著者
曽我 麻佐子 鈴木 卓治
雑誌
じんもんこん2018論文集
巻号頁・発行日
vol.2018, pp.315-320, 2018-11-24

蒔絵万年筆は,照明などの光や湿度によって劣化するものがあり,恒常的な展示に適さない.また,細かい柄等が肉眼で見えにくいといった問題もある.本研究では,博物館の来館者に蒔絵万年筆をより細かいところまで自由に鑑賞してもらうことを目的として,HMD とペン型デバイスを用いた万年筆の展示支援システムを開発した.本システムでは,HMD 用いてVR 空間に表示した万年筆の3DCG を,ペン型デバイスで操作して鑑賞することができる.直感的に万年筆を操作するために,ペン型デバイスに搭載したジャイロセンサから検出した角速度をもとに,万年筆の3DCG を回転させている.また,HMD を装着した状態で複数の万年筆から一つを選んで簡単に切替えられるようにするため,HMD の画面の中心にカーソルを表示することで,頭の動きのみで鑑賞する万年筆を選択することが可能である.開発したシステムは,国立歴史民俗博物館の企画展において8 週間運用した.来館者の評価により,本システムのコンセプトの有用性を確認した.
著者
曽我 麻佐子 海野 敏
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. MVE, マルチメディア・仮想環境基礎 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.106, no.611, pp.25-28, 2007-03-16

本研究では,ダンス・レッスンで実用できる振付を自動的に生成するシステムの開発を目指している.モーションキャプチャで取得したバレエおよびコンテンポラリーダンスの基本動作を組み合わせ,ダンスの振付を自動生成するシステムを試作した.本システムは,条件を選択することで,異なる性質の振付を生成することができる.実用的な振付を生成するアルゴリズムを考案するため,異なる条件による振付生成実験を行った.各アルゴリズムによって生成された振付をダンサーに実演してもらったところ,実用的な振付を生成するための要素が明らかになった.
著者
曽我 麻佐子 海野 敏 安田 孝美 横井 茂樹
出版者
芸術科学会
雑誌
芸術科学会論文誌 (ISSN:13472267)
巻号頁・発行日
vol.3, no.1, pp.96-107, 2004 (Released:2008-07-30)
参考文献数
20
被引用文献数
1 1

モーションキャプチャで取得したバレエの3次元モーションデータを利用し,バレエの振付をWeb環境で対話的に創作し,3次元アニメーションによってシミュレーションするシステム"Web3D Dance Composer(WDC)"の開発を進めてきた.バレエ教師が作成した振付をWeb上に蓄積し,それを生徒がダウンロードして再生し,復習や自主学習に利用することを想定している.本論文では,まず,WDCがバレエの実用的な教育支援システムとなるように,その機能を大幅に強化するため,バレエ動作の体系的符号化と,創作支援システムの開発を行った.次に,バレエ教師が舞踊の保存手段として利用できるように,バレエ用語に基づいたテキストベースの符号化手法を考案した.さらに,この体系的符号化に基づき,バレエ教師がレッスン用の振付を効率的に創作するための支援システムとして,動作連結の自動制御,ランダム選択機能,自動振付機能,蓄積・再利用機能を導入した.創作支援システムの有用性を評価する実験を行い,その結果を考察した.
著者
曽我 麻佐子 海野 敏 安田 孝美
出版者
芸術科学会
雑誌
芸術科学会論文誌 (ISSN:13472267)
巻号頁・発行日
vol.1, no.1, pp.30-38, 2002 (Released:2008-07-30)
参考文献数
22
被引用文献数
2 2

プロ・ダンサーの実演から採取したモーション•キャプチャ•データを利用して,クラシック•バレエの振付をWeb上で対話的に創作し,3次元CGアニメーションでシミュレーションできるシステムを開発した.ユーザにはバレエ教師を想定し,利用目的には,基本ステップの組み合わせをレッスン用に短時間で多数創作することを想定した.基本ステップのアニメーション情報はVRMLで記述し,Javaアプレットで実装したGUIによりWebにおける逐次的な振付の編集・再生を可能にした.システムには振付を支援する機能として,基本ステップのプレビュー機能,速度変更機能,編集機能を実装し,アニメーション出力を制御する機能として,人体モデルの選択,背景の選択,ユニゾンのシミュレーションができるようにした.バレエ教師などによってシステムの評価を行ったところ,実際に使うことのできるレッスン用の振付が本システムで創作できることを確認した.同時に,実用的なシステムとして公開するために改良すべき点が明らかになった.
著者
海野 敏 曽我 麻佐子 平山 素子
雑誌
じんもんこん2021論文集
巻号頁・発行日
vol.2021, pp.276-281, 2021-12-04

著者らは現代舞踊の振付創作を支援するために,プロダンサーの実演から収集した 3Dモーションデータを合成するシステム“Body-part Motion Synthesis System (BMSS)”を開発した.このシステムがプロ振付家の創作活動でどのように使用されるかを分析するために,3 人のプロ振付家がそれぞれBMSS を用いてオリジナル作品を創作し,劇場で上演する実験を2 回行った.6 つの舞踊作品とBMSS で生成したCG との対応関係を分析した結果,(1) プロ振付家の作家性はBMSS の使用法に表れることと,(2) プロ振付家はBMSS の使用に習熟することで多様な使用法を発見できることが明らかになった.
著者
曽我 麻佐子 冨増 康宏 藤田 憲孝
雑誌
じんもんこん2015論文集
巻号頁・発行日
vol.2015, pp.51-56, 2015-12-12

国内の寺院には歴史ある襖絵が数多くあり,博物館でこれら全てを展示することは困難である.本 研究では,寺院を対象とした博物館展示を支援するため,襖配置の CG 再現および体験型システムの 開発を行った.博物館の実物展示と併せて展示する体験型システムとして,VR ゴーグルおよび襖配置 システムを開発した.VR ゴーグルは CG で再現された部屋の全周囲を見渡すことができ,襖配置シス テムはタッチ操作で襖を移動させることにより様々な配置でのシミュレーションが可能である.さら に,CG を用いて過去の襖配置を再現した 4K 映像を制作した.制作した映像は,龍谷ミュージアムの 特別展「聖護院門跡の名宝」において上映し,開発した二つのシステムは特別展の関連イベントとして 3 日間展示した.
著者
海野 敏 曽我 麻佐子
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. MVE, マルチメディア・仮想環境基礎 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.109, no.466, pp.19-22, 2010-03-05

Web3D技術とモーションデータを用いて,古典バレエのソロダンスを3次元CGアニメーションとして再生できるシステムを作成し,"Virtual Dance Theatre"と名付けた.モーションデータは,プロのバレエダンサーの実際の演技からモーションキャプチャシステムを用いて収録した.このシステムでは,利用者は3次元CGの環境でダンスアニメーションとそれを視聴する視点を対話的に制御することができる.このシステムは,(1)ダンスの記録・保存,(2)ダンスの学習・教育,(3)ダンスの研究・分析,(4)ダンスの鑑賞・娯楽の応用領域で有望である.そこでバレエ関係の専門家の協力を得て調査票による評価実験を行った結果,このシステムが通常のビデオ撮影よりも有用であることが明らかになった.
著者
藤田 健太郎 曽我 麻佐子
出版者
一般社団法人 映像情報メディア学会
雑誌
映像情報メディア学会技術報告 (ISSN:13426893)
巻号頁・発行日
vol.35, pp.17-20, 2011
参考文献数
9

モーションキャプチャシステムで取得した人体動作とCG映像を,能演劇パフォーマンス「蜘蛛の糸」の演出で活用した.能のモーションデータを適用したキャラクタや背景シーンなどのCG映像を作成し,舞台上に設置したスクリーンに投影した.CG映像はプリレンダリング用とリアルタイムレンダリング用にそれぞれ加工して使用した.観客によるアンケート結果より,舞台パフォーマンスにおけるCG映像の活用は効果的であることを確認した.
著者
曽我 麻佐子 海野 敏 平山 素子
出版者
一般社団法人 映像情報メディア学会
雑誌
映像情報メディア学会誌 (ISSN:13426907)
巻号頁・発行日
vol.66, no.12, pp.J539-J545, 2012 (Released:2012-11-22)
参考文献数
14

We developed an interactive system, “Web3D Dance Composer (WDC),” which allows users to create dance choreographies by using a dance motion data archive and simulate them with 3DCG animation. In this research, we conducted two evaluation experiments on the choreographic creation of contemporary dance to evaluate the capacity of the WDC as a dance creation support system. First, we conducted an experiment on choreographic creation for a professional choreographer and proved the usability of the system. Second, we conducted an experiment on training students to create choreography. The results of an evaluation by eight students confirmed that the WDC has the usability and potentiality for producing unpredictable movements and aiding in the learning of a new choreographic process.