著者
石関 沙代子 足立 吉數 鈴木 優香 小針 大助 安江 健 金澤 卓弥 青柳 陽介 阿部 由紀子 秋葉 正人 楠本 正博
出版者
日本家畜衛生学会
雑誌
家畜衛生学雑誌 (ISSN:13476602)
巻号頁・発行日
vol.39, no.3, pp.85-90, 2013-11

子牛の消化器病で大腸菌感染症は重要な感染症であり、特に哺乳中の子牛で大きな経済的な被害が発生している。Escherichia属は数種の菌種からなっているが、動物で重要な病原体はE. coliのみである。この菌種は子犬、子豚、子牛、子馬、子羊の敗血症の原因になっている。そして、すべての動物で日和見感染の原因菌とも考えられている。われわれは、腸管接着性微絨毛消滅性大腸菌が子牛の腸管上皮細胞に定着する仕方に2種類あることを示唆してきた。しかし、血縁関係にある子牛の下痢についてはよく知られていない。今回、農学部附属フィルドサイエンスセンター(FSC)で発生した哺乳子牛の消化器疾患が他の農場との交流がない閉鎖空間で発生したこと、および特定の血縁関係にある牛群において2002年から斃死する子牛が認められ、2012年まで続いていることから死因を調査し対策を講じることを目的に調査研究を行った。
著者
田中 康男 長田 隆 代永 道裕 山下 恭広 荻野 暁史
出版者
日本家畜衛生学会
雑誌
家畜衛生学雑誌 (ISSN:13476602)
巻号頁・発行日
vol.38, no.4, pp.157-163, 2013-02

豚死体からの腐敗臭気の発生経過と成分特性把握を目的とした基礎的検討を行った。この結果、半導体式臭気センサーの測定値(臭気レベル)、臭気強度および臭気不快度は、腐敗開始後約一週間でピークに達し、その後急激に低下した。臭気成分としては、アンモニア、メチルメルカプタン、硫化水素、硫化メチル、二硫化メチル、トリメチルアミン、ノルマル酪酸が検出された。臭気成分の内、アンモニア、二硫化メチル、トリメチルアミンは腐敗死体に消石灰を散布することで若干上昇したが、メチルメルカプタン、硫化水素、硫化メチルは散布により顕著に低下した。この結果より、腐敗臭気は消石灰を散布した時点で特性が変化することが示唆された。一方、臭気指数については、消石灰の散布前後でほとんど差が無かった。消石灰散布状態で腐敗した場合と散布せずに腐敗した場合を比較すると、前者の方が臭気発生ピークの出現が遅くなり、しかもピーク高が低くなった。このことから、消石灰散布は、臭気を抑制した可能性が示唆された。臭気センサーで測定した臭気レベルは、官能的な臭気の指標である臭気強度・臭気不快度と有意な相関関係のあることが示唆された。よって、迅速かつ経時的な腐敗臭モニタリングに臭気センサーが有効な可能性がある。