著者
福島 正明 伊部 英紀 若井 慶治 杉山 英一 安部 裕宣 呉 倍莉 北川 希代彦 鶴賀 重徳 志村 勝美 小野 栄一
出版者
一般社団法人 廃棄物資源循環学会
雑誌
廃棄物資源循環学会論文誌 = Journal of the Japan Society of Material Cycles and Waste Management (ISSN:18835856)
巻号頁・発行日
vol.22, no.3, pp.178-189, 2011-05-31
参考文献数
19
被引用文献数
2

一般市民から資源ごみとして出される使用済みプラスチック製容器包装の熱分解油化技術において,ポリ塩化ビニル (PVC) 等の塩素含有プラスチックの熱分解によって脱離する塩素の効率的処理が,再生製品の品質改善の課題となっている。本研究では二軸押出機方式による脱塩素の滞留時間が短いことに着目し,一軸押出機を使用した脱塩装置の開発を行い,一軸押出機は二軸押出機と同様に脱塩素率が高く,脱塩素時間 (滞留時間) も短いという結果を得た。<BR>本実験結果を基に10倍にスケールアップした一軸押出機 (脱塩装置) を使用した商用熱分解油化プラントを2000年北海道札幌市東区中沼町に建設し,2009年度で運転10年目を迎えている。使用済みプラスチック製容器包装油化リサイクルにおける脱塩素技術の開発成果を報告する。
著者
岡野 多門 安本 幹
出版者
一般社団法人 廃棄物資源循環学会
雑誌
廃棄物資源循環学会論文誌 = Journal of the Japan Society of Material Cycles and Waste Management (ISSN:18835856)
巻号頁・発行日
vol.24, no.5, pp.97-104, 2013-09-30
参考文献数
16

海岸に漂着する医療や衛生用品ごみは感染の危険だけでなく,見た人に強い嫌悪感を与える。その投棄実態を知るために,アジア地域の海流の下流に位置する鳥取県で毎月の漂着数を調べた。医療用瓶と注射器の年間平均漂着数は24.5個/(hm・y) で,中国由来が大半で,日本と朝鮮半島由来は少ない。しかし浣腸や痔薬容器,タンポンアプリケーターの大半は日本由来で,合計は2.5個/(hm・y) で,これは日本文字のあるライターの値と大きく相違しない。漂着数/消費数を漂着からみた投棄率とするなら,浣腸とタンポンの投棄率はペットボトルや栄養ドリンク瓶の投棄率と同程度である。これは屋内消費の医療衛生用品ごみが,あえて屋外に持ち出されて投棄されていることを示す。これは投棄者の責任であるが,在宅医療廃棄物と一般家庭の衛生用品ごみの収集体制の相違にも起因する。このように漂着量や投棄率は隠れた投棄の防止策を考える上で重要である。
著者
岡野 多門 安本 幹 安東 重樹
出版者
Japan Society of Material Cycles and Waste Management
雑誌
廃棄物資源循環学会論文誌 = Journal of the Japan Society of Material Cycles and Waste Management (ISSN:18835856)
巻号頁・発行日
vol.21, no.6, pp.226-235, 2010-11-30
参考文献数
27
被引用文献数
7 4

海洋浮遊ごみの多くが陸上から流出しているといわれるがそれを分析的に証明した例はない。ここでは台風が多く襲来した2004年と台風の影響がなかった2008年の鳥取県の海浜ごみを比較し,河川から流出したごみの海浜への影響を検討した。2004年5月から12月までの海浜ごみ数は2008年の約1.7倍であるが,これらの台風は中国・台湾由来物を減らし,由来地域不明物と日本由来物を増加させた。8~9月期の台風の降雨は少なかったが,河川から多くの飲料容器が流出し,河口近傍の海浜に漂着した。河口遠方では砂中に埋没していた小型高比重ごみが高波によって洗い出された。10~11月期の台風は豪雨を伴ったが海浜ごみの総数は8~9月期と同程度であり,河川由来ごみは河口からの流出水によって遠方の海岸まで達した。夏期の少雨台風に比べて秋台風では農薬容器や界面活性剤容器が多く,飲料容器とこれらの放置場所に偏りのあることがわかる。
著者
吉田 友美
出版者
Japan Society of Material Cycles and Waste Management
雑誌
廃棄物資源循環学会論文誌 = Journal of the Japan Society of Material Cycles and Waste Management (ISSN:18835856)
巻号頁・発行日
vol.20, no.5, pp.332-341, 2009-09-25
被引用文献数
1

本研究では,紙パックリサイクル行動の社会的便益を,個人トラベルコスト法 (ITCM) を用いて推計するとともに,人々が自発的に紙パックリサイクル行動を行う要因について,カウントデータモデルを用いて分析した。結果として,人々のリサイクル行動の頻度は,社会的責任感の大きさ,社会規範の高さ,紙パック回収箱までの移動コストによって決まり,女性のほうが男性よりもリサイクル行動を行う傾向にあることがわかった。これにより,環境配慮に要する費用を削減することで,人々の行動をより環境配慮型のものへと導く可能性を示すことができた。また,紙パックを1kgリサイクルすることによる消費者余剰は,234.79円であることがわかった。