著者
青木 稔弥 青田 寿美 神林 尚子 北村 啓子 木戸 雄一 ロバート キャンベル 小林 実 佐々木 亨 佐藤 至子 高木 元 高橋(山下) 則子 谷川 惠一 中丸 宣明 福井 辰彦 間城 美砂 柳 宗利 山田 俊治 山本 和明
出版者
国文学研究資料館
雑誌
国文学研究資料館 2006年度秋季特別展 仮名垣魯文百覧会展示目録
巻号頁・発行日
pp.1-49, 2006-11-01

平成18年10月17日~11月2日に開催した国文学研究資料館2006年度秋季特別展「仮名垣魯文(ROBUN)百覧会」の展示目録。仮名垣魯文を中心とする、幕末・明治開化期文学に照明を当てたもので、当館が平成10年(1998)に近代部門を設けて以来初めての、関連分野の蒐書展示となる。〈仮名垣魯文(ROBUN)の肖像〉〈江戸の残照〉〈開化の寵児〉〈報道する戯作者〉〈魯文の交友圏〉〈毎日新聞社新屋文庫蔵 魯文関連資料の紹介〉〈その他〉のテーマごとに、7ブロック・13セクションに分けて資料を展示。魯文が生きた波乱と変動の時代を背景に読み込みながら、魯文と同時代戯作者たちの群像を、彼らの文業と共に通覧した。
著者
山本 和明
出版者
人間文化研究機構国文学研究資料館
雑誌
Leaflet on Digital Object Identifier (DOI) = Leaflet on Digital Object Identifier (DOI)
巻号頁・発行日
2016-03-25

DOI(ディー・オー・アイ)って何:Digital Object Identifier の略。恒久的にデジタル情報を特定できる、国際的な識別子、それがDOIです。対象は、書籍や論文にとどまらず、研究データ、さらに映画やテレビ番組などの情報資産にも、広がり続けています。インターネット上にあるデジタルコンテンツの所在情報は、一般的にURLによって示されています。しかしページやコンテンツの場所などが変わるたびにURLも変更になり、わずか数年で、対象のサイトに行き着けないということがしばしば。そこで、デジタルコンテンツへの永続的なアクセスを実現するため考案されたのが、DOIです。日本では、大学図書館や国立情報学研究所、国立国会図書館が古典籍のデジタル画像へのDOI付与に先進的に取り組んでいます。国立国会図書館では、博士論文(14万件)等への付与に加えて、2015年2月から、約9万件の古典籍画像にもDOIが付与されました。DOIは、いま研究者が知っておくべき識別子なのです。
著者
片岡 龍峰 山本 和明 藤原 康徳 塩見 こずえ 國分 亙彦 Ryuho KATAOKA Kazuaki YAMAMOTO Yasunori FUJIWARA Kozue SHIOMI Nobuo KOKUBUN
出版者
総合研究大学院大学文化科学研究科 / 葉山町(神奈川県)
雑誌
総研大文化科学研究 = Sokendai review of cultural and social studies (ISSN:1883096X)
巻号頁・発行日
no.16, pp.17-29, 2020-03

日本最古の天文現象の記録は、『日本書紀』巻二十二、推古二十八年十二月一日(西暦六二〇年十二月三十日)の條に記される「十二月庚寅朔、天有赤気。長一丈餘。形似雉尾」という一節である。「赤気」は、彗星の類と理解され、日本古典文学や歴史学などの研究では悪い兆候を示すもの、といった理解がなされてきた。その一方、地球物理学においては、オーロラと理解され、オーロラの最も早い事例としてこの『日本書紀』が位置づけられてきた経緯がある。今回の考察では、「赤気」だけではなく、文中の「雉尾」という言葉にも着目し、『日本書紀』諸本での記述を踏まえたうえで、扇形をした赤いオーロラが日本などの中緯度で観察されやすく、真夜中より前に見られ、かつ雉の尾に似た形状をし、「長一丈」に該当する角距離十度相当で見えるという最も構造が際立った形態であるということを、雉の生態など、鳥類学の研究も踏まえて明らかにした。文献学的な考察に加え、雉の生態や尾羽の特徴を理解する鳥類学、彗星に関する古天文学の知識も合わせて新たな考察を加えたことによって、『日本書紀』の編纂に当たった人々の記述に対する責任感や知性、私たち日本人のルーツとなった倭の人々の観察眼や感性を伺い知るうえで一定の視点を与えることに寄与しうるものである。The oldest record of an astronomical phenomenon in Japan was recorded in the Nihon-shoki as follows: "On December 30 in 620, a red sign appeared in heaven. The length was more than 1 jo (10 degrees). The shape was similar to a pheasant tail (Suiko-Tennou, 28)". The appearance of a red sign has been recognized as an expression of a bad omen in literature, while it has been interpreted as the northern lights in geophysics. First we examine the description of the pheasant tail in detail. We then introduce the latest scientific findings that the northern lights show a fan-shaped appearance with a red background when appearing over Japan. After showing that the fan-shape is similar to a pheasant tail, also pointing out the low possibility of comets, we conclude that the oldest record of the red sign is consistent with the appearance of the northern lights over Japan. We hope that this examination contributes to increasing awareness of the sensitivity of Japanese people 1400-years-ago who compared a beautiful behavior of birds with a magnificent and rare natural phenomenon.
著者
岡田 一祐 山本 和明 松田 訓典
出版者
デジタルアーカイブ学会
雑誌
デジタルアーカイブ学会誌
巻号頁・発行日
vol.2, no.2, pp.144-145, 2018

<p>本発表は,日本語の歴史的典籍(明治時代以前の書物)の情報基盤とすべく構築された新日本古典籍総合データベースに関する知見について議論する.国文学研究資料館では,2017年10月に新日本古典籍総合データベースを公開した.これは,日本語の歴史的典籍の国際共同研究ネットワーク構築計画の一環で進められた古典籍のデジタル画像化,およびその利活用の基盤として作られたものである.</p><p>新日本古典籍総合データベースは,古典籍に関する総合ポータルたるべく,書誌データのみならず,画像タグなどの画像アノテーションや,全文テキストへの検索機能を通じて,多角的な視点からの古典籍へのアクセスを可能としている.このほかにも,資料へのアクセスの永続性を確保するために,多機関に分散する資料のデジタル画像をデータベースで一元管理し,またデジタルオブジェクト識別子(DOI)を個々の資料に附与するなどして,利用に関する安定性を確保すべく努めている.</p>
著者
北本 朝展 堀井 洋 堀井 美里 鈴木 親彦 山本 和明
雑誌
じんもんこん2017論文集
巻号頁・発行日
vol.2017, pp.273-280, 2017-12-02

本論文は古典籍「武鑑」を対象として,大規模データを構造化するための全く新しいワークフローを提案する.まず「武鑑」を時間的に連続して変化する「時系列史料」という新しい種類の史料と捉え,そこから生み出される多数のバージョンをソフトウェア工学の観点から解釈し,これを板本書誌学の概念と対応させる.次にバージョン間の差分を検出する方法としてテキストベースと画像ベースのアプローチを比較し,「武鑑」では特に画像ベース差分検出が有効であることを示す.さらに差分検出と差分翻刻を合わせたアプローチを「差読」と呼び,そのためのワークフローを「人機分業」として構築することが「武鑑」の構造化の鍵を握ることを論じる.その最初の成果を「武鑑全集」として2017年11月に公開した.
著者
馬場 基 中川 正樹 久留島 典子 高田 智和 耒代 誠仁 山本 和明 山田 太造 笹原 宏之 大山 航 中村 覚 渡辺 晃宏 桑田 訓也 山本 祥隆 高田 祐一 星野 安治 上椙 英之 畑野 吉則
出版者
独立行政法人国立文化財機構奈良文化財研究所
雑誌
基盤研究(S)
巻号頁・発行日
2018-06-11

国際的な歴史的文字の連携検索実現のため、「IIIFに基づく歴史的文字研究資源情報と公開の指針」および「オープンデータに関する仕様」(第一版)を、連携各機関(奈良文化財研究所・東京大学史料編纂所・国文学研究資料館・国立国語研究所・京都大学人文学研究所・台湾中央研究院歴史語言研究所)と共同で策定・公表し、機関間連携体制の中核を形成した。また、上記「指針」「仕様」に基づく、機関連携検索ポータルサイト「史的文字データベース連携システム」の実証試験版(奈文研・編纂所・国文研連携)を令和2年3月に公開。令和2年10月には、台湾中研院・国文研・京大人文研のデータを加えて、多言語(英語・繁体中国語・簡体中国語・韓国語)にて本公開を開始した(https://mojiportal.nabunken.go.jp/)。なお、連携・サイト公開は、国内および台湾メディアで報道された。木簡情報の研究資源化として、既存の木簡文字画像(約10万文字)をIIIF形式に変換した。また、IIIF用の文字画像切出ツールを開発し、新規に約15,000文字(延べ)のデータを作成した。過年度と合わせて合計約115,000文字の研究資源化を実現した。文字に関する知識の集積作業として、木簡文字観察記録シートを約50,000文字(延べ)作成した。なお、同シートによる分析が、中国簡牘・韓国木簡にも有効であることが確認されたことを踏まえ、東アジア各地の簡牘・木簡文字の観察作業も実施した。国際共同研究・学際研究として、令和1年9月に、東アジア木簡に関する国際学会を共催した(北京)。当初、国際学会の開催は、研究計画後半での実施を予定していたが、本研究遂行にあたっての共同研究等の中で、学会共催の呼びかけを受け、予定を繰り上げて国際学会を共催した。また、人文情報学の国内シンポジウム等において、IIIF連携等本研究の成果を報告した。
著者
増井 ゆう子 山本 和明
出版者
社団法人情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.65, no.4, pp.169-175, 2015-04-01

国文学研究資料館(NIJL)では,向こう10年間にわたる大型プロジェクトが始まった。計画名称は「日本語の歴史的典籍の国際共同研究ネットワーク構築計画」である。古典籍の画像データベース構築に加えて,それを研究資源とした国際共同研究を実施していく。今後は異分野との融合研究を視野に入れた,より意欲的な共同研究の展開に努めることになる。本稿では,国文研が継続的に実施してきた古典籍の調査収集事業を経てこのプロジェクトがあることや,これまで構築してきた古典籍の書誌データが土台となることについて述べ,かつ今後の展望を紹介したい。
著者
山本 和明
出版者
国文学研究資料館
雑誌
国文学研究資料館紀要 文学研究篇 = The Bulletin of The National Institure of Japanese Literature (ISSN:24363316)
巻号頁・発行日
no.48, pp.197-226, 2022-03-18

古典籍商と蔵書家との交流は、かつて新聞紙面を彩り、多くの人の知るところであった。思い出話として語られたそれらの逸話を紹介し、当時、京阪で実施された古書交換会の様子を探るとともに、実際に古典籍商鹿田松雲堂と交わされたやりとりの一端を、書翰などから確認したい。 The interaction between antiquarian books dealers and book collectors was oncereported in newspapers and was known to many people. I would like to introduce theepisode told as a nostalgic memory, and see the exchange meeting of antiquarian booksheld in Osaka and Kyoto, as well as the letter from the book collector to the antiquarianbooks dealer 'Shikata Shōundō'.
著者
竹内 正広 早坂 太一 大野 亙 加藤 弓枝 山本 和明 石間 衛 石川 徹也
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第33回全国大会(2019)
巻号頁・発行日
pp.3Rin209, 2019 (Released:2019-06-01)

国文学研究資料館により整備されている歴史的典籍データベースを有効活用することは,人文科学のみならず,自然科学系分野を融合させた研究の展開にもつながる.しかしながら多くの研究者にとっては,それらに書かれている文字が「くずし字」であることが障壁となる.本研究では,ディープラーニングによるくずし字認識モデルを応用し,小型で比較的安価なシングルボードコンピュータRaspberry Piを用いて,カメラで撮影した見開きの古典籍画像から,自動で1文字ずつのくずし字領域を検出し,それらの認識を可能とする組み込みシステムを開発した.既にWWWアプリケーションとして実装されている先行研究と比較して,認識するのにかかる時間や精度はほぼ変わらず,高性能なコンピュータを用いなくても,Raspberry Piのようなシングルボードコンピュータで問題なく動作することを示すことができた.これを発展させることで,研究者のみならず,スマートフォンを持ち込むことができない小・中学校や,普段モバイル機器を持ち歩かない高齢者の方々でも,くずし字に触れたいときにそれを支援するシステムを実現することができると考えられる.
著者
松原 恵 小宮山 史 山本 和明
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.68, no.6, pp.285-290, 2018-06-01 (Released:2018-06-01)

国文学研究資料館(国文研)が進める歴史的典籍NW事業では,画像公開している古典籍をもっと自由に活用してもらう活動にも取り組んでいる。そのなかでも特に反響の大きかったのが「江戸料理」に関する事業で,人文学オープンデータ共同利用センター(CODH)などの研究機関や企業等とのコラボレーションに進展し,多くのメディアにも取り上げられた。そのあらましを述べたうえで,企業と連携していくなかで見えてきた可能性と,課題について考える。
著者
岡田 一祐 山本 和明 松田 訓典
出版者
デジタルアーカイブ学会
雑誌
デジタルアーカイブ学会誌 (ISSN:24329762)
巻号頁・発行日
vol.2, no.2, pp.144-145, 2018-09-03 (Released:2018-05-18)
参考文献数
3

本発表は,日本語の歴史的典籍(明治時代以前の書物)の情報基盤とすべく構築された新日本古典籍総合データベースに関する知見について議論する.国文学研究資料館では,2017年10月に新日本古典籍総合データベースを公開した.これは,日本語の歴史的典籍の国際共同研究ネットワーク構築計画の一環で進められた古典籍のデジタル画像化,およびその利活用の基盤として作られたものである.新日本古典籍総合データベースは,古典籍に関する総合ポータルたるべく,書誌データのみならず,画像タグなどの画像アノテーションや,全文テキストへの検索機能を通じて,多角的な視点からの古典籍へのアクセスを可能としている.このほかにも,資料へのアクセスの永続性を確保するために,多機関に分散する資料のデジタル画像をデータベースで一元管理し,またデジタルオブジェクト識別子(DOI)を個々の資料に附与するなどして,利用に関する安定性を確保すべく努めている.
著者
早坂 太一 大野 亙 加藤 弓枝 山本 和明
雑誌
じんもんこん2016論文集
巻号頁・発行日
vol.2016, pp.7-12, 2016-12-02

国文学研究資料館古典籍共同研究事業センターにより構築が進められている「日本語の歴史的典籍データベース」は,これを有効活用することで,異分野を融合させた研究の展開も期待されるが,いかに資料が集積されたとしても,多くの研究者にとっては,書かれている文字が「くずし字」であることが障壁となる.本研究は,世界的に注目されている人工知能技術である,ディープラーニングを用いたくずし字の自動翻刻システムの構築を目的とする.オープンデータとして公開されているいくつかの歴史的典籍内の変体仮名に対して,人工知能による認識の精度を算出するとともに,学習したモデルをWWWアプリケーションとして実装した.
著者
今井 伸也 山本 麻衣 山本 尚美 山本 和明 重松 忠
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement
巻号頁・発行日
vol.2014, 2015

【はじめに,目的】近年,がん患者に対するリハビリテーション(以下,リハ)の重要性が注目されている。当院は,急性期病院であるが,「がん診療連携拠点病院」の基準に準じた,滋賀県独自の「地域がん診療連携支援病院」の指定を受けている。平成25年より,がん患者リハビリテーション(以下,がんリハ)を実施している。終末期を迎えたがん患者が,残された人生を本人らしく,尊厳を保ちQOLの高い生活を送れるように身体的,精神的,社会的にも支援することは,緩和的リハの重要な目的である。今回,入院中の終末期がん患者の外出について調査し,理学療法士の役割について検討したので報告する。【方法】平成25年4月から平成26年3月に,入院中にリハを実施したがん患者294例の中で死亡退院した36例(男性21例,女性15例,平均年齢66.1±13.0歳)を対象とした。外出された患者をA群,外出されなかった患者をB群とした。それぞれ,性別,年齢,入院日数,入院からリハ開始までの日数,リハから死亡退院までの日数,リハ実施日数,外出から死亡退院までの日数,リハ介入時のFIM(運動項目),リハ介入時のFIM(認知項目),外出手段,外出理由と感想,未外出理由を,後方視的にカルテから抽出し調査した。数値は平均値±標準偏差で表記した。【結果】性別はA群が男性1例,女性5例,B群が男性20例,女性10例。平均年齢はA群が59.5±12.5歳,B群が67.4±12.9歳。入院日数はA群56.2±28.6日,B群が38.3±46.7日。入院からリハ開始までの日数はA群14.5±20.5日,B群9.2±15.7日。リハ開始から死亡退院までの日数はA群56.2±28.6日,B群29.3±44.3日。リハ実施日数はA群20.3±12.9日,B群12.0±21.2日。外出から死亡退院までの日数は10.5±6.8日。リハ介入時のFIM(運動項目)はA群53.0±31.8点,B群40.4±28.8点。リハ介入時のFIM(認知項目)はA群28.0±5.6点,B群21.4±13.6点。外出手段は歩行1例,車椅子3例,ストレッチャー2例。外出理由は,「墓参りやお世話になった開業医や近所の人に会いたい」,「家で過ごしたい」などの理由であった。外出した全症例は,本人と家族ともに外出を希望された。外出後の感想は,全症例が「外出してよかった」,「希望をかなえさせてあげられてよかった」と肯定的であった。未外出理由は,全身状態が不安定で主治医の許可が出ない,提案したが「家族に迷惑をかける」・「病院の方が安心できる」・「家でやりたいこともない」,家族が「メリットが分からない」,外出希望が無く提案する機会も無かった,などの理由であった。【考察】今回の調査の中でA群は6例と少数であったが,全例が肯定的な感想を述べていた。A群は入院日数およびリハ開始から死亡退院までの日数,リハ実施日数が長いことから,理学療法士と関わる期間は長く本人・家族との関係が構築されており,身体機能の評価やニーズの把握が容易であった。リハ介入時のFIM(運動項目)を比較してもA群の方が高く,理学療法士の介入により身体機能やADLが維持され,希望に応じた外出の提案につながったと考える。また,年齢をみるとA群の方がやや若年であり,リハ介入時のFIM(認知項目)も高い。外出に対する意欲の維持や思いの表出,家族との話し合いが可能であったため,外出に対する家族側の受け入れも良好であったのではないかと考える。外出方法については歩行,車椅子,ストレッチャーとばらつきはあったが,安楽な手段を提案することでADLの状態に関係なく外出することができた。適切な身体機能評価および指導を行い,疲労や不安を感じることなく外出できるよう援助することが重要と考える。一方,B群について,外出しなかった理由において,家族の負担を考え拒否したり,本人や家族からの希望がなく関わるスタッフからも積極的な提案を行えていないケースを認めた。リハ介入時のFIM(認知項目)が低く,本人の意志が明確でない患者に対しては,本人や家族の思いを確認するような働きかけも重要であると考える。がん終末期患者は状態が変化しやすく,理学療法士は適切な介入が要求される。その中で入院中の外出は患者の残された時間,限られた能力の中でニーズを叶え,多職種の関わりにより多くの患者が実現可能な活動であるといえる。理学療法士として,身体機能やADL評価と合わせ,本人の思いを引きだし家族の十分な理解のもと環境整備を行った上で,最良の時期を見極められるような関わりが重要である。【理学療法学研究としての意義】入院中のがん終末期患者の外出は多職種連携が重要であり,理学療法士もチームの一人として積極的な関わりが必要である。
著者
山本 和明 小池 崇文 永田 邦裕 海老澤 瑞枝 相沢 隆 大西 康司 苗村 健
出版者
一般社団法人 映像情報メディア学会
雑誌
映像情報メディア学会技術報告 34.12 (ISSN:13426893)
巻号頁・発行日
pp.59-62, 2010-03-02 (Released:2017-09-21)
参考文献数
10

PLZTは電気光学効果の一つであるKerr効果によって印加電圧の2乗に比例して屈折率が変化する特性を持つため,光学素子への応用が考えられる.そこでまず,我々は単体のPLZTについて屈折率の印加電圧依存性を調べた.続いて,報告済みの第一試作レンズの問題点である,圧電効果の影響によるレンズ変形を抑えた二次試作レンズを作製し,その屈折率電圧依存性を調べた.