- 著者
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西 基
- 出版者
- 北海道医療大学看護福祉学部学会
- 雑誌
- 北海道医療大学看護福祉学部学会誌 (ISSN:13498967)
- 巻号頁・発行日
- vol.8, no.1, pp.5-9, 2012-03-31
目的:わが国において2008年に麻疹の流行があったことから,特に患者数の多かった東京都・神奈川県・北海道を中心として,この麻疹の流行について疫学的に検討した.資料と方法:感染症発生動向調査と国勢調査の資料から,2008年の麻疹の各県における標準化罹患比(SIR)を算出した.結果:罹患数は11012例であったが,東京都,神奈川県,北海道の3都道県だけで全体の56.2%を占め,これら3都道県と千葉県・秋田県・福岡県のみが期待値より実数が多かった(SIR>100%).東京都と神奈川県では2月半ばにピークがあったが,北海道では4月後半にピークがあった.東京都では期待値と実数との差が最大だったのは20〜24歳においてであった.これに対し,神奈川県では10〜14歳,北海道では10〜19歳において,それぞれ期待値より多かった.考察:2008年の麻疹は,まず神奈川県で年明けから高学年の小学生と中学生を中心として流行が始まり,次いで東京都の大学生の間での流行となり,さらに春休みに東京方面から大学生が北海道に持ち込んで,中高生を中心に流行したものと考えられた.