著者
加藤 直樹 安達 彰裕
出版者
公益社団法人日本オペレーションズ・リサーチ学会
雑誌
日本オペレーションズ リサーチ学会論文誌 (ISSN:04534514)
巻号頁・発行日
vol.32, no.3, pp.390-406, 1989-09
被引用文献数
1

本論文ではスポーツの団体戦における勝敗決定方法として採用されている勝ち抜き戦及ぴせんめつ戦においてチームの勝利確率が選手の出場順序に依存しないための必要十分条件をある種の確率モデルの下で導く。本論文では選手1と選手2が引き分けの無い試合を行うとき、1と2それぞれが固有の「強さ」を表す非負の実数aとb(少なくとも一方は零でない)を持ち、1が2に勝つ確率がp(a、b)で与えられるものとする。この仮定の下でAチームとBチームが勝ち抜き戦またはせんめつ戦によって団体戦を行うとき、AチームがBチームに勝つ確率が、Aチーム及びBチームの選手の出場順序によらず一定であるための必要十分条件を示す。そして、その必要十分条件の下では、勝ち抜き戦で勝つ確率はせんめつ戦で勝つ確率と等しいことを示す。さらに、従来スポーツの勝敗の確率モデルとしてよく用いられてきたBradley-Terryモデル(すなわちp(a、b)=a/(a+b))はこの必要十分条件を満たすことを示す。最後に、関数p(a、b)に関するゆるい仮定の下で、その必要十分条件を満たすのは、p(a、b)=f(a)/(f(a)+f(b))に限ることを示す。ここでf(a)はf(0)=0を満たす任意の単調増加関数である。
著者
大沢 義明 鈴木 敦夫
出版者
公益社団法人日本オペレーションズ・リサーチ学会
雑誌
日本オペレーションズ リサーチ学会論文誌 (ISSN:04534514)
巻号頁・発行日
vol.30, no.3, pp.368-395, 1987-09
被引用文献数
2

本研究では、最近研究されてきた計算幾何学の一分野である地理的最適化問題の手法を用い、グループ利用施設の最適配置問題について、都市施設計画という見地から考察を加える。グループ利用施設とは、会議室、結婚式場、テニスコートのように、"複数地点の利用者から成るグループ"と"施設"とが対応するような施設で、その配置問題は、"一地点の利用者"と"施設"との対応に注目した既存の配置問題とは、根本的に異なる。本研究では、まず第一に、グループの移動費用が距離の二乗和に比例する場合、グループ利用施設の最適配置問題が地理的最適化問題に帰着することを示す。第二に、グループ利用施設の最適配置の特徴とその頑健性について論じる。具体的には、単位正方形上での一様な人口分布と、現実の都市地域での人口分布(宇都宮市、日立市、諏訪地区)とを考え、地理的最適化問題の解法プログラムを用いて、最適配置などの計算を行う。そして、数値結果から、グループ利用施設の最適配置では、施設が中央に集中するという事実を例証する。さらに、"アクセシビリティ"、"施設容量"という二つの観点から、グループ利用施設の最適配置のグループ構成人数に関する頑健性について考察を加える。