著者
鈴木 英子 吾妻 知美 丸山 昭子 齋藤 深雪 高山 裕子
出版者
一般社団法人 日本看護管理学会
雑誌
日本看護管理学会誌 (ISSN:13470140)
巻号頁・発行日
vol.18, no.1, pp.36-46, 2014-07-15 (Released:2018-08-10)
参考文献数
28

本研究では,新卒看護師が先輩看護師に対し,職務上アサーティブネスになれない状況と理由を明らかにした.102名の新卒看護師にアサーティブネスの定義を説明した上で「過去1年間に職場でアサーティブにしたかったけれども出来なかった状況」と「理由」を尋ねる自記式質問紙調査を実施した.分析はKrippendorffの内容分析を参考にした.有効回答数は73名で,平均年齢は23.7±4.9歳であった.アサーティブになれない状況は,1.業務分担の依頼を断れない,2.統一されていない指導に対する困惑が言えない,3.仕事に関する叱責や注意に対して反論できない,4.先輩の気になる言動について発言できない,5.自分や新卒看護師に対する言動に反論できない,6.仕事に対する不安が言えない,7.先輩のミスによる濡れ衣に反論できない,8.私的な依頼が断れない,9.その他,に分類された.理由は,1.人間関係を重視した,2.指導を受ける身であるため,3.面倒を避けたいと感じた,4.先輩に育ててもらっているという思い,5.自分が出来ないことを知られたくない,6.仕事を教えてもらえなくなる恐怖,7.やるべき仕事をしないと思われたくない,8.慣れない環境で疲れ切っていた,9.自分に責任が有る,10. 恐怖心を感じた,であった.新卒看護師は,先輩看護師に職務上多種多様な状況で言いたいことを言えないでいた.
著者
吾妻 知美
出版者
甲南女子大学
雑誌
甲南女子大学研究紀要. 看護学・リハビリテーション学編 = Studies in nursing and rehabilitation (ISSN:18825788)
巻号頁・発行日
no.5, pp.1-11, 2011-03-18

本研究の目的は、看護基礎教育における基礎看護学および基礎看護技術の位置づけを明確にし、基礎看護技術の教育の内容構成を検討することである。『保健師助産師看護師学校養成所指定規則』に基礎看護学と基礎看護技術が明示されてから20年余りすぎようとしている。その間、基礎看護学の教育内容は教育機関の自由裁量が可能になったにも関わらず、基礎看護学の目指すものは何なのかについて議論されたことはなく、その内容は『指定規則』が制定された当時とほとんど変わっていない。看護実践能力を育成するためには、基礎看護学において"看護とは何か""看護実践とは何か""看護学とは"といった看護の専門性を追求することは重要であると考える。さらに、これらの学問的な基礎付けに裏付けられた基礎看護技術の教育内容を検討することは、看護界の大きな課題である看護実践能力育成のための示唆を与えるものとなる。
著者
池川 清子 吾妻 知美 西村 ユミ 守田 美奈子 蓬莱 節子 仁平 雅子
出版者
神戸市看護大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2000

看護の高等教育化が急速に進展しつつある現在、看護学の学的基盤の確立が急務である。本研究では、研究代表者である池川が長年と取り組んできた「看護学の実践学的パラダイム」を基礎理論として、看護学固有の対象と方法を明確にすることをとおして、実践学としての看護学をより詳細に特徴づけ、基礎づけるものを明確にした。本研究の成果は、おおよそ以下の5点に要約される。1.看護学を実践学的パラダイムの視座から体系化するという試みは時代の要請であり、実践を目的とする看護理論の構築という観点からも、今、世界が向かおうとしている動向である。2.看護学を実践学として基礎づけるためには、科学的パラダイムとは異なる方法論の吟味が必要である。本研究では、看護の現象を看護者と看護を必要とする相手とのかかわりの中から立ち現れる出来事として捉え、従来の看護学を現象学的視点から問い直した。3.実践学としての看護学の前提を明らかにするためには、看護実践の構造の解明が不可欠である。本研究では、看護実践と言語、看護実践と行為・技術、看護実践と経験の諸点から看護実践の構造を明らかにした。4.実践学としての看護学の研究方法として、看護の現象をありのまま生き生きと捉える方法として、現象学的解釈学の有用性を明らかにした。5.これまで抽出が困難であった看護実践者の経験を現象学的記述による、方法としての「対話」を確立した。
著者
守田 美奈子 吉田 みつ子 川原 由佳里 樋口 康子 吾妻 知美 西村 ユミ 池川 清子 稲岡 文昭 坂本 成美
出版者
日本赤十字看護大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1998

本研究は、看護学の体系化に向けて最も重要な学的基盤としての看護哲学の確立をめざすことを目的とした。ここ数十年の間に、わが国においても看護の研究論文は増え、新たな看護の知も蓄積されつつある。看護という現象が、経験の中にうずもれ、学的な体系として整理されにくかった大きな理由は、看護という現象の複雑さや深みというものが、既存の理論や従来の科学的学問観で捉え、明らかにしていくことに困難さを伴うものであったからだといえる。しかし、その違和感を問うことに看護の学的基盤を創るエッセンスがあり、「看護とは一体何なのか、どのような現象なのか、どのような特徴があるのか」といった問いを追究することがことが必要なのである。本研究は、このような問題意識から始まり、これまでの看護理論家の思索の足跡をたどりながら、それを問い直し、対話をはかることによって次の各課題についての考察した。1.看護哲学の必要性(看護哲学の課題、わが国の看護哲学に求められているもの)2.看護のアート(「看護のアート」とは何か、看護のアートにおける「技術」の概念看護における全体性の概念、患者理解における直観概念の意義3.看護学の知のスタイル(看護のリアリティ、看護におけるアクチュアリティ)4.看護の科学と哲学(複雑系の科学の可能性、カオス理論と看護研究)