著者
藤井 ゆかり 伊勢野 薫
出版者
宮崎大学
雑誌
宮崎大学教育文化学部附属教育実践総合センター研究紀要 (ISSN:13478788)
巻号頁・発行日
vol.19, pp.119-133, 2011-03-31

中学生に苦手意識の高い長文読解について, 教育実習校の中学3年生を対象に, 「フレーズ・リーディング」と「セマンティック・マッピング」を組み合わせて, 新たな読解指導を試みた。 先行研究を行った上で, 対象生徒に長文読解について事前アンケートを行った結果, 長文問題に苦手意識のある生徒が半数を超えていることがわかった。 指導過程は, (1)導入(2)英文のリスニング(3)チャンクごとに区切りながらリピーティング(4)ペアで音読練習(5)マッピング(6)マッピングをもとに内容を日本語で説明(7)クローズ・テストで内容理解を確認(8)まとめ, という流れで行った。 この授業実践で, 「フレーズ・リーディング」と「セマンティック・マッピング」を用いて文の統語構造の理解へとつなげることができた。 主語と動詞を見つけ, チャンクごとの関係やつながりを線で結んで図式化することで, マッピングを見れば容易に統語構造が明らかとなる。 また,これをもとに日本語で説明することで, 英文の意味を直読直解することが可能となる。 対象生徒への事後アンケートでは, 9割以上の生徒から「長文問題を解くのに役立つと思う」という回答を得ることができた。
著者
菅 裕
出版者
宮崎大学
雑誌
宮崎大学教育文化学部附属教育実践総合センター研究紀要 (ISSN:13478788)
巻号頁・発行日
vol.20, pp.153-167, 2012-03-31

吹奏楽, 声楽, ピアノ, フルートの4名の熟練指導者に対して, 演奏表現に関する指導に焦点を当て, PAC分析に基づくインタビューを実施するとともに, レッスンまたは合奏指導場面をVTRに録画し, 指導内容及び指導方法についてカテゴリー分析を行った。その結果, 演奏表現指導において「適切な」あるいは「正しい」知識や技能を習得させることを重視する指導者は, 単純な指示・評価または近似値型隠喩的指導が比較的多く用いているのに対し, 生徒自身の理解に基づく主体的な表現を重視する指導者は, 想像型隠喩的指導を多く用いる傾向が見られた。This research focused on strategies for teaching musical expression used by four expert instructors of a symphonic band, vocal music, piano, and flute. I interviewed them based on PAC analysis, videotaped their instruction and made a category analysis of their contents and method of teaching musical expression. In the result, the instructors who value to make students acquire adequate or right knowledge and skill tend to use simple prescription, simple feedback and approximating type of metaphor. The instructors who value students' independent minded musical expression based on their understanding of music tend to use imaginary type of metaphor.