著者
溝口 正
出版者
大手前大学・大手前短期大学
雑誌
大手前大学論集 (ISSN:1882644X)
巻号頁・発行日
vol.8, pp.A157-A170, 2007

春季から夏季にかけて大手前大学の学生にアンケート調査を実施し摂取した野菜をその種類と共に集計した。実施期間は4月から7月に及ぶ78日間、調査に参加した学生数は延べ759名である。朝食、昼食、夕食の食事の際、1週間のすべての日数、または6日間野菜を摂取した学生は9L9%であった。摂取された植物、きのこおよび藻類は多岐にわたり、lll種類あって、その中には18種の葉類、6種の茎葉、4種の根類、12種の根茎(若茎、若芽、リン茎を含む)、6種のいも類、12種の豆類(種実を含む)、4種の花序(花穂、花らいを含む)、35種の果実(さやを含む)、9種のきのこ、5種の藻類が含まれている。最も摂食頻度の多かった野菜(頻度数)は順にレタス(1281)、トマト(1213)、ニンジン(1121)、キャベツ(1015)、かぼちゃ(625)、ねぎ(620)であった。野菜ジュースも摂取頻度が986であり多かった。上述の野菜はほとんどが両季節に区別なく摂取されているが、たまねぎ、ねぎなどは夏季に多食されていた。大手前大学学生の大部分は健康への配慮から野菜の摂取意識が非常に高く、かつ、実際に多種多用な野菜を摂取していることが明らかになった。
著者
丹羽 博之
出版者
大手前大学・大手前短期大学
雑誌
大手前大学論集 (ISSN:1882644X)
巻号頁・発行日
vol.9, pp.(19)-(28), 2008

元和十年秋、白楽天は江州司馬に左遷され、潯陽に下る。その地で、廬山の香炉峰の近くに草堂を構え、半隠の生活を送る。この草堂は綿密な計画の下に造営され、十分に満足のいくものであった。それは「草堂記」やその他の詩文から窺われる。第一章では、彼の草堂生活が五感を十分に満足させるものであったことを、視覚・聴覚・嗅覚・味覚・触覚に分類し、分析していく。特に人工的に池や泉を作り、魚を放ち白蓮を植え、さらには崖から筧を架けてその水滴を楽しむといった、手の込んだ趣向を凝らして楽しんだことを述べる。茶畑も作り、その茶や酒を味わい、琴の音楽や自然の音も楽しんでいる。第二章では、白楽天が草堂建設に当って、事前にどのように準備したかを詩文から探る。次に草堂建設にあたって経済的な裏付けも十分に有ったであろうことを考察する。第三章では、江州を去った後、白楽天が草堂を追憶した詩を考察する。