- 著者
-
木村 宣哉
小林 道
杉村 留美子
- 出版者
- 特定非営利活動法人 日本栄養改善学会
- 雑誌
- 栄養学雑誌 (ISSN:00215147)
- 巻号頁・発行日
- vol.80, no.3, pp.158-168, 2022-06-01 (Released:2022-07-06)
- 参考文献数
- 32
- 被引用文献数
-
1
【目的】本研究の目的は,地域住民におけるヘルスリテラシーと食品群別摂取量及び栄養素等摂取量の関連を明らかにすることである。【方法】研究の参加者は,2018年7~8月に北海道江別市在住の20~74歳の成人である。ヘルスリテラシーは相互作用的・批判的ヘルスリテラシー尺度を用いた。食品群別摂取量及び栄養素等摂取量は,妥当性が確認された簡易型食事歴質問票(BDHQ)を用いて評価した。研究の対象として合計1,607名(男性708名,女性899名)が選ばれた。参加者はヘルスリテラシースコアに基づいて四分位群に分類した。ヘルスリテラシーと食品群別摂取量及び栄養素等摂取量との関連は,共分散分析(ANCOVA)によって確認した。【結果】ヘルスリテラシーの高い参加者は,低い参加者に比べて,その他の野菜類摂取量が高く,Na/K比が低い傾向がみられた。加えて,男性では,ヘルスリテラシーが高い者は低い者に比べて総エネルギーと銅の摂取量が高かった。女性では,ヘルスリテラシーが高い者は低い者に比べて緑黄色野菜類,嗜好飲料類,カリウム,カルシウム,マグネシウム,鉄,亜鉛,ビタミンB1,ビタミンB2,ナイアシン,ビタミンB6,葉酸,ビタミンCの摂取量が高かった。【結論】ヘルスリテラシーの高さは,野菜類や複数の栄養素等摂取量と関連があることが示された。地域住民のヘルスリテラシーを向上させることは,野菜類摂取量の増加につながる可能性が示された。