著者
加藤 直志 加藤 弓枝 三宅 宏幸 KATO T. KATO Y. MIYAKE H.
出版者
名古屋大学教育学部附属中・高等学校
雑誌
名古屋大学教育学部附属中高等学校紀要 (ISSN:03874761)
巻号頁・発行日
vol.62, pp.154-165, 2018-03-01

昨年度に続き、日本近世文学会の「出前授業」の一環として、同学会から2名の研究者を講師に迎え、中学1年生を対象に、くずし字で書かれた江戸時代の「さるかに合戦」を読むという特別授業を協同で実施した。本稿は、その実践報告である。事前と事後のアンケート調査も実施し、くずし字の解読が、古典への関心・意欲を喚起するのに有効な方法になり得ることを明らかにした。第3部 教科研究・特別研究.本研究の一部は、JSPS科研費JP16H00094の助成を受けている。
著者
加藤 弓枝
出版者
豊田工業高等専門学校
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2007

本研究では、江戸時代において、身分的・空間的境界領域の人々による学問の営為がいかなるものであったのかについて注目し、とくに和歌を中心に考察した。その結果、とりわけ非蔵人の学芸活動の実態に関して明らかにすることできた。具体的には、彼らが「書籍講」という独特の「講」を営み、書物を共同購入していたことを明らかにすることができた。これらの成果によって、近世文壇史・文化史へ新たな視点を提示することができた。
著者
竹内 正広 早坂 太一 大野 亙 加藤 弓枝 山本 和明 石間 衛 石川 徹也
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第33回全国大会(2019)
巻号頁・発行日
pp.3Rin209, 2019 (Released:2019-06-01)

国文学研究資料館により整備されている歴史的典籍データベースを有効活用することは,人文科学のみならず,自然科学系分野を融合させた研究の展開にもつながる.しかしながら多くの研究者にとっては,それらに書かれている文字が「くずし字」であることが障壁となる.本研究では,ディープラーニングによるくずし字認識モデルを応用し,小型で比較的安価なシングルボードコンピュータRaspberry Piを用いて,カメラで撮影した見開きの古典籍画像から,自動で1文字ずつのくずし字領域を検出し,それらの認識を可能とする組み込みシステムを開発した.既にWWWアプリケーションとして実装されている先行研究と比較して,認識するのにかかる時間や精度はほぼ変わらず,高性能なコンピュータを用いなくても,Raspberry Piのようなシングルボードコンピュータで問題なく動作することを示すことができた.これを発展させることで,研究者のみならず,スマートフォンを持ち込むことができない小・中学校や,普段モバイル機器を持ち歩かない高齢者の方々でも,くずし字に触れたいときにそれを支援するシステムを実現することができると考えられる.
著者
早坂 太一 大野 亙 加藤 弓枝 山本 和明
雑誌
じんもんこん2016論文集
巻号頁・発行日
vol.2016, pp.7-12, 2016-12-02

国文学研究資料館古典籍共同研究事業センターにより構築が進められている「日本語の歴史的典籍データベース」は,これを有効活用することで,異分野を融合させた研究の展開も期待されるが,いかに資料が集積されたとしても,多くの研究者にとっては,書かれている文字が「くずし字」であることが障壁となる.本研究は,世界的に注目されている人工知能技術である,ディープラーニングを用いたくずし字の自動翻刻システムの構築を目的とする.オープンデータとして公開されているいくつかの歴史的典籍内の変体仮名に対して,人工知能による認識の精度を算出するとともに,学習したモデルをWWWアプリケーションとして実装した.
著者
幾浦 裕之 永崎 研宣 加藤 弓枝
雑誌
研究報告人文科学とコンピュータ(CH) (ISSN:21888957)
巻号頁・発行日
vol.2023-CH-132, no.3, pp.1-8, 2023-05-13

日本古典文学資料において,和歌は『源氏物語』とともに最も早くから本文のデジタル化が進んだジャンルである.しかし作品本文の表示方法や検索機能が固定して利用されつづけており,研究者の読解や異文情報をデジタルテキストとして記述する方法も未だ模索されていない.本発表では勅撰和歌集とともに約 1100 年の長い歴史をもつ,歌合(うたあわせ)という和歌の優劣を競う作品形態を,TEI/XML 形式でマークアップする方法について提示する.具体的には中世和歌のひとつの到達点とされる『新古今和歌集』が成立した 13 世紀初頭の成立の『石清水社歌合』を対象とする.中世和歌の基本的な創作方法である題詠(だいえい)の表現形式をマークアップし,マークアップによって和歌作品の読解を深め,可視化し,デジタルテキストとして残すことができる方法を提案する.