著者
肥田 弘明 吉田 篤正 木下 進一
出版者
人間‐生活環境系学会
雑誌
人間‐生活環境系シンポジウム報告集 第45回人間-生活環境系シンポジウム報告集 (ISSN:24348007)
巻号頁・発行日
pp.77-80, 2021 (Released:2022-12-03)
参考文献数
1

暑熱環境下における歩行時のマスク着用が生理量変化に与える影響について、被験者実験により検討した。夏の屋外で歩行速度4 km/h、人工気候室で基本条件(気温、相対湿度、歩行速度が30℃、40%、4.0 km/h)と高負荷条件(気温、相対湿度、歩行速度が35℃、60%、5.5 km/h)の3条件でトレッドミルによる運動負荷実験を行った。屋外実験においてマスク着用によって代謝量、深部温度、発汗量に差異が生まれた。一方、日射の影響のない人工気候室で基本条件においては発汗量のみに差異が生まれた。基本条件に対してより気温の高い高負荷条件ではマスク着用の影響は見られなかった。歩行時のマスク着用の影響は呼吸放熱の阻害により発汗量に表れ、気温が高くなると小さくなる。屋外環境下では呼気抵抗の影響が表れ、代謝量、深部温度上昇にも及ぶことがわかった。
著者
佐藤 真理子 松井 有子 小野 花織 西村 愛 高木 美希 光畑 由佳
出版者
人間‐生活環境系学会
雑誌
人間‐生活環境系シンポジウム報告集 第42回人間-生活環境系シンポジウム報告集 (ISSN:24348007)
巻号頁・発行日
pp.65-66, 2018 (Released:2021-04-23)
参考文献数
2

頭部被覆時の衣環境として,ムスリム女性の衣服,授乳ケープ,ベビーカーカバーに着目し,被験者実験 により,衣服内温湿度・CO2濃度・唾液アミラーゼ活性の計測を行った.ムスリム女性の衣服 4 種(ブルカ,ヒマ ール・ニカーブ,ヒジャブ・ヒジャブキャップ,ドゥパタ)の比較では,頭部近傍の湿度上昇が,ヒマール・ニ カーブで大,ドゥパタで小であり,唾液アミラーゼ活性値も同様の傾向であった.頭部近傍の湿度が快不快に影 響している可能性が示された.授乳ケープとベビーカーカバーでは,衣服内温湿度,CO2濃度共に,ケープ内,ベ ビーカー内で高い値を示し,特にレインカバー内の CO2濃度が顕かに高く,注意を要する実態が示された.
著者
渡邊 慎一 武藤 将史
出版者
人間‐生活環境系学会
雑誌
人間‐生活環境系シンポジウム報告集 第42回人間-生活環境系シンポジウム報告集 (ISSN:24348007)
巻号頁・発行日
pp.107-110, 2018 (Released:2021-04-23)
参考文献数
5

紫外線の過度な照射は健康被害をもたらすことが指摘されている.本研究は,紫外線防御アイテムである衣 服・帽子・アームカバー・日傘の組合せ条件が,人体各部位および全身の紫外線遮蔽率に及ぼす影響を明らかにす ることを目的とする.24 個の UV センサを取付けた 2 体のマネキンを測定に用いた.実測の結果,以下の知見を 得た.本研究で対象とした紫外線防御アイテムの中で,全身の紫外線防御率が最も高かったのは、条件⑤の「衣服 +アームカバー+日傘」の組合せであり、14:00 において 60.3%であった.帽子およびアームガードは覆う部位の 紫外線をほぼ完全に遮蔽することができるが,効果は局所的である.一方、日傘の紫外線遮蔽効果は頭部だけでな く、肩や胸など広範囲に及ぶ.太陽高度が低くなるにしたがって、日傘および帽子の顔面および全身に対する紫外 線遮蔽率が低下する.
著者
伊牟田 凌雅 光田 恵 岩橋 尊嗣 棚村 壽三 中村 皇紀
出版者
人間‐生活環境系学会
雑誌
人間‐生活環境系シンポジウム報告集 第44回人間−生活環境系シンポジウム報告集 (ISSN:24348007)
巻号頁・発行日
pp.67-68, 2020 (Released:2021-04-23)
参考文献数
2

国内外の宿泊施設に対して、においに関するアンケート調査を実施した。実際に回答を得られ たのは、国内外合わせて計 186 件であった。そのうち、全体の約 90%の宿泊施設が何らかのにおいの 問題でゲストから苦情を受けたことがあった。また、宿泊施設の苦情において約 80%は客室における 苦情であった。においの質については、「タバコ臭」「香水・アロマ臭」「体臭・汗臭」が原因となって いた。
著者
笠原 優子 松浦 早紀 庄山 茂子
出版者
人間‐生活環境系学会
雑誌
人間‐生活環境系シンポジウム報告集 人間−生活環境系学会 (ISSN:24348007)
巻号頁・発行日
pp.111-112, 2021 (Released:2022-12-03)
参考文献数
3

食欲の低下した患者の病院食に適した皿の大きさや形状を明らかにするため、大きさの異なる「丸皿・リム無」、「丸皿・リム有」、「正角皿・リム無」、「正角皿・リム有」の皿にハンバーグを盛り、量感‹大きさ›の印象に違いがみられるか検討した。デルブーフ錯視の効果により皿の直径および1辺に対するハンバーグの直径比が0.45~0.55付近を境に、大きい皿ほどハンバーグは小さく見えると評価された。同じ大きさの皿では、リム有よりリム無の方が、正角皿より丸皿の方が、やや小さく見えると評価された。
著者
都築 和代 Budiawan Wiwik
出版者
人間‐生活環境系学会
雑誌
人間‐生活環境系シンポジウム報告集 第45回人間-生活環境系シンポジウム報告集 (ISSN:24348007)
巻号頁・発行日
pp.159-162, 2021 (Released:2022-12-03)
参考文献数
8

睡眠環境の実態を調べるために,年間を通して大学生の寝室で睡眠環境の測定を実施した。この研究では,室内環境,日中の行動,食事,入浴時間などに制限を設けず,被験者は自宅の自室で睡眠するように依頼された。1年間を通しての平均睡眠効率は95.2%で,春94.5%,夏93.6%,秋95%,冬96.4%であった。睡眠時間は370分で,もっとも秋が長く394分で,春が最も短く342分であった。入眠潜時は平均11分で,最も早い秋で9分,最も遅い春で14分であった。室内温熱環境は,春は21.7℃69%,夏は26.5℃66%, 秋は24.6℃67%,冬は13.4℃57%であった。温冷感,快適感申告は,有意な季節差が認められ,冬に他の季節よりも寒くなり,不快側申告となった。OSA睡眠調査票による睡眠感調査の結果は,起床時眠気が44,入眠と睡眠維持が45,夢みが48,疲労回復が43,睡眠時間が45となり,大学生の睡眠評価は一般的な評価やアクチグラフによる睡眠効率よりも悪かった。
著者
中 拓真 吉田 篤正 木下 進一 千種 成尚
出版者
人間‐生活環境系学会
雑誌
人間‐生活環境系シンポジウム報告集 第42回人間-生活環境系シンポジウム報告集 (ISSN:24348007)
巻号頁・発行日
pp.93-94, 2018 (Released:2021-04-23)
参考文献数
2

本研究では,非定常的にふく射を変化させた被験者実験を行った.実験は晴れた,天気の安定した日に行 い,テントの内外を一定間隔毎に移動することで,非定常のふく射変化に対する人体温冷感への応答を確認した. 同時に,環境の測定項目として気温,湿度,風速,ふく射量の測定を行い,生理量の測定項目として皮膚温度 7 点,直腸温度,代謝量,局所発汗量,体重変化の測定を行った.その結果,人体温冷感の変化量と平均皮膚温度 の変化量の相関が得られた.また,皮膚温度から予測された人体温冷感と申告された人体温冷感の相関が得られ た.
著者
岡本 直輝 渡邊 慎一
出版者
人間‐生活環境系学会
雑誌
人間‐生活環境系シンポジウム報告集 第45回人間-生活環境系シンポジウム報告集 (ISSN:24348007)
巻号頁・発行日
pp.49-52, 2021 (Released:2022-12-03)
参考文献数
4

本研究は、日傘生地の色および加工の違いが暑熱緩和効果に及ぼす影響を明らかにすることを目的とする。測定は2021年7月21日から23日に、名古屋市に所在する大同大学のテニスコート、芝生、コンクリート面において実施した。傘(銀)、日傘(白)、日傘(銀)、日傘(白+ネット)の4種の傘下および比較のため日向の熱環境を測定した。その結果、以下の知見を得た。白色日傘は日射遮蔽効果が最も大きく、生地温度の上昇による下向きの熱放射量の増加が最も小さいことが示された。傘下のMRTは、傘生地の放射特性(日射遮蔽率、下向き長波長放射増加率)および地表面の放射特性(アルベド、日射吸収率)が影響する。テニスコートにおいて、UTCI低減効果が最も大きかったのは日傘(白+ネット)の-3.6℃であり、次いで日傘(白)の-3.0℃、日傘(銀)の-2.6℃、傘(銀)の-1.4℃であった。この結果から、傘の表面が銀色より白色の方が暑熱緩和効果が大きいことが示された。
著者
石井 仁
出版者
人間‐生活環境系学会
雑誌
人間‐生活環境系シンポジウム報告集 第44回人間-生活環境系シンポジウム報告集 (ISSN:24348007)
巻号頁・発行日
pp.127-128, 2020 (Released:2021-04-23)
参考文献数
3

大便器ブースの内装色と寸法の違いが感覚時間ならびに大便器ブースの印象評価に及ぼす影響について, ヘッドマウントディスプレイを用いた仮想空間により検討した。その結果,大便器ブースの寸法は感覚時間に, 内装色と寸法は大便器ブースの印象評価に影響を及ぼすことを明らかにした。
著者
伊藤 佳乃子 高田 暁
出版者
人間‐生活環境系学会
雑誌
人間‐生活環境系シンポジウム報告集 人間−生活環境系学会 (ISSN:24348007)
巻号頁・発行日
pp.61-64, 2021 (Released:2022-12-03)
参考文献数
12

マスク着用が眼近傍の気流性状および涙液層に及ぼす影響を明らかにするための予備的検討として、被験者1名を対象に、不織布、ナイロン布マスク着用時および非着用時の3条件について、気温28 °Cおよび23 °Cに設定された空調室で物理・生理測定を実施した。その結果、眼球表面近傍の気流速・絶対湿度および涙液蒸発速度推定値は、マスク着用により上昇する傾向が認められた。また、その度合いはマスクの通気性や顔へのフィッティングによって異なり、不織布マスクよりもナイロンマスクで上昇が大きかった。気流速は、マスク非着用時には0.2 m/s以下であったが、ナイロンマスク着用時には1 m/s以上の値がみられた。一方、眼近傍の気温は室温やマスク着用の条件にかかわらず27.5~31.5 °Cであった。眼球表面温度および瞬きパターンに関しては、マスク着用条件による差は明確でなかったものの、マスク着用時の方が瞬目後10 s間の眼球表面温度低下が大きい傾向があった。
著者
佐藤 健 中島 みづき 原 優歩
出版者
人間‐生活環境系学会
雑誌
人間‐生活環境系シンポジウム報告集 第42回人間-生活環境系シンポジウム報告集 (ISSN:24348007)
巻号頁・発行日
pp.153-154, 2018 (Released:2021-04-23)
参考文献数
2

妊娠初期の転倒は流産につながる。妊娠初期は悪阻が妊婦の生活に大きな影響をもたらす。 しかしながら、電車利用に際し妊娠初期は体型の変化が大きくないため妊婦と気づいてもらえず、 マタニティーマークを付けていても”優先席”を利用できないケースが多い。そこで、本研究は妊 娠週におけるつわりスケール、電車内での着座率と姿勢動揺を包括的に検討することを目的とし た。被験者は、妊婦 2 名 (妊娠 14 週目〜妊娠 28 週目)とした。週に 1 回静止立位課題を行い、 出勤時の電車内での着座の有無、つわりのスケールを Visual Analog Scale for Time course(VAST)法によって記録してもらった。妊娠初期の着座率は 37%でありつわりスケールに も影響していた。出勤時に着座できないと姿勢動揺が大きくなる傾向になった。転倒防止だけで なく、妊娠初期の QOL 向上のためにも電車内での優先席の在り方を検討すべきである。
著者
三上 功生
出版者
人間‐生活環境系学会
雑誌
人間‐生活環境系シンポジウム報告集 第43回人間−生活環境系シンポジウム報告集 (ISSN:24348007)
巻号頁・発行日
pp.199-202, 2019 (Released:2021-04-23)
参考文献数
7

著者は過去の人工気候室実験より、重篤な体温調節障害を持つ頸髄損傷者(以下頸損者)の至適温度範囲 を 25±2℃(但し 50%RH、着衣量 0.6clo)と求めた。しかし、室温 22℃での頸損者の体温調節反応は十分に明ら かになっていないため、それを把握することを目的とした人工気候室実験を行い、頸損者の至適温湿度範囲の下 限値について検討を行った。実験では 5 名の頸損者(39.6±9.2 歳、172.0±4.6cm、64.4±6.3kg)を室温 22℃(40, 50, 70%RH、着衣量 0.6clo)に各 90 分間曝露した。その結果、どの相対湿度でも頸損者の口腔温は実験開始後 20 分 からやや直線的に下降していた。従って、室温 22℃は相対湿度の高低(ビル管法で規定されている相対湿度の範 囲:40~70%RH)に関わらず、頸損者の至適温度から外れる可能性がある。現時点での下限値は室温 23℃50%RH と考えているが、今後、室温 23℃における相対湿度の違いの影響について検討を行う必要がある。
著者
安岡 絢子 宮永 俊之 岩田
出版者
人間‐生活環境系学会
雑誌
人間‐生活環境系シンポジウム報告集 第43回人間−生活環境系シンポジウム報告集 (ISSN:24348007)
巻号頁・発行日
pp.37-40, 2019 (Released:2021-04-23)
参考文献数
6

良質な睡眠を促すサーカディアンリズム等を考慮し、照度と色温度を変化させるオフィス照明が導入されつつ ある。しかし、それらの変化が疲労や視認性に及ぼす影響を検討した例は少ないことから、照度と色温度変化が 中高齢者の疲労や視認性に及ぼす影響を評価した。実験では、中年者群(11 名:Ave53.3 歳)と高齢者群(8 名:Ave67.5 歳)の被験者を、オフィスを模擬した実験室にて 3 条件(照度・色温度一定/照度一定・色温度変化/照 度・色温度変化)の環境に曝露した。実験中は朝・昼・夕の各々で PC 作業を課し、作業前後に各種疲労と視認性 を計測した。その結果、朝から夕方に掛けて視認性の低下が見られる条件は年齢群によって異なり、自覚疲労と の関連が窺えた。生理的機能やグレアの感じ方といった目の特性の年齢差が一要因として考えられ、年齢等に応 じて照度・色温度変化の条件を考慮することが、幅広い年齢層の視認性向上に寄与するための課題と考えられる。
著者
垣鍔 直 竹内 達哉 石井 仁 吉永 美香
出版者
人間‐生活環境系学会
雑誌
人間‐生活環境系シンポジウム報告集 第41回人間−生活環境系シンポジウム報告集 (ISSN:24348007)
巻号頁・発行日
pp.201-202, 2017 (Released:2021-04-23)
参考文献数
5

本研究は,一定照度下において,6名の若年男性を対象に単純計算作業をさせた時の心理,生理反応の日内変動 を確かめることを目的とした。色温度5000Kに対し,照度を750lxと3000lxの2水準に設定し,朝,昼,夕方の3回実験を行っ た。10分間の計算作業前後の体温を測定し,心電図は連続測定した。その結果,照度間に作業効率の差が見られ, 3000lxの方が有意(p<0.01)に高い結果を得た。また,経時的に低下する傾向も確かめた。心理反応の結果では,3000lx で疲労度が経時的に大きくなることと,集中度では照度条件に関わらず,経時的に低下する傾向を確かめた。生理反応と してLF/HFの値の変化を比較した。750lxでは経時的に値が亢進し,3000lxでは値が低下する傾向を確かめた。以上の結 果から,一定照度下ではストレスの度合いが変化することが示唆された。
著者
井口 拓海 宮本 征一
出版者
人間‐生活環境系学会
雑誌
人間‐生活環境系シンポジウム報告集 第43回人間−生活環境系シンポジウム報告集 (ISSN:24348007)
巻号頁・発行日
pp.59-62, 2019 (Released:2021-04-23)
参考文献数
5

恒温恒湿室を、室温 26℃、相対湿度 50%で制御した熱的中立な環境下において、温冷覚閾値計を用いて青 年被験者 11 名の身体 13 部位の局所に温刺激を与える被験者実験を行った。温刺激を知覚するときの皮膚の温度 と熱流束および不快を知覚する温度と熱流束を測定した。その結果、温覚の感度が良い部位は、額、前腕、手背 など頭部や上肢部であり、温覚の感覚が悪い部位は、大腿前、大腿後、下腿前、下腿後、足背などの下肢部と胸 であった。不快知覚温度差は、知覚開始温度差と殆ど同様な部位間差が見られた。標準偏差は被験者間のバラツ キと考えられる。知覚開始温度の標準偏差は前腕 0.4℃、額 0.5℃、大腿後 0.5℃の順に小さく、足背 2.2℃、下腿 前 1.9℃、下腿部後 1.3℃の順に大きかった。