著者
石井 誠士 Seishi ISHII 兵庫県立大学看護学部専門関連科目哲学系 Philosophy General Education College of Nursing Art and Science University of Hyogo
出版者
兵庫県立大学看護学部
雑誌
兵庫県立大学看護学部紀要 (ISSN:13498991)
巻号頁・発行日
vol.12, pp.1-8, 2005

ドイツの医師アルベルト・フレンケルは、1900年頃ストロファンティン静脈注射治療を創始した人として有名である。ハイデルベルクとバーデンヴァイラーの2つの町に病院を開設したことや若い優秀な医師や看護師を養成したことも大きな功績である。 しかし、人々が彼において特に期待したものは、むしろ、彼の患者を受け容れる仕方、姿勢であった。善良さ、患者の訴えにひたすら耳傾ける姿勢、患者への自己の絶対的な依存性、今日、医師と患者の間のパートナーシップ関係について言われる受動的非対称性passive Asymmetrieこそが、フレンケルの医学の第1の特徴をなしている。だが、強調しなければならないことは、フレンケルが、ヴァイツゼッカーと同様に、病気への自然科学的なアプローチを軽んずるどころか、むしろ重視したことである。自然科学的研究と臨床、内在と超越とが、彼の場合には、一つに結びついている。ここにこそフレンケルの「大いなるスタイルの医学」の秘密があり、またその今日性がある。
著者
近藤 千明 野並 葉子 森 菊子 魚里 明子
出版者
兵庫県立大学
雑誌
兵庫県立大学看護学部紀要 (ISSN:13498991)
巻号頁・発行日
vol.12, pp.65-75, 2005-03-15

在宅介護者は、介護のため長時間の外出は難しく、病院や看護相談に行くことが困難な状況にある。また、生活の場で行われる在宅介護は、介護者の生活習慣に少なからず影響すると考えられる。そこで、在宅にいながらでも利用可能な看護相談システムを検討することとした。今回は、在宅介護者に、電子メールを用いた生活習慣病予防のための看護相談を行い、その利用状況と相談内容について事例毎に検討を行うこととした。対象は、訪問看護を受けている在宅介護者3名とし、看護相談の実施期間は、平成15年9月から平成16年1月の4ヶ月とした。その結果、(1)3名の電子メールの利用回数は、5回、14回、12回であり、全員が利用できたが、利用時間帯や回数は個人差があった。電子メールの初心者には、電話窓口を設置したが、利用は1回のみであった。(2)A氏は、在宅介護者の生活習慣病予防のための看護相談であったが、要介護者に関する相談のみの利用であった。(3)B氏は、最初は要介護者に関する相談であったが、研究者が食事の内容や生活を尋ねていくと、介護者自身に関する相談へと変化した。(4)C氏は、最初から介護者自身に関する相談があり、研究期間の後半では、相談以外に楽しかった出来事の報告もあった。在宅介護者への電子メールを用いた看護相談は、要介護者の健康に間する相談と在宅介護者自身の健康に関する相談の両者に対応していく必要性が示唆された。