著者
藤瀬 二馬 湯之上 忠 知識 敬道
出版者
日本作物学会
雑誌
九州作物談話會報
巻号頁・発行日
no.9, pp.41-42, 1955-09

指宿地方の平均耕作面積はおよそ3.5反で甘藷は畑地の5割以上を占めている。ところが甘藷の檀付けから生育初期にかけてほちようど梅雨の侯にあたり降雨量が多く土壌流亡が著しいのでこの期間の畑地の被覆.程度の大小は土壌保全と密接な関係があるように思われる。かような観点から植付け時期の問題を中心に甘藷作実態調査の結果を報告する。
著者
井上 利志栄
出版者
日本作物学会九州地域談話会
雑誌
九州作物談話會報
巻号頁・発行日
no.11, pp.1-5, 1957

昭和31年産菜種の全国作付面積は25万町歩余りで,これは戦前最高の明治25年の17万町歩に比べ,飛躍的な増加と云える、。叉西日本でも11万町歩余りに及び,戦前戦後を通じての全盛期となった。しかし反收は停滞の状態を示し,全国平均で1石5升,西日本(九州・中国・四国)では9斗8升で,戦前に比べると減收の傾向さえ見られる。最近3ケ年の作付状況(図略)によると,西日本における菜種作の大部分は九州であり,殊に鹿児島・宮崎・熊本の畑作地帯及び福岡・佐賀の水田裏作地帯が主産地で,その77%を占めている。又同期間の反收(図略)では中国・四国殊に瀬戸内海沿岸に高位の地帯が分布し,主産地の九州における低收が目立ち,今後の改善が痛感される。更に余国各地域の昭和9~30年の地域別反收(図略)の推移を見ると,ここにも、大きな問題があるようである。すなわち,畑作の多い東日本では戦前に比べ近年その反收がかなり向上しているにかかわらず,水田作の多い西日本ではかえって低下の状態にある。この西日本の反收低下の傾向は,水田作の多い中国・四国に顕著であるが,九州においても水田作の多い北九州で特に著しく,畑作地帯の南九州では逆に東日本と同様増加の傾向にある。従って西日本においては,一般的な問題の外に,特に水田裏作地帯の地力増強,施肥の合理化,適品種の選択等が強調されねばならない。
著者
宮里 溝松
出版者
日本作物学会
雑誌
九州作物談話會報
巻号頁・発行日
no.9, pp.32-35, 1955-09

戦前,沖縄県の耕地面積壮約6万町歩であったが,1953年の統計によると,その65%に相当する約39,000町歩に減少している。農業生産の基盤となる耕地の激減は軍用地として使用されていること,農業收入では生活の維持が出来ず離農者が増え・荒廃地が増加したことが主なる原因と思われる。斯様に農耕地は減少しているにもかかわらず墨家戸数は戦前と殆んど変らず約88,800戸(全戸数の56%)で,従って経営規模が小さくなり零細農家が増え全農家の80%が5反未満の経営農家である。
著者
川俣 稔 築島 安宏
出版者
日本作物学会
雑誌
九州作物談話會報
巻号頁・発行日
no.9, pp.19-21, 1955-09

ルーピンの積極的導入を図り,吊九州畑地帯の堆肥厩肥不足状況を緩和する一方策として,小麦作えのルーピン導入方式が小麦及び後作甘藷政量に及ぼす影響について検知した。同時に普及面の立場から,ルーピン導入方式の経済効果の検討をも試みた。なお,本試験の昭和25〜27年は原田一吉見〜小原の各氏が担当し,昭和28〜29年両年度は筆者等が実施した。
著者
中野 正敏
出版者
日本作物学会
雑誌
九州作物談話會報
巻号頁・発行日
no.11, pp.45-50, 1957-03

従来水田裏作の菜種栽培と言えば,移植栽培が普通であり又,菜種は移植するものだと認識されていた観があった。しかし近年に於いて菌核病の発生が非常に多くなり,しかも此の病害が菜種に致命的な打撃を与えるものであることから,これが対策には種々研究もされて来たが未だに完全な方法は発見出来ない現状である。しかし乍ら著者等は,直播する1二とにより最も恐るべき菌核病と合せて萎縮病の発生が少なく,しか'も労力賢材等の節約如出来て・経営的に見ても一石二鳥の効果があることがわかった。此の点佐賀県に於いては上記効果の認識と,苗床を必要としない為,近年直播栽1書が急速に増加し,昭和28年播付けでは,県計面積4,556町に対し其の25.2%,昭和29年度では,5,486町の45.1%,昭和30年度では,67.7%と言うように毎年増加し又,本県に於いては昭和25年より菜種多牧穫競作参を実施しているが,29年は約半数が直播栽培で出品し30年でほ県審査の対照となった21点中,1点だけが移植で殆んどが直播栽培であった。佐賀県に於ける菜種の多收穫地帯は山麓部の畑地で菌核病の発生の少ない地帯に限定されていたが,最近は直播栽培の普及により,菌核病の為半ばあきらめ的与感があった。平坦部の水田裏作地帯から高位多收穫者が続出するようになった。以上の事実から如何に菌核病の被害が致命的なものであったかが思考される。然しながら菜種は元来移植によって栽培され発達もして来たものであり,(北海道及び南九州の畑地帯では一部分直播されているが)水田裏作に於ける菜種の直播栽培についての研究は,殆んど行なわれていない現状であったので,著者等はこれ等直播に関する幾らかの問題について,試験を実施して来たが尚今後究明されねばならない問題も多々あるが,今回はすでに実施した研究