著者
早坂 太一 大野 亙 加藤 弓枝 山本 和明
雑誌
じんもんこん2016論文集
巻号頁・発行日
vol.2016, pp.7-12, 2016-12-02

国文学研究資料館古典籍共同研究事業センターにより構築が進められている「日本語の歴史的典籍データベース」は,これを有効活用することで,異分野を融合させた研究の展開も期待されるが,いかに資料が集積されたとしても,多くの研究者にとっては,書かれている文字が「くずし字」であることが障壁となる.本研究は,世界的に注目されている人工知能技術である,ディープラーニングを用いたくずし字の自動翻刻システムの構築を目的とする.オープンデータとして公開されているいくつかの歴史的典籍内の変体仮名に対して,人工知能による認識の精度を算出するとともに,学習したモデルをWWWアプリケーションとして実装した.
著者
武藤 圭祐 田代 秀一
雑誌
じんもんこん2016論文集
巻号頁・発行日
vol.2016, pp.13-18, 2016-12-02

独立行政法人情報処理推進機構(IPA)では,行政で用いられる人名漢字等約6万文字の漢字を整備する「文字情報基盤整備事業」を推進しており,文字図形と文字情報の構築を行なっている.本稿では,これらの漢字文字情報の整備と,文字情報リソースを格納しオープンデータとして相応しい文字情報を提供する文字情報基盤データベースについて紹介するとともに,文字情報の整備と提供についての課題と今後に向けた取り組みについて報告する.
著者
橋本 雄太
雑誌
じんもんこん2016論文集
巻号頁・発行日
vol.2016, pp.153-158, 2016-12-02

近年,機械処理の適用が困難な大量のデータに対して,不特定多数のボランティアの協力をインターネット上で募り,分類やタギング等のタスクを実施するクラウドソーシングの手法が人文学分野でも一般的になりつつある.一方で,日本語の歴史資料の翻刻に同手法を適用するためには,①現代人には解読困難なくずし字と,②多数のボランティアを長期的に従事させる適切な動機付けの設計の2点が課題となる.本研究では,人文学コンテンツの学習サービスと,クラウドソーシングシステムを統合することによって,ボランティアの学習意欲を動機づけに利用するとともに,タスク実施スキルの向上を図る手法を提案する.また実際に,くずし字の学習サービスと前近代災害資料の翻刻システムを統合したWebシステムを構築し,その有用性を評価する.
著者
林 正治 夏目 琢史 松田 訓典 山本 和明 赤木 完爾
雑誌
じんもんこん2016論文集
巻号頁・発行日
vol.2016, pp.81-86, 2016-12-02

本研究ではウェブアノテーションによる資料画像の分類・整理手法について述べる.とくに,一橋大学附属図書館および慶応義塾図書館が所蔵する「幸田文庫」を対象にしたウェブアノテーションによる仮想コレクション定義手法の提案,実装,その実現に向けた課題を明らかにする.