著者
中村 和雄
出版者
沖縄大学
雑誌
地域研究 (ISSN:18812082)
巻号頁・発行日
vol.1, pp.3-8, 2005-06-30

毎年、沖縄大学構内のホルトノキに集まって鳴くクマゼミの鳴き声の騒音レベルを知るため、大学構内の3箇所のホルトノキに集まるクマゼミのそれぞれに標識再捕法を適用した。 その結果、Bailey法によって推定された雄個体数は、7月上旬から増加し始めて、中旬にピークに達した後、減少して、8月上旬には終息した。鳴き声のレベルの季節変動は、クマゼミが集まる3箇所のうち2箇所でほぼ雄個体数の変動に近似したが、1箇所では雄がほとんど終息したはずの8月上〜中旬でも相当高いレベルが見られた。この違いは、個体数の推定は12-15時に行ったのに、鳴き声のレベルの測定は7-10時に行ったことに起因すると考えられる。すなわち、クマゼミの雄は朝と昼で集まる場所を変更している可能性が考えられる。 音源から距離を変えてレベルの変化を測定した結果、7m離れると音源の約半分のレベルに減少し、27mでは0になった。 以上のことから、沖縄大学構内に集まるクマゼミの鳴き声は、7月中の午前中は騒音レベルが高いが、20m以遠ではほとんど問題にならないことが予想される。今後、学生や周辺の住民がクマゼミの鳴き声をどの程度、騒音として感じているかを知る必要がある。