著者
新江 利彦
出版者
鹿児島大学
雑誌
挑戦的研究(萌芽)
巻号頁・発行日
2019-06-28

デジタル化したベトナムのチャンパー王家文書の解読と、中国海南島、ベトナム、カンボジア、マレーシア、インドネシアにおけるイスラーム・儒教融合・祭祀分業に関する調査・研究により、早期東南アジア(15~17世紀)のイスラーム実践と、東南アジアにおけるイスラーム祭祀・祖先祭祀分業、中国思想やヒンドゥー思想、暦・絵画・音楽・舞台などの中に盛り込まれたイスラーム的価値観、イスラーム伝播と理解における回儒(ムスリム儒教知識人)の役割とその内容を、近世日本における神道・儒教融合(神儒)とも比較しながら明らかにする。また、中国・東南アジアの土着イスラーム研究者と情報を共有して、ネットワークを強化する。
著者
グエン ヴァン・ダン 新江 利彦 西村 昌也
出版者
関西大学文化交渉学教育研究拠点(ICIS)
雑誌
周縁の文化交渉学シリーズ7 『フエ地域の歴史と文化―周辺集落と外からの視点―』
巻号頁・発行日
pp.481-495, 2012-03-01

トゥアティエン・フエ地域は、1306年以降キン族が多く居住するようになった地域であるが、1558年の阮潢入府以降本格的な開拓・入植が進み、各村落形成と共に手工業も発達した。そして広南阮氏政権は職人を軍隊組織(匠局)として組織し、船、武器、金属製品などの生産を行わせている。阮朝期前半には、引き続き匠局、司などの組織を発展させ、フエ都城やその周辺には、各種工廠を設け、造船、武器、青銅器(含銭)、工芸品の製造を行わせている。また、その影響や都城地域の経済的需要もあって、各集落で民間の手工業が専業化して、発展した。ただし、フエ都城域の経済規模の限界から、そうした手工業が、商業的理由で、大規模に発展するには至らなかった。