著者
増田 榮美
出版者
上田女子短期大学
雑誌
紀要 (ISSN:21883114)
巻号頁・発行日
vol.39, pp.37-52, 2016-01-31

本論文は、結婚式形式の移り変わりについて、社会背景や家族関係から受ける消費者傾向への影響を分析し、結婚式の歴史とともに、リゾートウェディング市場の誕生について明らかにするものである。結婚式の歴史を概観する中で、1970年代初めの結婚ブームにより結婚式場の予約が取れなかったり、一般的な結婚式が挙げられない事情があるなど、消極的に選択された個性的な結婚式がリゾートウェディングの原点であることがわかった。その後、リゾートウェディングが消費者のニーズにマッチし、積極的に選択されるようになったことが、まさに市場誕生のきっかけであったことが明らかになった。
著者
山本 一生
出版者
上田女子短期大学
雑誌
紀要 (ISSN:21883114)
巻号頁・発行日
vol.41, pp.41-57, 2018-01-31

本稿は華北占領地後の北京大学において日本留学経験者が「対日協力者」として果たした役割を考察した。日本が華北を占領すると、主だった国私立大学は蒋介石政権と共に「南遷」し、国立西南連合大学などを結成した。一方で残った北京大学や清華大学などを統合して、「国立北京大学」が「対日協力政権」である中華民国臨時政府唯一の総合大学として設置されることとなった。 当初「国立北京大学」の設立に批判的であった銭稲孫は、家族問題を理由に北京に留まり、その批判対象であった機関の長という「対日協力者」となった。「国立北京大学」文学院長、華北政務委員会教育総署督辦となった周作人も家族問題などを理由に北京に留まり、結果的に「対日協力者」となった。
著者
林 昭志
出版者
上田女子短期大学
雑誌
紀要 (ISSN:21883114)
巻号頁・発行日
vol.44, pp.7-19, 2021-01-31

本研究ではアメリカで著名な研究者ブライアン・ワンシンク博士(Dr. Brian Wansink)の論文撤回と大学辞職事件を解説した。ワンシンク氏はイグノーベル賞を授賞したり、アメリカ政府の栄養政策のトップに就いたり、メディアに数多く出演するなど著名な食心理学研究者だった。しかし論文の記述の誤り、不適切な分析方法、不適切なオーサーシップなどだけではなく、ローデータの有無・保管が問題とされて、一流ジャーナルの論文撤回が決定的な原因となり辞職した。この事件はアメリカでは注目されたが日本では注目されなかった。最後に研究不正防止・研究倫理のために必要な内容を考察した。
著者
大橋 敦夫
出版者
上田女子短期大学
雑誌
紀要 (ISSN:21883114)
巻号頁・発行日
vol.37, pp.73-89, 2014-01-31
著者
酒井 真由子 西 朋子 山口 美和
出版者
上田女子短期大学
雑誌
紀要 (ISSN:21883114)
巻号頁・発行日
no.44, pp.43-56, 2021-01-31

本研究の目的は、小学2年生の児童の保護者への質問紙調査を通して、幼児期の外遊びの程度が、その後の学童期の子どもの身体的、精神的な活動性に及ぼす影響を考察することである。中部地方にある中都市A市、B市、C市の3つの市の公立小学校に通う小学2年生の児童の保護者(1,382名)を対象とし、525名(回収率38.0%)からの回答を得た。クロス分析の結果、幼児期に外遊びを好んでいた子どもは、外遊び好き以外の子どもに比べて、友達や先生など他者に対して積極的に関わっており、学校生活において活発に活動している傾向にあることがわかった。幼児期における外遊びの経験が小学2年生の時点における活動性に影響を与えているのかを分析するために重回帰分析を行ったところ、親からみて「幼児期の外遊びの程度」が多い子どもほど、学校生活への意欲や人との関わりに対して積極的であった。子ども本人の視点からみても、「幼児期の外遊びの程度」が多い子どもほど、運動など身体的な活動に対する肯定的な意識や行動をもっていた。
著者
吉澤 俊
出版者
上田女子短期大学
雑誌
紀要 (ISSN:21883114)
巻号頁・発行日
vol.44, pp.99-109, 2021-01-31

マチエール(matière)は、現代の絵画において重要な位置を占めながら、印刷物・タブレット等による「イメージ」を中心とした「鑑賞」では、結果的に排除されることも多い。本論では、マチエールの中でも、絵画平面と空間とのまさに「境界」にあたり制作の最終的な到達点となる「表層」に焦点を当て、「被膜層」、「絵画層」、「表層に対する時間的変容」という三つの視点を手がかりに、作家の主題表現における表層の役割について代表的作品をもとに論じていく。その上で、「実制作」を通して主題表層の具体的な技法の活用方法を探ることにより絵画表層の表現技法の可能性を明らかにする。