- 著者
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新矢 昌昭
- 出版者
- 佛教大学社会学研究会
- 雑誌
- 仏大社会学 (ISSN:03859592)
- 巻号頁・発行日
- no.27, pp.35-45, 2002
ウェーバーの支配理論において論じられている「カリスマ的支配」から「伝統的支配」への変化は,徳川政権の誕生から安定化を考察する有効な一っの方法であると思われる。カリスマにとってはその「使命」が重要である。日本においてこの使命は,鎌倉期以降,武家政権の正統的根拠である天道思想であった。しかしこの天道思想は,政権の交代も正当化するので,不安定であった。従って,徳川政権の安定化のためにはこの天道思想を変容し伝統化しなければならなかったのである。では,この天道思想が徳川政権誕生にどのように関わり政権g安定化の中でどのようにして変容していったのだろうか。更には,天道思想を正統的根拠とする将軍と,神孫為君を正統的根拠とする天皇がどのようにして正当性のバランスをとっていたのだろうか。本稿の目的は,天道思想を中心にこれらの点を明らかにする試みにある。天道思想力リスマ的支配正統的根拠