著者
大沢 真理 シャイア カレン マルガリータ エステベス=アベ 阿部 彩 金 英
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2013-10-21

日本の生活保障システムは、先進諸国の中で最も強固な「男性稼ぎ主」型であり、政府の所得再分配が貧困を削減する効果が、就業者の多い世帯や子どもにとってきわめて弱く、効果がマイナスである場合も少なくない。労働力人口の減少が憂慮される社会としてきわめて非効率で不合理なシステムであること、しかし所得再分配の効率性を高めれば、税・社会保障負担を増すことなく国民の生活を改善できることも、明らかになった。2014年2月には福井県において社会的排除に関するアンケート調査を実施した。働き者の福井の女性が、より働きがいを感じ、地域活動にも参加する条件について示唆を得られた。
著者
荒金 英樹
出版者
日本外科代謝栄養学会
雑誌
外科と代謝・栄養 (ISSN:03895564)
巻号頁・発行日
vol.52, no.6, pp.317-323, 2018-12-15 (Released:2019-02-01)
参考文献数
35

がん患者の栄養障害の原因は栄養の摂取不足による飢餓と栄養の利用障害である悪液質があり,前者は適切なアセスメントと栄養補給により改善が期待されるが,後者の悪液質は通常の栄養療法での改善は困難で病状の進行とともに悪化し,いかなる栄養療法も対応困難な不応性悪液質に至る.この悪液質は炎症による複合的な代謝障害であり,骨格筋を優先的に障害することから運動療法の役割は大きく,悪液質またはその前の段階である前悪液質の時期では,がんやがん治療による身体諸症状に対する改善効果が期待されている.こうした介入も運動療法,栄養療法の単独での効果は難しく,リハビリテーション栄養の概念に基づく多職種による複合的な介入が求められる.しかし,病状の進行により不応性悪液質に至った患者でのこれらの介入は患者の症状を悪化させる可能性があり,漫然と継続するのではなく,その目的を明確にし患者・家族の負担と利益のバランスを念頭に置き,適切なケアを選択することを心がけるべきである.
著者
荒金 英樹 巨島 文子 神山 順 豊田 義貞 堀 哲史 松本 史織 八田 理絵 仁田 美由希 山田 圭子 樋口 眞宏 山口 明浩 草野 由紀 関 道子 永見 慎介 華井 明子 竹浪 祐介 森野 彰人 樹山 敏子 和田 智仁 村田 篤彦
出版者
一般社団法人 日本静脈経腸栄養学会
雑誌
日本静脈経腸栄養学会雑誌 (ISSN:21890161)
巻号頁・発行日
vol.30, no.5, pp.1095-1100, 2015 (Released:2015-10-20)
参考文献数
15
被引用文献数
1

京都では食を支える地域作りを目的に様々な連携体制の構築に取り組んでいる。医科歯科連携体制として「京都府口腔サポートセンター」、京都市山科区での多職種連携を目指した「山科地域ケア愛ステーション」、京都府、滋賀県での食支援を目的とした「京滋摂食嚥下を考える会」を紹介する。京滋摂食嚥下を考える会では地域連携の基盤として嚥下調整食共通基準の導入と独自に作成した「摂食・嚥下連絡票」を提案、京都府基準として関連職能団体等の承認を得た。この基盤を背景に、地域連携を促進するため、研修会や調理実習を各地で開催している。また、京料理をはじめとした京都の伝統食関連産業の団体と連携し、介護食を地域の食文化と発展させる活動も展開している。平成27年度からは京都府医師会などの職能団体の協力のもと、府内各地での多職種、施設間連携を促進させるため、市民向けの食支援相談窓口を設置、府民の食支援と啓蒙活動を計画している。
著者
中本 進一 金 英
出版者
埼玉大学国際交流センター
雑誌
国際交流センター紀要 = Journal of Center for International Exchange (ISSN:18816479)
巻号頁・発行日
vol.3, pp.1-14, 2009

2009ニュース報道は国際関係を反映しつつ、刻々と変化する。本稿では、2008年北京オリンピック開催のプレイベントとして行われた聖火リレーに関する一連の報道を取り上げた。チベット暴動における中国政府の姿勢に対し各国からの批判があったことを受け、報道の公平性に批判的アプローチを選択した。主たる研究フィールドとして、ネットニュースを選定し、特に善光寺関連を中心に聖火リレーの表象分析、リレー全般に関する妨害者報道の日中比較、さらには日本語報道における批判的ディスコース分析の3面からの分析を試みた。これらの分析により、日中関係の不明瞭さやそれを反映する報道における相対性の欠如が明らかとなった。
著者
中本 進一 金 英
出版者
埼玉大学国際交流センター
雑誌
国際交流センター紀要 (ISSN:18816479)
巻号頁・発行日
vol.3, pp.1-14, 2009-03

2009ニュース報道は国際関係を反映しつつ、刻々と変化する。本稿では、2008年北京オリンピック開催のプレイベントとして行われた聖火リレーに関する一連の報道を取り上げた。チベット暴動における中国政府の姿勢に対し各国からの批判があったことを受け、報道の公平性に批判的アプローチを選択した。主たる研究フィールドとして、ネットニュースを選定し、特に善光寺関連を中心に聖火リレーの表象分析、リレー全般に関する妨害者報道の日中比較、さらには日本語報道における批判的ディスコース分析の3面からの分析を試みた。これらの分析により、日中関係の不明瞭さやそれを反映する報道における相対性の欠如が明らかとなった。
著者
荒金 英樹 西村 敏 兼子 裕人 仁丹 裕子 浦底 美由希 増田 哲也 北岡 陸男 廣瀬 遼子
出版者
日本静脈経腸栄養学会
雑誌
静脈経腸栄養 (ISSN:13444980)
巻号頁・発行日
vol.23, no.4, pp.643-647, 2008 (Released:2009-04-30)
参考文献数
19
被引用文献数
1

症例は79歳女性。原因不明の意識障害で他院入院中、褥創の悪化、意識レベルの低下から当院転院となる。BMIは 14.6kg/m2、栄養補給は胃切除後から腸瘻より施行されていた。入院時血清銅値は正常であったが低亜鉛、高炭酸ガス血症を認め、プルモケア®にポラプレジンクを併用した栄養療法を開始、8週間後にポラプレジンクは併用のまま亜鉛、銅含有栄養剤を投与したが、6週間後に腸瘻周囲皮膚炎の悪化からTPNへ変更した。変更直後から白血球、好中球数の減少を認め、TPN開始8週後には白血球数1910/μL、好中球数343/μL、血清銅濃度は8μg/dLと低下していた。TPNに微量元素製剤添加したところ急速に好中球は増加、貧血も改善した。TPN開始から短期間で銅欠乏症が発生したことから、銅非含有栄養剤投与に加え、EN施行中の亜鉛負荷による銅吸収阻害が関与した可能性も考えられた。長期経管、経静脈栄養の際には、微量元素に留意する必要があり、その配合比率も検討が必要であると考えられた。
著者
坂本 杏子 佐藤 智照 小竹 直子 〓 瑩 チュウ ロザリン 金 英周 小野 創 酒井 弘
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. TL, 思考と言語 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.108, no.184, pp.23-28, 2008-08-01
参考文献数
6
被引用文献数
1

本研究では,成人日本語母語話者が新奇動詞を学習する際に,助詞を手がかりにした意味推論を行うかどうかを検討する実験を行った.その結果,日本語母語話者は助詞の違いに応じて使役事象から異なる局面を切り出して動詞と対応づけることが明らかにされた.さらに動詞の意味推論には,名詞句とガ格助詞を手がかりとした項構造の決定と,項構造に基づく事象の切り出しという二つの段階が関与していることが示唆された.
著者
金 英傑 浅岡 佐知夫 黎 暁紅 朝見 賢二 藤元 薫
出版者
公益社団法人 石油学会
雑誌
Journal of the Japan Petroleum Institute (ISSN:13468804)
巻号頁・発行日
vol.48, no.2, pp.97-105, 2005-03-01
参考文献数
15
被引用文献数
4

天然ガスからの燃料合成の潜在的ルートであるメタノールおよび/あるいはジメチルエーテル(DME)の液化石油ガス(LPG)への転化について,H-ZSM-5およびH-FeAlMFI-シリケート触媒上で,高転化率でLPG成分への高選択性が得られる条件,生成エチレンのリサイクル,触媒の活性低下と再生を検討した。<br> LPG選択性は,触媒性能,反応温度,原料分圧および接触時間に依存した。原料分圧が高くなるほど,炭化水素生成物分布が広幅になった。エチレンは,H-ZSM-5触媒上ではメタノールおよび/ないしDMEとの組合せ反応によって,LPGに選択的に転化できた。LPGのプロセス選択性は,生成したC<sub>2</sub>成分を可能なリサイクル比で反応器に循環すれば,大幅に向上できることが明らかとなった。ただし,ワンスルーで良好なH-FeAlMFI-シリケート触媒はリサイクルモードでは能力が発揮できないことが判明した。活性の低下した両触媒とも適度の炭素燃焼処理によって,成分選択性を含めてうまく再生することができた。H-FeAlMFI-シリケート触媒は,H-ZSM-5に比べてわずかな活性低下におさまっており,またFeを骨格に導入することにより再生と反応の繰返しによる活性を抑えることができた。この触媒について観察される再生に伴う安定性の改善は強酸点の消失に起因すると推定した。<br> 以上,エチレンリサイクルモードでの使用を除くと,H-ZSM-5触媒よりもH-FeAlMFI-シリケート触媒がよい触媒であることが分かった。<br>
著者
津金 英雄 伊藤 克人 樋口 正元
出版者
一般社団法人 日本心身医学会
雑誌
心身医学 (ISSN:03850307)
巻号頁・発行日
vol.29, no.7, pp.661-665, 1989-12-01 (Released:2017-08-01)
被引用文献数
1

A male company employee, unmarried 46-year-old, had been engaged in computer related business for the past 26 years. Since March, 1986,when the merger of the company became an issue, he had not got enough time to sleep on account of the preparation for it. He was suffering from insomnia. At that time he was diagnosed as vegetative dystonia because anorexia and emotional irritability. He was given a tranquilizer.Toward the end of September in the same year, he was brought to the hospital of a medical college due to an attack of dyspnea and received emergency treatment. After that, he was referred to the department of psychiatry where he was treated for the diagnosis of depressive state.He was afflicted as ever, however, with such multiple symptoms as dyspnea, insomnia, night sweat, nausea, anorexia, anxiety, emotional irritability, loose idea, feeling of fatigue and so on. In April of 1987,he was treated at home for a whole month. At the beginning of May, he was allowed to work at a department which was unrelated to the computer, on favorable conditions that he was permitted to go to work late, go home early and do an easy work. In about a month, as his state promptly improved, he was returned to the ordinary work. At present, 10 months since then, he is working without any abnormality.In this case, his memorandum which is like a computer flow chart, his own personality and his clinical course were definitely characteristic. So he was considered as technostress syndrome (Techno-centered).
著者
荒金 英樹
出版者
日本静脈経腸栄養学会
雑誌
静脈経腸栄養 (ISSN:13444980)
巻号頁・発行日
vol.29, no.3, pp.851-856, 2014 (Released:2014-06-23)
参考文献数
6
被引用文献数
2

超高齢社会の到来に伴い食支援を必要とする高齢者は急増、多くの病院でその対策が急務とされている。当院では摂食量が少ない患者に対し独自に作成したアセスメントシートを利用し、多職種による食欲不振の原因の検討と介入を行っている。こうした要因の幾つかは病院だけで解決は難しく、中でも摂食・嚥下障害は地域での継続した支援が必要とされる。京都府、滋賀県で栄養サポート、摂食・嚥下障害に取り組まれている多職種が集い「京滋摂食・嚥下を考える会」が組織され、嚥下調整食の共通基準や摂食・嚥下連絡票を作成、地域での食支援の体制づくりの活動をしている。また、京料理や和菓子、茶、食器などの地元の食産業の協力を得ながら、一般市民へ介護食の理解を促し、介護食を食文化へと高める活動も行っている。こうした医療、介護の枠を越えた地域作りは、患者のみならず周囲の人々、地域のQOLを高める食支援に繋がると考える。
著者
金 英貴 金 智鉉
出版者
京都大学
雑誌
京都大学生涯教育学・図書館情報学研究 (ISSN:13471562)
巻号頁・発行日
vol.5, pp.103-125, 2006-03-31

本研究は日本の大学図書館で行っているアウトソーシングの現状および実態を調査し、大学の独立法人化によって波及される大学図書館の変化を把握することで、その対策を提案することが目的である。大学独立法人化の核心は競争原理で、教育・研究を通した大学間の競争を誘導し、国家財政の危機と学生数の減少に対して、競争原理に基づく効率的経営を行うということである。これにより、大学の裁量権は拡大される代わりに政府支援は縮小されるので、アウトソーシングによる経費の節減を追及するだろうし、これは人員の削減につながる可能性が非常に高い。したがって、このような環境の変化に対処するために、アウトソーシングの状況を分析し、大学が要求する教育・研究機能の強化と効率的経営に関して、図書館が考慮すべき事柄と方向性を提示した。
著者
柴田 隆浩 金 英俊 小山 純一 久保木 孝 村田 眞
出版者
一般社団法人 日本塑性加工学会
雑誌
塑性と加工 (ISSN:00381586)
巻号頁・発行日
vol.53, no.612, pp.64-68, 2012 (Released:2012-01-25)
参考文献数
8
被引用文献数
1

Recently, the adjustment of working conditions in a manufacturing process is indispensable for realizing manufacturing accuracy in the V bending of a sheet metal. This adjustment is called "Trial Processing", and is a factor for lowing productivity. Therefore, "Trial Processing Free", a method that can obtain accuracy within tolerance but without the adjustment, is required. In the V bending of a sheet metal, there are two types of bending process, i.e., (i) air bending and (ii) bottom bending, using two types of punch control, i.e., (a) stroke control and (b) force control. In this research, a series of analysis and experiments were carried out to clarify that (ii) bottom bending with (b) force control is most appropriate for achieving Trial Processing Free. It was also established that bottom bending at an appropriately controlled force can absorb the effect of uncontrollable factors such as the dispersion of thickness and material properties of sheet metals and bend sheets within a certain tolerance, because the bending angle is stable even in a very wide range of bending forces. This bending method with force control was called the "FCSS (Force Control to Sweet Spot) method" and the advantage of this new process was verified experimentally.