著者
水谷 研治
出版者
中京大学
雑誌
中京大学経済学論叢 (ISSN:09152555)
巻号頁・発行日
vol.18, pp.1-14, 2007-03

我が国の景気が長く大きく上昇しているにもかかわらず、人々に満足感がない。現実に経済水準はようやく10年前に戻ろうとしているに過ぎない。かつての高度経済成長を当然とすれば、現在が異常に低い経済水準であると考えられるのは当然である。しかし現実には、我が国の経済水準は二つの大きな要因によって異常に押し上げられているのである。一つはアメリカの貿易赤字であり、もう一つは我が国の政府による財政赤字である。アメリカの異常な貿易赤字はもはや限界をはるかに突破している。そのために何時世界的な大変動が起きても不思議ではない。その時、我が国の経済水準も正常化して大きく低下するであろう。より大きな要因で今日の景気を押し上げているのが我が国の財政赤字である。赤字財政を長年続けてきた結果、国の借金は膨大になり、金利の支払が莫大な金額になってくる。現在は極端な低金利のために目立たないが、やがて金利が正常化すると、国は借金地獄へと転落し、日本経済は破綻する。将来の経済破綻を救うためには、国の借金を大至急で削減しなければならない。それには、財政支出の徹底した削減と大増税を実施する以外にない。それらは景気を急落させ、国民生活に大打撃を及ぼす。それが分っているだけに、財政改革が先送りされてきた。しかし事態は深刻であり、もはや先送りが許されなくなっている。将来の国民のことを考え、いまや我々は覚悟を決めて、財政改革を断行しなければならない。その結果、我が国の経済水準は大きく下落する。国民は財政の実態を認識し、もはや政府が頼りにならないだけに、一人ひとりが来たるべき事態に備える必要がある。
著者
水谷 研治
出版者
中京大学
雑誌
中京大学経済学論叢 (ISSN:09152555)
巻号頁・発行日
vol.11, pp.1-8, 2000-03

財政の大幅な赤字が続いている。その結果、国の借金残高は膨大な金額となってしまった。財政問題を解決するためには、徹底した支出の削減と収入の増大しかない。それによって赤字をなくするだけではなく、黒字にし、黒字によって債務を削減しなければならない。ところが余りにも膨大な赤字であり、赤字を消すことは至難な技である。そのうえ、過去に作り上げた借金を返済することなど、とうてい、できることではないという意見がある。そこで財政改革の方法としてインフレーション待望論が出てくる。インフレーションによって借金の実質的な価値を減らし、それによって過大な借金の重荷から開放されようとするわけである。ところが、借金残高がある程度の規模を超えるとインフレーションに伴うマイナス面が大きくなり、問題の解決にはならなくなる。インフレーションに伴う金利の上昇によって借金が膨らんでいくからである。すでに我が国の債務残高は限界をはるかに突破している。それでも現在、問題が表面化していないのは、異常なほどの低い金利水準のためである。将来、インフレーションになれば金利水準が上昇し、一挙に問題が表面化して国の借金はさらに急激に増大していくと考えられる。そのような事態に至る前の段階で国の借金残高を大幅に削減していくことが不可欠と考えられる。