著者
牧 和生 Maki Kazuo
出版者
九州国際大学現代ビジネス学会
雑誌
九州国際大学 国際・経済論集 = KIU Journal of Economics and International Studies (ISSN:24339253)
巻号頁・発行日
no.6, pp.47-70, 2020-10

本論文は、2000年代(ゼロ年代)以降のアニメにおいて多数世に送り出され、現在においても一定の地位を獲得している「日常系アニメ」に焦点を当てた。さらに、本論文では日常系アニメの中でも、特に日常系4コママンガを原作とするアニメ作品を研究対象にしている。日常系4コママンガを原作とするアニメ作品は、その本数自体はアニメ全体の中でもわずかであるが、ほぼ毎年一定数が制作されるなど1つのアニメカテゴリーを成している。本論文では、これらの日常系4コママンガを原作とするアニメ作品が制作され続けていることに対する経済学的意味ついて、現代社会における閉塞感および視聴者側の心理的な側面に注目して検討したものである。
著者
牧 和生 Maki Kazuo
出版者
九州国際大学現代ビジネス学会
雑誌
九州国際大学 国際・経済論集 = KIU Journal of Economics and International Studies (ISSN:24339253)
巻号頁・発行日
no.6, pp.47-70, 2020-10

本論文は、2000年代(ゼロ年代)以降のアニメにおいて多数世に送り出され、現在においても一定の地位を獲得している「日常系アニメ」に焦点を当てた。さらに、本論文では日常系アニメの中でも、特に日常系4コママンガを原作とするアニメ作品を研究対象にしている。日常系4コママンガを原作とするアニメ作品は、その本数自体はアニメ全体の中でもわずかであるが、ほぼ毎年一定数が制作されるなど1つのアニメカテゴリーを成している。本論文では、これらの日常系4コママンガを原作とするアニメ作品が制作され続けていることに対する経済学的意味ついて、現代社会における閉塞感および視聴者側の心理的な側面に注目して検討したものである。
著者
松井 貴英 MATSUI Takahide
出版者
九州国際大学現代ビジネス学会
雑誌
九州国際大学国際・経済論集 = KIU Journal of Economics and International Studies (ISSN:24339253)
巻号頁・発行日
no.11, pp.35-64, 2023-03-31

本論文では、藤子・F・不二雄の短編「劇画・オバQ」を扱いつつ、彼がこの作品において描こうとした「劇画」的なものとは何であるかという問題についての考察が行われる。そして、「劇画・オバQ」は、子どもの頃の正太の生きていた世界と成人した正太の生きる世界というこのふたつの異なる世界線がある時点で交差し、しかしやがて離れていくという、そのような短編であることと、「劇画・オバQ」における「劇画」は、正太の生きる現実の世界であり、Q太郎の登場は、正太の生きる世界線を反証的に浮かび上がらせていることを示す。その上で、誰かによって物語られることはないどこにでもありそうな、何も起きることのなさそうな日常が、この作品において「劇画」として描かれていることを示す。
著者
牧 和生 Maki Kazuo
出版者
九州国際大学現代ビジネス学会
雑誌
九州国際大学国際・経済論集 = KIU Journal of Economics and International Studies (ISSN:24339253)
巻号頁・発行日
no.3, pp.99-120, 2019-03

近年、アニメなどのコンテンツをきっかけとした旅行行動である「コンテンツツーリズム」に関する研究が多く行われている。特定の名所だけではなく、日常の風景がアニメに登場することで、その場所は特別な聖地となる。 本論文は、このコンテンツツーリズムの代表的な研究成果をまとめ、乱立する「現実の聖地化」について批判的に検討を行っている。さらに、コンテンツツーリズムの経済学的意義についても議論を行い、経済や社会における望ましい形についての展望も示している。このあるべき経済・社会の姿こそ、日本経済に蔓延する閉塞感の打開に必要なものである。
著者
松井 貴英 Matsui Takahide
出版者
九州国際大学現代ビジネス学会
雑誌
九州国際大学国際・経済論集 = KIU Journal of Economics and International Studies (ISSN:24339253)
巻号頁・発行日
no.7, pp.15-40, 2021-03

本論文は、1970年前後に辰巳ヨシヒロが執筆した作品に対して評されることのある「うらぶれ」「よるべのない」という評価が、1956年に執筆された『黒い吹雪』においてもなされうるかどうかを検討する。そしてこの作品から、「よるべのない」と表現されうる作風の萌芽を読み取ることができることを示す。具体的には、主要登場人物の一人であるイカサマ博奕打ちの男の「よるべのない」心のありようについて具体的に検討し解釈することによって、それが示される。
著者
日高 俊夫 今西 真弓
出版者
九州国際大学現代ビジネス学会
雑誌
九州国際大学国際・経済論集 = KIU Journal of Economics and International Studies (ISSN:24339253)
巻号頁・発行日
vol.4, pp.1-20, 2019-08

一般にイギリス英語の口語表現でhaveと同様に所有の意味を表すとされるhave gotを共時的に分析する。具体的には、先行研究(登田1994;Tamura2005等)において、「発話時である現在における(一時的)所有」という概念がhave gotの中核的意味とされるのに対して、本論では発話行為的側面に焦点を当て、have gotは富岡(2010)における「主張行為」を担うことを主張する。このことにより、先行研究におけるhave gotの分布に関する記述を統一的に説明できることを示す。また、have gotが主に用いられるとされる現在時制であっても「主張行為」にあたらない場合は容認性が低い一方で、先行研究において容認性が低いとされる「過去時制での使用」「不可分所有」「習慣的状態」「総称文」においても「主張行為」にあたる場合は容認性が向上する事実や、データに対する先行研究の容認性判断における齟齬が原理的に説明されうることを併せて示す。
著者
大形 里美 Ohgata Satomi
出版者
九州国際大学現代ビジネス学会
雑誌
九州国際大学 国際・経済論集 = KIU Journal of Economics and International Studies (ISSN:24339253)
巻号頁・発行日
no.6, pp.1-36, 2020-10

ここ数十年の間にイスラム諸国を中心に「ハラール認証」が普及し、滞日・訪日イスラム教徒(ムスリム)たちは、飲食物の「ハラール性」にますます敏感になってきている。そして今、日本のフードビジネス業界には、ムスリムの食のタブーに対応したサービス「ハラール対応」への取り組みが今まで以上に求められている。ムスリム人口が少ない日本で「ハラール対応」を普及させるためには、本稿で取り上げる福岡のレストラン「極味や」による「ハラール対応」のような取り組みが不可欠である。また福岡マスジドによる「ハラール認証」無料発行の試みは、従来の「ハラール認証」制度が抱える問題点を認識し、新たな「ハラール認証」制度のあり方を模索するものであり注目される。
著者
大形 里美 Ohgata Satomi
出版者
九州国際大学現代ビジネス学会
雑誌
九州国際大学国際・経済論集 = KIU journal of economics and international studies (ISSN:24339253)
巻号頁・発行日
no.5, pp.21-54, 2020-03

インドネシアにおいて、1980年代に異宗婚(ムスリム〔イスラム教徒〕と非ムスリムの婚姻)を禁止するファトワーが出され、現状 異宗婚が不可能になっていることについて、異宗婚を禁止するファトワーが出されるに至った当時の社会的背景とファトワーに書かれた異宗婚禁止の理由を考察した。また人権擁護の観点から、異宗婚を認めるべきだと主張するリベラル派イスラム勢力による近年の議論と婚姻法改革をめぐる動向を分析した。かつて「1974年婚姻法」が成立するまで、そしてその後2000年頃までは婚姻法のあり方をめぐってイスラム派勢力と世俗派勢力が対立する構図が存在していたが、それ以降は、リベラル派イスラム勢力と世俗派勢力が共闘して保守派イスラム勢力と対峙する構図へと変化している。
著者
大形 里美 Ohgata Satomi
出版者
九州国際大学現代ビジネス学会
雑誌
九州国際大学国際・経済論集 = KIU Journal of Economics and International Studies (ISSN:24339253)
巻号頁・発行日
no.3, pp.47-78, 2019-03

インドネシアでは、イスラム文化圏としては珍しく、LGBT(Lesbian〈女性同性愛者〉、Gay〈男性同性愛者〉、Bisexual〈両性愛者〉、Transgender〈性別越境者〉の頭文字をとった単語で性的少数者の総称。)運動がこれまでかなり活発に行われてきた。とりわけ1998年の民主化以降、レズビアン運動が女性運動の一部に組み込まれたことによって、同国におけるLGBT運動は、外部に開かれた政治社会的運動として次第に可視化される存在となっていった。しかしそうした同国のLGBT運動の進展は、同時に同国内の保守派イスラム勢力による反LGBT運動を活発化させることとなり、近年、LGBT問題は急速に政治イシュー化している。LGBT脅威論が、マス・メディアやソーシャル・メディアなどを通じて社会一般に広められ、一般のイスラム教徒たちの間からもLGBTに対して明らかに否定的な反応が見られ始めている。現在同国には、西欧思想に影響を受けた世俗的なLGBT運動の潮流と、西欧的な人権意識を共有する多元主義的(リベラル派)イスラムの潮流が協力関係を築き、保守派イスラム勢力と対峙している構図がある。LGBT運動の進展は、同国のイスラム社会内部の亀裂を深めている。