索を行う動的束縛に比べ2倍以上の速度を得ることができることを確認した.
著者
児玉 公信 水野 忠則
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.49, no.2, pp.902-909, 2008-02-15
被引用文献数
4

本論文は,生産管理領域の概念データモデル「CHARM(Cross Hierarchical Account Resource Model)」を提案する.本モデルは「勘定パターン」を骨格としており,会計領域で培われたベストプラクティスを生産管理領域にもたらす.これによって,未来在庫の把握および生産座席予約を合理的に扱うことができ,近年の日本の製造業における個別受注生産の比率の高まりにともなうさまざまな課題,すなわち製番に基づく生産計画,製品の個体管理,上流工程でまとめ作りした材料の引当て,原料から製品までのトレーサビリティの確保を実現できる.This paper proposes a new general model of the production management domain, the CHARM (Cross Hierarchical Account Resource Model). This model is based on the Account pattern. Inherent in the pattern are the best practices of the accounting field as applied to the manufacturing management area, enabling us to treat the inventory of the future and production seat booking reasonably. Therefore we can solve problems caused by the rise of the ratio of build-to-order in recent Japanese manufacturing. The problems primarily involve production planning, individual product management, manufacturing with accumulation in the upstream process, and ensuring the traceability from raw materials to products related to the seiban (manufacturing number).
著者
杉本 祐介 佐藤 太一 土井 千章 中川 智尋 太田 賢 稲村 浩 内藤 克浩 水野 忠則 菱田 隆彰
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告. UBI, [ユビキタスコンピューティングシステム] (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2015, no.50, pp.1-6, 2015-02-23

近年,インターネット上では,Facebook や Twitter における日記や amazon.com や食べログにおけるレビューなど,ユーザからの投稿を利用したサービスが数多く普及している.これらのサービスに寄せられる投稿の中には,楽しい,きれいといった感情を示す感情語が数多く含まれており,先行研究では,そういった感情語を利用した観光地のレコメンド手法の提案を行った.その際,喜びや楽しみ,好みなどのポジティブな感情語が 1 つのカテゴリに集中してしまうという問題があり,詳細な分類を行うためにはこの問題を解決する必要があった.そこで本研究では,ポジティブな感情語が 1 つのカテゴリに固まってしまう問題を解決し,レコメンドに適した感情語の分類方法の提案を行う.
著者
上田 尚純 青野 正宏 田窪 昭夫 太田 賢 水野 忠則
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告. MBL, [モーバイルコンピューティング] (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.99, no.50, pp.33-40, 1999-05-28
参考文献数
7

蓄積されたビデオを通信回線を介して高品質で送るための、アプリケーション層での工夫の一つとしてクライアント端末でのバッファ利用がある。送られてきたビデオデータをある時間分バッファに貯えてから表示することで、通信回線上で生じる遅延による揺らぎ、通信エラーによる表示の中断などを大幅に緩和ないし解消することができる。ハードウエアの高速化、廉価化で、クライアント側である程度の容量のビデオデータ用のバッファを持つことは問題でなくなってきており、バッファを利用することで、アプリケーション層での処理により、受信側のクライアントでの高品質でのビデオ表示が可能になる。この実現方法とシミュレーションによる評価結果を述べる。
著者
石野 正彦 八巻直一 市川 照久 水野 忠則
出版者
情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告情報システムと社会環境(IS) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2005, no.53, pp.37-42, 2005-05-27

現在、顧客の嗜好にあった商品を推奨するリコメンデーション技術の研究や実用化が進められている。多くの先行研究において、協調フィルタリングやコンテンツ分析による方法が有力である。本研究では、これらに新たな方法を加えて、顧客の属性に対する商品の嗜好と商品の属性の両方からコンジョイント分析と協調フィルタリングにより、嗜好評価値を推定する推奨方法について提案する。Now,the research and utilization of recommendation technology which recommend the goods suitable for a customer`s taste are advanced. In many precedence researches,the method by collaborative filtering or contents analysis is leading. In this research,a new method is added and the recommendation method of presuming the taste evaluation value is proposed by conjoint analysis and collaborative filtering from both a taste of goods to a customer`s attribute,and the attribute of goods.
著者
杉本 祐介 佐藤 太一 土井 千章 中川 智尋 太田 賢 稲村 浩 内藤 克浩 水野 忠則 菱田 隆彰
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. ASN, 知的環境とセンサネットワーク (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.114, no.480, pp.263-268, 2015-02-23

近年,インターネット上では,FacebookやTwitterにおける日記やamazon.comや食べログにおけるレビューなど,ユーザからの投稿を利用したサービスが数多く普及している.これらのサービスに寄せられる投稿の中には,楽しい,きれいといった感情を示す感情語が数多く含まれており,先行研究では,そういった感情語を利用した観光地のレコメンド手法の提案を行った.その際,喜びや楽しみ,好みなどのポジティブな感情語が1つのカテゴリに集中してしまうという問題があり,詳細な分類を行うためにはこの問題を解決する必要があった.そこで本研究では,ポジティブな感情語が1つのカテゴリに固まってしまう問題を解決し,レコメンドに適した感情語の分類方法の提案を行う.
著者
今井 功 佐藤 文明 勝山 光太郎 水野 忠則
雑誌
情報処理学会研究報告マルチメディア通信と分散処理(DPS)
巻号頁・発行日
vol.1991, no.83(1991-DPS-052), pp.147-152, 1991-09-24

我々は,並行オブジェクト指向言語superC^2の開発を行なった.これは,複数の計算機がネットワークによって接続されている分散環境上で,作動するアプリケーション・ソフトウェアの開発を行なうために言語レベルで提供したものである.superC^2では従来,通信ソフトウェア用に開発したオブジェクト指向言語superCの性質を完全に受け継ぎ,更に並行処理動作を可能としている.本論文では,superC^2の設計構想とシステムの実現方式について報告するとともに,分散システムに発生する問題を解決するアルゴリズムの設計をもとに実用的な面からの評価について論じている.
著者
石川 貴士 石原 進 井手口 哲夫 水野 忠則
出版者
情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.42, no.7, pp.1819-1827, 2001-07-15
被引用文献数
3

即応性が要求されるネットワーク対戦ゲームにおいて,端末間の遅延差により起こるユーザ間の不公平を解消するメンバ間公平性保証方式(ICEGEM: Impartial Communication Environment for GamE Members)を提案する.本方式では,ユーザの反応時間に基づいて各ユーザの操作に対する順序制御を行うことにより,サーバ・クライアントの時刻同期を必要としないで,端末間の遅延差がある場合でも時間に関して公平なユーザ操作環境を実現する.また,順序制御のための制限時間を設け,これを全クライアントの遅延の測定・予測に基づいて動的に変更させることによって,ネットワークのトラフィックの変動や端末の移動による通信環境の変化にともなう遅延変動に対応する.本稿ではICEGEMの詳細,および本方式を用いたネットワーク対戦型早押しキーボードタイピングゲームの実装,遅延差が生じる端末間での実験について述べる.実験の結果,反応時間に基づく公平性保証では,端末間の遅延差に関係なく,公平にアプリケーションが利用できることが確認できた.また,サーバ側の制限時間を動的に変更することにより,遅延変動があった場合でもゲームの即応性を保ったうえですべてのユーザが公平にゲームを行えることが確認できた.In real-time network applications, such as network games,the users often suffer event inversion on heterogeneous network environments including small delay networks and large delay networks.Because of this, the fairness between users can not be guaranteed.In this paper we propose a method for offering impartiality to game members who play on heterogeneous network environments ICEGEM (Impartial Communication Environment for GamE Members).The order of the users' operations can be treated correctly at the server using users' operation time with ICEGEM.Another feature of ICEGEM is that it adjusts timeout values for synchronization of clients' messages dynamically so that it can be used in practical Internet environments and mobile computing environments.We implemented a network key-typing game with ICEGEM, and evaluated its effect.We confirmed that users are able to play the game impartially without the influence of the difference and fluctuations of delays.
著者
石原 進 太田 雅敏 行方エリキ 水野 忠則
出版者
情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.46, no.12, pp.2997-3007, 2005-12-15
参考文献数
11
被引用文献数
12

携帯端末向けの手軽な個人認証手法として,携帯端末の動きを用いた個人認証手法「3D 動作認証」を提案し,その有用性について基礎的評価を行う.3D 動作認証では,動作計測用のセンサを搭載した小型端末でユーザの動きをとらえ,その個人特徴を認証に利用する.小型の加速度センサは腕時計や携帯電話に内蔵することができ,ユーザは特別な入力装置を用いずに,端末を動かすだけで手軽に認証操作を行うことができる.3 次元空間での動きは筆跡という目に見える形で残ることがなく,手首のひねりなどを利用した動作を肉眼でとらえることは難しいため,他人に動作をコピーされ悪用される危険性が低い.本手法では加速度センサで得られる加速度のDP マッチングにより認証判定を行う.加速度センサを搭載した実験用端末を用い,11 人の動作登録者および27 人の成りすまし被験者による実験の結果を行った.この結果より,本手法に適した認証用動作の特性を確かめた.また,ユーザ自身のサインを動作パターンとして用いた場合,上記の特性に従って登録する動作の選別を行えば,本人拒否率を1.5%未満,動作パターンを図示された条件下での成りすまし成功率を1%未満とできることが確かめられた.We propose an individual authentication scheme using motions of a portable device 3D motion authentication. In this paper, we evaluated the fundamental properties of the scheme. The 3D motion authentication scheme measures motions with a small device equipped with an acceleration sensor for the authentication. The risk of misuse by others is low in the method, because the motion of a device in the air doesn't remain as handwriting and it is difficult to recognize the motion with the naked eye. The scheme uses DP matching to judge motions. We developed a prototype device like a mobile phone for the authentication scheme and tested it with 11 registered users and 27 attackers. We obtained a guideline for suitable motion patterns for this scheme from the results. We also obtained false rejection rate less than 1.5% and the false acceptance rate for vicious attackers who know the motion pattern show in the figure less than 1% with the user's own signature satisfying the guideline.
著者
都築 佳生 村田 嘉利 佐藤 文明 水野 忠則
出版者
情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告. マルチメディア通信と分散処理研究会報告 (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.112, pp.55-60, 2003-03-20
参考文献数
5

警察庁の統計によると2002年1〜5月における重要窃盗犯の件数は20万件に迫ろうとしており、年々増加傾向にある。その一方で検挙件数は低下傾向にある。窃盗犯やストーカに対抗するため、一人暮らしの女性を中心にビデオカメラ付きインターフォンを利用して帰宅前に訪問者を確認したい等の自己防犯システムヘの要求が強まっている。ビデオインターフォンとiモード端末とをサーバを介して接続した上で、ビデオカメラ付きインターフォンとPHSを組み合わせたCTI技術の適用により、高セキュリティーを確保しつつリモート通話、自宅周辺の映像モニタリングおよび施錠状況等の遠隔確認を可能とする防犯システムを開発したので報告する。
著者
山田 善大 太田 賢 水野 忠則
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告モバイルコンピューティングとユビキタス通信(MBL) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.1997, no.72, pp.73-78, 1997-07-25
参考文献数
4

モーバイル環境にて利用されることを前提とした電子会議システムとしてPARCAE[1]が提案されている。これは、部分非同期会議を行うためのシステムであり、リアルタイムに会議発言を行う同期ユーザと発言情報の参照を主とする非同期ユーザの双方が混合した状態での利用を目的としている。本報告では、モーバイル電子会議サーバに蓄積された発言情報に対して効率的な参照方式を与えることで、非同期的なユーザの同期会議への迅速な参加をうながすことを目的とするダイジェスト情報の抽出・参照方式について述べる。PARCAE (Partial Asynchronous Conference system for wireless AccEss) [1] that tele-conference system for mobile environment was proposed. PARCAE is a system that to do partial asynchronous conference, and aim at mixture of Synchronous-user (realtime-speeching on synchronous conference) and Asynchronous-user (mainly, seeing speeches when he/she accessed to conference). This paper describes the method of extracting and viewing speech-data which was stored by mobile tele-conference server. We think this method will support user's quick joining in synchronous conference.
著者
原田 篤史 漁田 武雄 水野 忠則 西垣 正勝
出版者
情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.46, no.8, pp.1997-2013, 2005-08-15
被引用文献数
23

現行のユーザ認証方式は,汎用性と利便性の高さから文字をベースとしたパスワード方式が主流となっているが,人間にとって長くランダムな文字列を記憶することは容易ではなく,新たなパスワードを設定するたびにユーザは記憶に関する大きな負担を要求される.そのため,人間の画像認識能力の高さを利用して認証情報の記憶の負荷を低減させる画像認証方式が注目されている.しかし,多くの画像認証方式は毎回の認証時にパスワード画像がディスプレイ上に表示されるため,認証時の覗き見攻撃に対して脆弱であった.そこで本論文では,有意味なオリジナル画像に対してモザイク化をはじめとする不鮮明化処理を施すことで一見して無意味な画像を作成し,それをパスワード画像として用いることで覗き見攻撃への耐性を有する画像認証方式を提案する.正規ユーザは,パスワード画像登録時に不鮮明化処理を行う前のオリジナル画像を見ることができるため,不鮮明化されたパスワード画像をオリジナル画像の持つ意味と結び付けて記憶することができる.そのため,認証試行時には画面上に表示される自身の不鮮明なパスワード画像を容易に再認識することが可能となり,記憶の負荷は小さくなる.一方,オリジナル画像を見ることのできない他のユーザが当該ユーザの認証行為を覗き見たとしても,意味を認識できない不鮮明なパスワード画像を記憶にとどめておくことは困難である.また,他者が正規ユーザからパスワード画像の意味を言葉で教えられたとしても,不鮮明なパスワード画像を教えられた意味どおりに認識することは困難であるため,本方式は正規ユーザからのパスワード漏洩に対してもあるレベルの耐性を有する.Although password-based systems are now widely used in all kinds of authentication, they have a problem that humans have a limitation to remember secure passwords (long and random strings). Thus, image-based user authentication systems using "pass-images" instead of passwords have been studied for reducing the burden of memorizing passwords. However, on many image-based systems, it is needed to present a user's pass-image on their display at each authentication trial, so they can be vulnerable against an observing attack. In this paper, we propose a user authentication system using "unclear images" as pass-images, in which only the legitimate users are allowed to see the original (picture) images corresponding to their unclear pass-images in the enroll phase. The legitimate users can easily remember their unclear pass-images using the original images as clues, while illegal users without the clues have difficulties to find out and remember other user's unclear pass-images. In addition, it is expected to be difficult for even a legitimate user to leak his/her unclear pass-image precisely to anyone with words via e-mail or telephone.
著者
原田 篤史 漁田 武雄 水野 忠則 西垣 正勝
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.46, no.8, pp.1997-2013, 2005-08-15

現行のユーザ認証方式は,汎用性と利便性の高さから文字をベースとしたパスワード方式が主流となっているが,人間にとって長くランダムな文字列を記憶することは容易ではなく,新たなパスワードを設定するたびにユーザは記憶に関する大きな負担を要求される.そのため,人間の画像認識能力の高さを利用して認証情報の記憶の負荷を低減させる画像認証方式が注目されている.しかし,多くの画像認証方式は毎回の認証時にパスワード画像がディスプレイ上に表示されるため,認証時の覗き見攻撃に対して脆弱であった.そこで本論文では,有意味なオリジナル画像に対してモザイク化をはじめとする不鮮明化処理を施すことで一見して無意味な画像を作成し,それをパスワード画像として用いることで覗き見攻撃への耐性を有する画像認証方式を提案する.正規ユーザは,パスワード画像登録時に不鮮明化処理を行う前のオリジナル画像を見ることができるため,不鮮明化されたパスワード画像をオリジナル画像の持つ意味と結び付けて記憶することができる.そのため,認証試行時には画面上に表示される自身の不鮮明なパスワード画像を容易に再認識することが可能となり,記憶の負荷は小さくなる.一方,オリジナル画像を見ることのできない他のユーザが当該ユーザの認証行為を覗き見たとしても,意味を認識できない不鮮明なパスワード画像を記憶にとどめておくことは困難である.また,他者が正規ユーザからパスワード画像の意味を言葉で教えられたとしても,不鮮明なパスワード画像を教えられた意味どおりに認識することは困難であるため,本方式は正規ユーザからのパスワード漏洩に対してもあるレベルの耐性を有する.
著者
谷口 幸久 石原 進 西垣 正勝 水野 忠則
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告マルチメディア通信と分散処理(DPS) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2002, no.12, pp.121-126, 2002-02-14
参考文献数
8

インターネットにおける端末間の遅延は,その構造上一定ではない。そのためゲームなどの多数同時参加型のネットワークアプリケーションにおいて,サーバが複数のクライアント間で早い者勝ちの論理で勝敗を決定する場合,端末間の遅延較差による不公平が発生する。この問題に対し筆者らは,メンバ間公平性保証方式ICEGEM(Impartial Communication Environment for GamE Members)を提案しているが,この方式にはクライアントが偽証を行った場合,システムが正常に動作しないという問題が存在する。そこで本論文ではこの問題を解決するため,耐タンパハードウェアとして実現するSIC(Secure ICEGEM Card)をネットワークインターフェイスカードとしてクライアントに装着し,このSICによってクライアントの応答時間を測定する方式を提案し,実装に向けた具体的設計を示す。The delay between hosts in the Internet is not uniform because of its structure. Therefore, when servers determine victory or defeat on network application like multiplay network games in the logic of first come among some clients, the user's operations are treated unfairly because of the difference of delay between clients and the server. We have proposed a fairness guarantee system ICEGEM (Impartial Communication Environment for GamE Members) to solve this problem. However there are problems that ICEGEM does not work properly when clients send perjued messages. In this paper, in order to solve this problem, we propose a method to prevent purjuries on the ICEGEM and show the detailed design for mounting. In this method, each client installs a special network interface card SIC (Secure ICEGEM Card) which is implemented as a tamper registant hardware.
著者
杉本 祐介 佐藤 太一 土井 千章 中川 智尋 太田 賢 稲村 浩 内藤 克浩 水野 忠則 菱田 隆彰
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
研究報告モバイルコンピューティングとユビキタス通信(MBL) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2015, no.50, pp.1-6, 2015-02-23

近年,インターネット上では,Facebook や Twitter における日記や amazon.com や食べログにおけるレビューなど,ユーザからの投稿を利用したサービスが数多く普及している.これらのサービスに寄せられる投稿の中には,楽しい,きれいといった感情を示す感情語が数多く含まれており,先行研究では,そういった感情語を利用した観光地のレコメンド手法の提案を行った.その際,喜びや楽しみ,好みなどのポジティブな感情語が 1 つのカテゴリに集中してしまうという問題があり,詳細な分類を行うためにはこの問題を解決する必要があった.そこで本研究では,ポジティブな感情語が 1 つのカテゴリに固まってしまう問題を解決し,レコメンドに適した感情語の分類方法の提案を行う.
著者
山田 善大 峰野 博史 池谷 利明 太田 賢 水野 忠則
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.54, pp.541-542, 1997-03-12

最近の小型携帯端末の発展・普及に伴い, 携帯電話や PHS を利用したデータ通信などを行うモーバイルコンピューティングの形態が特に注目されるようになっている. この形態はユーザがどのような場所・時間においてもコンピュータを扱うことができるため, 様々な利用方法を考えることができる. しかしワイヤレス通信は, 帯域幅が制限され,通信コストも高く, 転送の途切れが生じる恐れがある等の理由により, デスクトップマシンのような扱いは難しいと考えられる. 従来の電子会議では参加者同士がリアルタイムに通信を行うため, 安定した通信環境の保証がなくては実現は難しいものであった. 本稿においては, 携帯端末を用いるユーザが電子会議に参加するためのシステムである PARCAE(Partial AsynchRonous Conference system for wireless AccEss)のサーバ部の設計・実装について述べる. このシステムには, 同期ユーザと非同期ユーザという二つの形態のユーザが存在すると定義する. 同期ユーザは主に LAN に接続されたユーザであり, 会議中に発言をすることで会議に参加する. 非同期ユーザは携帯端末の利用を主とし, 他参加者の発言をリアルタイムに受け取ることはないが会議参加者に認識され, 過去の発言データの取得・参照を行う事で不在時の会議の内容を知り, 会議にスムーズに途中参加できる.サーバは, 発言データの配送と格納, 発言データの加工処理, そして会議での発言権の制御を遂行する.
著者
太田 賢 渡辺 尚 水野 忠則
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告マルチメディア通信と分散処理(DPS) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.1997, no.35, pp.141-146, 1997-04-24
被引用文献数
4

モーバイルコンピューティング環境、ワイヤレス通信環境でもマルチメディアを利用したいという要求が高まっている.ワイヤレス通信環境は帯域幅が狭く、バースト誤り、移動時のハンドオフにより転送の途切れが生じるという問題があり、比較的大容量の帯域幅とスムーズな転送を必要とするマルチメディア通信の扱いは難しい。本研究は狭帯域環境において効率的にマルチメディア情報にアクセスする選択的マルチメディア通信方式を提案する.マルチメディア情報の内容を考慮してそのシーンごとに優先度を与えるシーン優先度と、フレームの種類、音声ブロックの音量によって機械的に付けられるユニット優先度という2つの優先度を導入する。利用可能帯域幅の範囲で、優先度に基づいた選択的なマルチメディア転送が行われ、重要なシーンは比較的高品質な再生を行うことができる。さらに、高優先度の情報の先読みにより、転送の途切れが生じても再生を続行させる手法、キャッシングにより巻きもどし時のマルチメディア再生の品質を向上させる手法について提案する。選択的マルチメディア通信方式の実装についても述べる。The realization of multimedia communication in mobile computing environment can lead developments of various attractive applications. However, there are following problems when using wireless link. In general, wireless link doesn't have bandwidth enough to accmodate multimedia communication. A transport service may be interrupted during carrying continuous media such as video and audio by a burst-error and a hand-off. We propose a priority-based multimedia communication protocol for wireless communication: SMAP(Selective Multimedia Access Protocol). It adopts the selective transport service accoring to priority of a video fame and an audio block, and the prefetching and the caching multimedia data with high priority. Authors or providers of multimedia data assign priority to important scenes in the multimedia data so that the selective transport service allocates them more bandwidth than trivial scenes. The prefetching allows a multimedia application to continue to playback even when a burst error or a hand-off occurs. The caching can improve quality of contents of multimedia data when a user rewinds the playback.
著者
市村 洋 鈴木 雅人 小畑 征二郎 吉田 幸二 酒井 三四郎 水野 忠則
出版者
Japanese Society for Engineering Education
雑誌
工学教育 (ISSN:13412167)
巻号頁・発行日
vol.48, no.2, pp.2-8, 2000
被引用文献数
11

現在日本では,創造性教育への切り替えを産官学挙げて強く推進している.我々高専では,最も柔軟な思考のできると言われる16~20才の年齢層の学生を教育対象としており,また比較的少人数制(必須科目で一教室40名定員)を採っており,創造性教育に恵まれた環境である.しかし日本の長い受動的教育の経緯を一挙に転換することは難しく,学生・教師双方とも相当の負担である.そこで,新しい時代にはそれに相応しい道具すなわちマルチメディアの活用により,20~30名単位の授業を能動的にする仕組みの授業システムを設計し,その有効性を検証した.<BR>このマルチメディア支援授業は,半期15週2時限授業をPLAN段階,DO段階,CHECK段階の3段階に分け,各段階にマルチメディアを柔軟に適応することを旨として設計した.このマルチメディア活用により試験合格型から予習中心型の学習へ転換でき,従来型の授業より2~3倍の学習時間を費やしていることも検証できた.また発表後の学友の評価,自由意見の激励に感動している報告も多かった.
著者
吉滝 幸世 太田 雅敏 川口 明彦 石原 進 水野 忠則
出版者
情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告モバイルコンピューティングとユビキタス通信(MBL) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2002, no.24, pp.211-218, 2002-03-08
参考文献数
13

近年、携帯電話上で絵文字を利用したメールや、モバイルカメラで撮影した写真に簡単な加工を施して他人に送信するなどの、画像を利用したコミュニケーションが盛んに行われている。しかし、現在は、携帯電話上でユーザが自由に画像を作成することはできず、利用できる画像は、端末内にあらかじめ用意さらたものや、Web上からダウンロードされたものに限定される。そこで、筆者らは自作の画像による携帯電話でのコミュニケーションを可能にするツールとしてCONTE(Canvas ON mobile TElephone)を提案する。本稿では、CONTEシステムを設計、実装し、比較研究とアンケート調査による評価を行った。評価結果より携帯電話を用いたお絵描きツールの有効性が示された。In recent years, mobile communications with not only texts but also pictures have been widely used. For example, we can send e-mail including face marks and a pictures taken by a mobile camera. However, we cannot use original images in e-mail and draw graffity on a picture. We can use only images downloaded from hosts the Internet or prepared in mobile phones. In this paper, we propose a drawing tool CONTE(Canvas ON mobile TElephone) for mobile phones with Java virtual machine. In this study, we have designd and implemented the CONTE. In addition, we have evaluated the system by comparing images written by mouse with drawn by CONTE and questionnaires about the interface of the CONTE. From the evaluation result, the validity of the draw tool using mobile phone was shown.