著者
黒野 伸子 大友 達也 岡崎女子短期大学 安田女子大学
雑誌
岡崎女子大学・岡崎女子短期大学 研究紀要 (ISSN:21882770)
巻号頁・発行日
no.52, pp.57-66, 2019-03-15

筆者らは、これまでに王朝文学に現れる「病」の扱いについて、「他者からの要求を回避する口実、自己の希望を叶えるための理由づけ、体験の特殊さを強調する効果など、対象者の願いをかなえる便利ツール」のような扱いがなされていることを明らかにした。しかし、筆者らは古代の人々が持つ疾病観、医療観を論じるには、多方面からのアプローチも重要だと感じていた。そこで本稿では、古代医療史に関する先行研究レビューを基礎として、山上憶良と大伴家持の作品にみる表現とメトニミー両面からのアプローチを試みた。その結果、少なくとも、奈良時代の知識人が持つ疾病観、医療観には重層性があることが示唆された。
著者
黒野 伸子 大友 達也 岡崎女子短期大学 安田女子大学
雑誌
岡崎女子大学・岡崎女子短期大学 研究紀要 (ISSN:21882770)
巻号頁・発行日
no.52, pp.57-66, 2019-03-15

筆者らは、これまでに王朝文学に現れる「病」の扱いについて、「他者からの要求を回避する口実、自己の希望を叶えるための理由づけ、体験の特殊さを強調する効果など、対象者の願いをかなえる便利ツール」のような扱いがなされていることを明らかにした。しかし、筆者らは古代の人々が持つ疾病観、医療観を論じるには、多方面からのアプローチも重要だと感じていた。そこで本稿では、古代医療史に関する先行研究レビューを基礎として、山上憶良と大伴家持の作品にみる表現とメトニミー両面からのアプローチを試みた。その結果、少なくとも、奈良時代の知識人が持つ疾病観、医療観には重層性があることが示唆された。
著者
中山 聖 福西 恵太 山下 晋 春日 規克 岡崎女子大学非常勤講師 愛知県立安城東高校 岡崎女子短期大学 岡崎女子大学
雑誌
岡崎女子大学・岡崎女子短期大学 研究紀要 (ISSN:21882770)
巻号頁・発行日
no.55, pp.83-89, 2022-03-15

本研究では、陸上選手計 2 名に対し自転車エルゴメーターでの負荷漸増法により乳酸性作業閾値(LT)の測定を行った後、算出した LT 値前後の 5 種類の運動強度負荷にて 15 分間の一定強度ペダリング運動を行った。各強度の血中乳酸濃度が定常に達した値により乳酸カ-ブを描き、従来の乳酸カ-ブとの比較を行いLT の意義を検討することを目的とした。 結果として、15 分間ペダリング時の血中乳酸濃度はすべての強度において、従来の方法による血中乳酸濃度より高値を示した。5種類のペダリング強度と血中乳酸濃度との関係を示す乳酸カ-ブにみられるLTは、従来の方法によるLT測定時よりも低強度で観測された。 以上のことから、従来の LT 測定時の血中乳酸濃度はピークを迎える前の乳酸増加時の値であり、有酸素性と無酸素性作業の境界線を決める値としては問題があるため、トレーニングの LT 利用には今後さらなる検討が必要であることが示唆された。
著者
岸本 美紀 武藤 久枝 岡崎女子大学 中部大学
雑誌
岡崎女子大学・岡崎女子短期大学 研究紀要 (ISSN:21882770)
巻号頁・発行日
no.52, pp.39-46, 2019-03-15

本研究は、保育者が保護者支援で抱える困難感の内容と構造について、保護者支援の難しさや大変さに関する先行研究の記述を抽出し、分析を行った。記述をカテゴリー化した結果、最終的に「保護者自身に起因する困難感」、「保育者自身に起因する困難感」そして保育者と保護者の「関係性に起因する困難感」の3 つのカテゴリーに分類された。また、困難感の内容については、「保護者自身に起因する困難感」に関するものが最も多く、保護者の養育態度や特徴から困難感が生じると捉えている保育者が多いことがうかがえた。今後の課題として、保護者の言動や特徴を捉えた支援の仕方について検討し、保育者に示していく必要性が考えられる。
著者
黒野 伸子 大友 達也 岡崎女子短期大学 安田女子大学
雑誌
岡崎女子大学・岡崎女子短期大学 研究紀要 (ISSN:21882770)
巻号頁・発行日
no.50, pp.31-40, 2017-03-25

王朝文学において「病」は不吉な事象の代表として扱われており、雅を旨とする文学世界にはそぐわない内容 に思えるが、王朝文学には「病」が登場する場面が多い。本稿は、王朝文学成立当時に流布していた病名および 病を表す言葉(以下、病を表す言葉と記す)に目をつけ、神尾(1995)の疾病規定を用いて落窪物語での扱いを 検証し、平安王朝期の知識階級が持つ医療観を可能な限り明らかにしようとした。その結果、落窪物語には、具 体的な病名や症状を表す言葉が多用されていることがわかった。さらに、病名を表す言葉は、すべて、事象に対 する口実、理由づけ、身分や関係性を明らかにする等の作用を持っていることが明らかとなった。平安王朝期は、 科学的治療の恩恵を受けられる階級がごく一部しかおらず、多くは加持祈祷に頼っていた時代である。その中で、 知識階級は、巷にあふれている病を現実的に見つめ、生活に取り入れる術を身につけており、現代人に通じる医 療観を持ち合わせていたことが示唆された。