- 著者
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志澤 美保
義村 さや香
趙 朔
十一 元三
星野 明子
桂 敏樹
- 雑誌
- 京都府立医科大学看護学科紀要 = Bulletin of School of Nursing Kyoto Prefectural University of Medicine (ISSN:13485962)
- 巻号頁・発行日
- vol.27, pp.35-44, 2017-12-25
本研究は、4~6歳の幼児を持つ養育者を対象に、養育環境が子供の食行動に与える影響について検討することを目的とした。 対象は、A県2市において研究協力の同意が得られた保育所、幼稚園、療育機関に通う4~6歳の子供1,678人の養育者であった。協力機関を通じて養育者に無記名自記式質問紙を配布し、回答は協力機関に設置した回収箱および郵送で回収した。調査項目は、①子供の基本属性、②養育者による食行動評価、および③育児環境指標(Index of Child Care Environment;ICCE)であった。統計学的解析は、χ 2 検定、Fisher の正確率検定、因子分析、共分散分析を行った。 調査は845人から回答を得て(回収率50.4%)、有効回答数は766人(有効回答率45.6%)であった。養育者の捉える食行動の問題数は、1 人平均2.46±2.28 個、食行動の問題には性差が認められた。さらに、食行動の問題について、因子分析で抽出された3 因子「偏食と食事中の行動」、「食事環境への固執性」、「食べ方の特徴」を用いてICCE の各13項目について性別を共変量として共分散分析を行った。その結果、食行動の問題に影響するICCE 項目は因子によって異なっていた。その中で、3因子共通で関連していた項目は「家族で食事する機会」であった。また、第2因子「食事環境への固執性」と第3因子「食べ方の特徴」では交互作用が認められ、男児にのみ影響があり、食行動に問題が出やすいことが明らかとなった。その他に「一週間のうちに子供をたたく頻度」や「育児支援者の有無」などの養育環境についても食行動の問題への影響が認められた。したがって、幼児期の食行動について支援する時は、子供の食行動だけでなく家族での共食頻度、養育者の養育態度、支援状況や、精神的状態などにも配慮する必要性が示唆された。