- 著者
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田中 まさ子
- 出版者
- 名古屋学院大学総合研究所
- 雑誌
- 名古屋学院大学論集. 人文・自然科学篇 = Journal of Nagoya Gakuin University (ISSN:03850056)
- 巻号頁・発行日
- vol.53, no.2, pp.13-32, 2017-01
保育とは,養護と教育の一体的な作用であるとされる。では,この考え方はどのように形成されてきたのか,これを明らかにするのが本研究の目的である。この目的のため,戦後の保育所形成期に着目し,当時の文献から論考した。論考の結果,保育所形成期において児童福祉法,保育要領,児童福祉施設設置基準及びその解説書等を通して,保育が保護と教育の一体的作用であるという認識が浸透していったことが分かった。それはまた,戦前から保育所に対して要望があった「教育的保護」の実現に向かう過程であった。その一方で,この時期に「養護」の語は,児童福祉法において特定の施設の機能を表す語として規定され,学校保健に由来する養護とは別の語概念が生じたことが分かった。