著者
青木 美紀子 佐久間 勇人 三ツ屋 妙
出版者
学校法人聖路加国際大学
雑誌
聖路加国際大学紀要 = Bulletin of St. Luke’s International University (ISSN:21891591)
巻号頁・発行日
vol.9, pp.139-143, 2023-03

本学では看護学部4 年生の選択科目「看護ゼミナール(遺伝看護)」を開講している。遺伝医療と社会の関わりを概観し,先天的な体質をもつ人や家族の現状と課題を理解し,看護支援を考察することを学習目標としており,教授方法の一つに当事者参加授業を導入している。当事者参加授業は,対象理解を深める有効な教育方法である。2022年度は,脊髄小脳変性症の当事者と協働し,オンラインを活用した当事者参加授業を試みたので報告する。2022年度の履修者は12名であった。当事者による体験の共有だけでなく,当事者から提示された質問について,学生が回答を準備して当事者と共有する機会も設けた。学生は,当事者との対話を通して対象理解を深め,当事者から提示された問い(生きるとは何か,看護とは何か)を通して看護観に改めて向き合う姿勢がみられた。当事者参加授業の展開に関し,新たな工夫を探求する必要がある。