著者
グエン ヴァン・ダン 新江 利彦 西村 昌也
出版者
関西大学文化交渉学教育研究拠点(ICIS)
雑誌
周縁の文化交渉学シリーズ7 『フエ地域の歴史と文化―周辺集落と外からの視点―』
巻号頁・発行日
pp.481-495, 2012-03-01

トゥアティエン・フエ地域は、1306年以降キン族が多く居住するようになった地域であるが、1558年の阮潢入府以降本格的な開拓・入植が進み、各村落形成と共に手工業も発達した。そして広南阮氏政権は職人を軍隊組織(匠局)として組織し、船、武器、金属製品などの生産を行わせている。阮朝期前半には、引き続き匠局、司などの組織を発展させ、フエ都城やその周辺には、各種工廠を設け、造船、武器、青銅器(含銭)、工芸品の製造を行わせている。また、その影響や都城地域の経済的需要もあって、各集落で民間の手工業が専業化して、発展した。ただし、フエ都城域の経済規模の限界から、そうした手工業が、商業的理由で、大規模に発展するには至らなかった。
著者
末成 道男
出版者
関西大学文化交渉学教育研究拠点(ICIS)
雑誌
周縁の文化交渉学シリーズ7 『フエ地域の歴史と文化―周辺集落と外からの視点―』
巻号頁・発行日
pp.579-599, 2012-03-01

本論は、中部ベトナム佛教の特徴を、教義や教団の側からではなく、地元の側に焦点を当てた人類学的観察を通して明らかにしようとするものである。その結果、ベトナムには、村寺が存在し、その祭壇には非仏教系の神明が多数置かれ、妻帯住持が住むなど、東アジアの中でも日本と多くの共通点を持つ、伝統的特徴が認められる。しかし、1930年代に始まった仏教新興運動も根付いていて、世代交代と共に上記のような伝統は大きな転機を迎えようとしている。しかし、伝統は必ずしも一方的に衰退するのではなく、ときには民族文化重視や市場経済化の影響などと結びつき、部分的な活性化がもたらされている。この複雑な動きを、フエ近郊村落清福における観察から提示したい。
著者
末成 道男
出版者
関西大学文化交渉学教育研究拠点(ICIS)
雑誌
周縁の文化交渉学シリーズ7 『フエ地域の歴史と文化―周辺集落と外からの視点―』
巻号頁・発行日
pp.579-599, 2012-03-01

本論は、中部ベトナム佛教の特徴を、教義や教団の側からではなく、地元の側に焦点を当てた人類学的観察を通して明らかにしようとするものである。その結果、ベトナムには、村寺が存在し、その祭壇には非仏教系の神明が多数置かれ、妻帯住持が住むなど、東アジアの中でも日本と多くの共通点を持つ、伝統的特徴が認められる。しかし、1930年代に始まった仏教新興運動も根付いていて、世代交代と共に上記のような伝統は大きな転機を迎えようとしている。しかし、伝統は必ずしも一方的に衰退するのではなく、ときには民族文化重視や市場経済化の影響などと結びつき、部分的な活性化がもたらされている。この複雑な動きを、フエ近郊村落清福における観察から提示したい。