著者
飯岡 由紀子 亀井 智子
出版者
公益社団法人 日本看護科学学会
雑誌
日本看護科学会誌 (ISSN:02875330)
巻号頁・発行日
vol.41, pp.114-121, 2021 (Released:2021-08-12)
参考文献数
25
被引用文献数
1

目的:学際的チームを基盤とし,個人の認識からチームアプローチを評価するチームアプローチ評価尺度(TAAS)の信頼性と妥当性を検討し,TAAS改訂版(TAAS-Revised Edition)を開発する.方法:A県の総合病院3施設の医療専門職を対象にTAASを用いて無記名質問紙横断調査を行った.信頼性はα係数の算出,妥当性は探索的因子分析にて検討した.研究倫理審査委員会の承認を得て行った.結果:回収率27.1%,有効回答は789部だった.探索的因子分析は最尤法のプロマックス回転により,22項目となり,TAASの4因子から5因子構造(チームの機能,チームへの貢献,チーム活動の重要性,チームメンバーの役割遂行,目標と役割の明確化)となった.尺度全体のα係数は .93であり,各因子は .68~.91の範囲だった.結論:TAAS改訂版は,概ね信頼性と妥当性は確保された.
著者
谷口 好美 亀井 智子
出版者
日本老年看護学会
雑誌
老年看護学 : 日本老年看護学会誌 : journal of Japan Academy of Gerontological Nursing (ISSN:13469665)
巻号頁・発行日
vol.7, no.1, pp.110-118, 2002-11-01
被引用文献数
1

本研究の目的は,医療の場に勤務する看護者の高齢者観および不愉快体験を記述することである.病院,介護老人保健施設の看護者365名を対象に,構成的質問紙を用いて高齢者への肯定的・否定的傾向,および自由記載にて高齢者看護における不愉快体験とその内容を収集した.その結果,以下のことが明らかになった.1.老年期の開始は70歳前後,人生で最悪だと思う年代は60〜80代以上が最も多かった.2.約6割は高齢者を看護することに対して好意的であり,「高齢者はめったに怒らない」「経験があり賢明」等と捉えていた.一方,「慢性疾患」「新しいことを学ぶのは大変」「長期ケア施設に入所・入院している」等の意見に対しては否定的な傾向がみられた.3.看護上で不愉快な体験があった者は44.4%で,その内容は「暴言・暴力」「頑固・自己中心的・他者の言うことを聞こうとしない」等の10カテゴリーに分類され,看護者の高齢者観,高齢者に対する態度に影響している可能性があることが示唆された.
著者
亀井 智子 山本 由子 梶井 文子 中山 優季 亀井 延明
出版者
公益社団法人 日本看護科学学会
雑誌
日本看護科学会誌 (ISSN:02875330)
巻号頁・発行日
vol.31, no.2, pp.2_24-2_33, 2011-06-20 (Released:2011-07-15)
参考文献数
28
被引用文献数
11 9

目的:COPD HOT実施者を対象として,在宅モニタリングに基づくテレナーシング(TN)を3ヵ月間提供し,急性増悪(primary outcome),および再入院(secondary outcome)をエンドポイントとして,ランダム化比較試験により効果を検討した.方法:対象は,COPD HOT実施者37名を介入群20名(平均年齢76.0歳),対照群17名(77.7歳)に無作為に割り付けた.方法は,介入群には毎日TNを提供し,対照群は従来の診療のみとした.結果:対象特性として,介入群の介入直前の在院日数は対照群よりも有意に長かった.介入群はTNにより急性増悪発症者が32.9%減少した.また,発症までの日数は有意に長く,介入前・中一人当たり急性増悪発症回数は介入群のみ有意に減少した.再入院割合は3.5%減少したが有意差はなく,介入前・中一人当たりの再入院回数は介入群のみ有意に減少した.生存分析(Kaplan–Meier法)では,急性増悪について両群間に有意差が認められた.結論:在宅モニタリングに基づくTNはCOPD HOT実施者の急性増悪発症予防,および発症回数を低下させる可能性があると示唆された.
著者
大久保 暢子 亀井 智子 梶井 文子 堀内 成子 菱沼 典子 豊増 佳子 中山 和弘 柳井 晴夫
出版者
公益社団法人 日本看護科学学会
雑誌
日本看護科学会誌 (ISSN:02875330)
巻号頁・発行日
vol.25, no.1, pp.31-38, 2005-03-20 (Released:2012-10-29)
参考文献数
11
被引用文献数
3 1

看護大学における高等教育・継続教育としての e-learning (以下 EL と称す) は, 時間的・物理的制約を解消する有用な手段である. 今回, 国内の保健医療福祉機関に勤務する看護職計1,270名 (有効回答率36.6%) を分析対象として EL に関するニーズ調査を行った. その結果の一部を参考に仮説を立て, 因果モデルを想定し, 因子分析・共分散構造分析を用いて説明を試みた.結果: (1)「直接交流がないことへの不安」,「ELの内容や費用への不安」,「1人で学習することによる不安」といったEL受講への不安がなければ「ELの受講希望」は高くなり, 中でも「直接交流がないことへの不安」が「EL受講希望」に最も強く影響していた. さらに, (2) 大学の単位や認定看護師の教育単位といった「単位取得が可能」であれば「EL受講希望」は高くなることも明らかとなった. 以上のことから, 看護高等教育・卒後教育におけるEL導入は, スクーリングや対面式講義など直接交流の機会がもてること, 大学や認定看護師の講義単位が取得できることが重要であることが示唆された.
著者
亀井 智子 西川 浩昭 柳井 晴夫
出版者
公益社団法人 日本看護科学学会
雑誌
日本看護科学会誌 (ISSN:02875330)
巻号頁・発行日
vol.33, no.2, pp.2_3-2_11, 2013-06-20 (Released:2013-07-04)
参考文献数
18

【目的】看護系大学共用試験(CBT)用に作成した老年看護学の出題90項目を古典的テスト理論(CTT),および項目反応理論(IRT)を用い正答率,および項目識別度,項目困難度などの特性によりメタ評価した.【対象と方法】便宜的標本抽出により国公私立看護系23大学の臨地実習前の3年次生730名を対象として,紙筆試験を実施した.分析は正答率,IT双列相関,項目困難度(2PL model),項目識別度,因子負荷量を求め,項目特性曲線等を描いてすべての項目特性を評価した.【結果】老年看護学の平均正答率は65.8~69.3%で,他科目との相関は薬理学r=0.30~0.41, 解剖学・病理学r=0.28~0.38であった(p<0.01).項目困難度(-5.851~4.068),および項目識別度(0.292~2.218)とも幅が広かった.情報量曲線により各項目の特性が示された.90項目中3 項目の項目識別度が低かった.【結論】90項目の問題中87項目はCBTでの利用が可能と考えられた.しかし,このうち71.1%は項目困難度が負の易しい問題であったため,能力水準の高いレベルの受検者の識別に課題が残った.
著者
光永 悠彦 柳井 晴夫 西川 浩昭 佐伯 圭一郎 亀井 智子 松谷 美和子 奥 裕美 村木 英治
出版者
日本行動計量学会
雑誌
行動計量学 (ISSN:03855481)
巻号頁・発行日
vol.41, no.1, pp.17-34, 2014 (Released:2015-03-10)
参考文献数
20

Background: As Japanese nursing colleges increasingly require common criteria for assessing practical nursing ability prior to entering clinical hospital practice, it is important to construct a test item bank that can facilitate the evaluation of multiple domains. However, ordinal IRT models, such as the 2 parameter logistic model (2PL), operate under the assumption of unidimensionality, preventing application to comprehensive testing of multiple domains. Method: We conducted a computer-based test with items from 20 domains, classified into three areas: (1) basic medicine, (2) basic nursing, and (3) clinical nursing. About 780 students answered items, which were applied to common-item design and calibrated item parameters using two strategies; the first strategy assumed one-factor model for each area, the second strategy assumed unidimensionality by domain. Conclusion: For constructing an item bank, estimating item parameters by domain results in larger test information and more appropriate parameter estimates than estimating parameters by area.
著者
亀井智子 友安 直子 梶井 文子 久代 和加子 杉本 知子
出版者
聖路加看護大学
雑誌
聖路加看護学会誌 (ISSN:13441922)
巻号頁・発行日
vol.10, no.1, pp.23-36, 2006
被引用文献数
2

本研究の目的は,在宅認知症高齢者に関する学際的チームアプローチの質を評価する枠組みの開発を行うことである。方法は,データベースによる文献検索から24文献,ハンドサーチから20文献,計44文献を国内外から収集し,それらの要約と統合を行い,在宅認知症高齢者に関する学際的チームアプローチによる成果(outcome)に基づく質評価の枠組みを作成した。さらにその妥当性の検討のために,計16名の保健医療福祉の各専門職実践家にインタビュー調査を行った。文献の統合により,outcome評価の具体的項目を分類し,抽象度を上げていき,在宅認知症高齢者に関する学際的チームアプローチの質評価の大・中・小項目にわたる枠組みを作成した。その結果,質評価枠組みの大項目は,次の9項目の大項目で構成されるものとなった。「I.認知障害と記憶障害とともに生きること」「II.認知と記憶の状況が見守られること」「III.認知と記憶障害に関連する問題を解決すること」「IV.活動的であること」「V.認知症以外の合併症のリスクを減らすこと」「VI.決定する力をもつこと」「VII.意思疎通できること」「VIII.活動と参加の能力を促進すること」「IX.心地よくあること」。また,各々の中・小項目では,在宅認知症高齢者の日常生活全般にわたる医学面,生活行動・活動,心身の機能,コミュニケーション,生活の質(QOL)などの側面が含まれ,日常生活全般にわたり認知症高齢者が前向きに生活する姿をoutcomeとしてケアの質を評価するものとなった。専門職へのインタビュー結果から,この枠組みは支持された。しかし,在宅認知症ケアの実践現場において質評価上不可欠とされたのはケアマネジメントの視点であることが共通にあげられ,最終的に「X.ケアマネジメントされること」を加えた10項目の大項目で構成される枠組みが作成された。今後,各々の質評価の柱に沿った具体的なケア内容,評価指標と時期,職種ごとのケアの専門性について具体化することが必要である。
著者
杉本 知子 亀井 智子
出版者
公益社団法人 日本看護科学学会
雑誌
日本看護科学会誌 (ISSN:02875330)
巻号頁・発行日
vol.31, no.4, pp.4_14-23, 2011-12-20 (Released:2012-01-21)
参考文献数
17
被引用文献数
1 4

目的:介護保険施設に勤務する医療・福祉職のチームアプローチ実践の自己評価を行うITA評価尺度を開発し,信頼性と妥当性を検討する.方法:Interdisciplinary teamの概念分析の結果と医療・福祉職から収集した意見を基に尺度原案(40項目)を作成し,24ヵ所の介護老人保健施設のスタッフ904名を対象に自記式質問紙調査を行った.信頼性,妥当性の検討はCronbach α,再テスト法,因子分析等により行った.結果:401票が回収され(有効回答率44.4%),因子分析から本尺度は〈組織構造の柔軟さ〉〈ケアのプロセスと実践度〉〈メンバーの凝集性と能力〉の3因子構造(全32項目),モデルの適合度はGFI等が0.9以上を示した.尺度全体のCronbach αは0.9以上,再テスト法による信頼性係数は全項目で0.4以上であった.結論:ITA評価尺度は,介護保険施設スタッフのチームアプローチ実践を把握可能な信頼性と妥当性のある尺度であると示唆された.
著者
島内 節 清水 洋子 福島 道子 佐々木 明子 中谷 久恵 河野 あゆみ 田中 平三 亀井 智子 林 正幸 丸茂 文昭
出版者
東京医科歯科大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
1998

平成10年度〜12年度にかけて「在宅ケアにおける基本的な日常生活行動の自立支援のためのケアプランと評価方法」について研究を行った。平成10年度に日常生活行動の自立を可能にする条件を分析した。結果は2ヵ月で改善可能な内容は着替え、服薬行動、痛み、介護者の心身の疲労であった。同年にケアプランの実施の有無とプラン修正によるニーズ解決を分析した。その結果、ニーズ解決率の高い順位は(1)ケアプランを必要に応じて修正し実施、(2)ケアプラン実施、(3)実施しない、の順であること、ケアプランの修正要因は利用者条件、サービス提供条件、ケアマネージャーの順であった。平成11年度には日常生活行動変化のアウトカム項目をアメリカ合衆国のメディケア機関で義務化されていたOASIS(The Outcome Assessment Information Set)を中心に我々が開発していた日本版在宅ケアアセスメント用紙を組み合せて、在宅ケアの評価を行い、それに基づきケアプランを5機関で行った。平成12年度にはアウトカム項目を確定し、自立度変化とケアプロセスの内容、満足度を評価し、プランを立てて実施後に再度アウトカムとプランを評価する方法の開発、サービス提供者の能力開発と組織力向上の評価方法を開発し、マニュアル化した。なお、利用者アウトカムに関しては、フィンランドとの共同研究を行った。
著者
柳井 晴夫 亀井 智子 中山 和弘 松谷 美和子 岩本 幹子 佐伯 圭一郎 副島 和彦 中野 正孝 中山 洋子 西田 みゆき 藤本 栄子 安ヶ平 伸枝 井上 智子 麻原 きよみ 井部 俊子 及川 郁子 大久保 暢子 小口 江美子 片岡 弥恵子 萱間 真美 鶴若 麻理 林 直子 廣瀬 清人 森 明子 奥 裕美 外崎 明子 伊藤 圭 荘島 宏二郎 植田 喜久子 太田 喜久子 中村 洋一 菅田 勝也 島津 明人 金城 芳秀 小林 康江 小山 眞理子 鶴田 恵子 佐藤 千史 志自岐 康子 鈴木 美和 高木 廣文 西川 浩昭 西山 悦子 野嶋 佐由美 水野 敏子 山本 武志 大熊 恵子 留目 宏美 石井 秀宗 大久保 智也 加納 尚美 工藤 真由美 佐々木 幾美 本田 彰子 隆 朋也 中村 知靖 吉田 千史 西出 りつ子 宮武 陽子 西崎 祐史 山野 泰彦 牛山 杏子 小泉 麗 大西 淳子 松本 文奈 鶴見 紘子
出版者
聖路加看護大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2008

近年、看護系大学の急増と医療の高度化に伴い、卒業までに取得すべき看護実践能力の評価の重要性が増加している。その一環として、臨地実習に入る直前の段階までに看護学生が取得すべき知識・能力を正しく評価しておくことは看護実習の適正化のための急務の課題である。このような状況に鑑み、申請者は、2008~2010年に科学研究費補助金を受け、看護系大学の学生が臨地実習以前に必要とされる知識・能力の有無を検証することを目的として、看護学18領域から約1500の多肢選択式形式の設問を作成し、730名の学生に紙筆形式のモニター試験、および、220名の学生に対するコンピュータ試験(CBT:Computer Based Testing)を実施し、その結果を比較し、全国看護系大学共用のコンピュータ試験の有用性を確認した。