著者
肥田 弘明 吉田 篤正 木下 進一
出版者
人間‐生活環境系学会
雑誌
人間‐生活環境系シンポジウム報告集 第45回人間-生活環境系シンポジウム報告集 (ISSN:24348007)
巻号頁・発行日
pp.77-80, 2021 (Released:2022-12-03)
参考文献数
1

暑熱環境下における歩行時のマスク着用が生理量変化に与える影響について、被験者実験により検討した。夏の屋外で歩行速度4 km/h、人工気候室で基本条件(気温、相対湿度、歩行速度が30℃、40%、4.0 km/h)と高負荷条件(気温、相対湿度、歩行速度が35℃、60%、5.5 km/h)の3条件でトレッドミルによる運動負荷実験を行った。屋外実験においてマスク着用によって代謝量、深部温度、発汗量に差異が生まれた。一方、日射の影響のない人工気候室で基本条件においては発汗量のみに差異が生まれた。基本条件に対してより気温の高い高負荷条件ではマスク着用の影響は見られなかった。歩行時のマスク着用の影響は呼吸放熱の阻害により発汗量に表れ、気温が高くなると小さくなる。屋外環境下では呼気抵抗の影響が表れ、代謝量、深部温度上昇にも及ぶことがわかった。
著者
都築 和代 Budiawan Wiwik
出版者
人間‐生活環境系学会
雑誌
人間‐生活環境系シンポジウム報告集 第45回人間-生活環境系シンポジウム報告集 (ISSN:24348007)
巻号頁・発行日
pp.159-162, 2021 (Released:2022-12-03)
参考文献数
8

睡眠環境の実態を調べるために,年間を通して大学生の寝室で睡眠環境の測定を実施した。この研究では,室内環境,日中の行動,食事,入浴時間などに制限を設けず,被験者は自宅の自室で睡眠するように依頼された。1年間を通しての平均睡眠効率は95.2%で,春94.5%,夏93.6%,秋95%,冬96.4%であった。睡眠時間は370分で,もっとも秋が長く394分で,春が最も短く342分であった。入眠潜時は平均11分で,最も早い秋で9分,最も遅い春で14分であった。室内温熱環境は,春は21.7℃69%,夏は26.5℃66%, 秋は24.6℃67%,冬は13.4℃57%であった。温冷感,快適感申告は,有意な季節差が認められ,冬に他の季節よりも寒くなり,不快側申告となった。OSA睡眠調査票による睡眠感調査の結果は,起床時眠気が44,入眠と睡眠維持が45,夢みが48,疲労回復が43,睡眠時間が45となり,大学生の睡眠評価は一般的な評価やアクチグラフによる睡眠効率よりも悪かった。
著者
岡本 直輝 渡邊 慎一
出版者
人間‐生活環境系学会
雑誌
人間‐生活環境系シンポジウム報告集 第45回人間-生活環境系シンポジウム報告集 (ISSN:24348007)
巻号頁・発行日
pp.49-52, 2021 (Released:2022-12-03)
参考文献数
4

本研究は、日傘生地の色および加工の違いが暑熱緩和効果に及ぼす影響を明らかにすることを目的とする。測定は2021年7月21日から23日に、名古屋市に所在する大同大学のテニスコート、芝生、コンクリート面において実施した。傘(銀)、日傘(白)、日傘(銀)、日傘(白+ネット)の4種の傘下および比較のため日向の熱環境を測定した。その結果、以下の知見を得た。白色日傘は日射遮蔽効果が最も大きく、生地温度の上昇による下向きの熱放射量の増加が最も小さいことが示された。傘下のMRTは、傘生地の放射特性(日射遮蔽率、下向き長波長放射増加率)および地表面の放射特性(アルベド、日射吸収率)が影響する。テニスコートにおいて、UTCI低減効果が最も大きかったのは日傘(白+ネット)の-3.6℃であり、次いで日傘(白)の-3.0℃、日傘(銀)の-2.6℃、傘(銀)の-1.4℃であった。この結果から、傘の表面が銀色より白色の方が暑熱緩和効果が大きいことが示された。