著者
岡田 克彦 羽室 行信 加藤 直樹
出版者
関西学院大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2013-04-01

本研究では、ニュースデータ、ブログデータ、SNSなどのソーシャルデータを大規模に収集し、それらがどの銘柄について語っているものなのかを自然言語処理の諸技術を用いてデータベース化した。この結果、全上場企業約3600社それぞれについて、ニュースおよびソーシャルメディアの情報を紐付けていることになる。次に、市場に流れるコメントやニュースについて、ポジティブな文脈で語られているのか、あるいはネガティブなのかについて、評価表現辞書を作成することでスコアリングした。こうして作成した指標をセンチメント指数として時系列で捉え、金融市場における様々なアノマリー現象と、センチメント指数との関連性を明らかにした。
著者
坂東 宏和 杉崎 知子 加藤 直樹 澤田 伸一 中川 正樹
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.43, no.3, pp.804-814, 2002-03-15
被引用文献数
13

本論文では,一般的な教室環境における黒板の発展型として対話型電子白板を設置した環境を想定し,対話型電子白板上に複数の専用電子教材を起動し,それらのウインドウ領域にまたがって,かつ,それら電子教材の実行と並行して画面全体へ自由に板書が行える機能を提供する電子黒板ミドルウェアの基本構成について述べる.さらに,本ミドルウェア上で動作しているすべての電子教材の実行状態を一括して保存する機能や,一括してスクロールする機能などの,情報化の利点をより簡便に活かすための付加機能も提案する.従来のデスクトップ環境では,黒板のように画面全体への自由な板書を行うことはできない.画面全体に手書きで描画できるようにするソフトウェアも開発されているが,既存のソフトウェアでは板書内容を表示したまま起動されている他のソフトウェアに対する操作をしたり,動画表示を行ったりすることができなかった.そこで,本論文ではこれらの問題をミドルウェアレベルで解決する方法を提案するものである.また,一斉授業の中で利用しやすい電子教材を開発するための方針を明確化し,その方針に従って設計した複数の専用電子教材の試作例を提示する.このミドルウェアと専用電子教材を教育現場で試用したところ,電子教材と板書を組み合わせることで,従来の教室環境で教師が培ってきた授業経験と情報化による利点の両方を活かした授業が実現できることが示唆された.This paper presents a middleware architecture for an electronic whiteboard so that the user can run multiple educational applications on it, while being able to draw and make annotations on the whiteboard at the same time. On conventional desktop environments, one can draw lines or make annotations within a single window but cannot do so over multiple windows across a whole screen. Although some softwares allow the user to draw lines over the snapshots of multiple applications across a whole screen, it disables each application to accept users control or to change its display dynamically while showing drawn lines. The middleware we propose does not suffer from such restrictions. Moreover, it also provides features such as freezing the execution of education applications at any time and saving the state of each application so that their execution can be resumed from the saved state at a later time; and scrolling the windows of all the running applications collectively. We also propose guidelines to design educational applications running on the electronic whiteboard, and describe some experimental applications developed according to these guidelines. The experimental use of the system in actual classes suggests that the middleware is quite useful for classroom teaching.
著者
風間 信也 加藤 直樹 中川 正樹
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.35, no.7, pp.1457-1468, 1994-07-15
被引用文献数
4

本論文は、新しい入カインタフェースであるペンと表示一体型タブレットを採用し、ユーザの発想支援を目標に、これまでの計算機を用いた作図手法とは異なり、従来の紙上での作図に近い直感的な作図操作を行える環境について、またその評価のための予備実験の結果について述べる。われわれは、ペン入力の良さは特に次の点にあると考える。(1)ペンの操作に意識を払う必要がない分、思考に集中できる。(2)図や文章を書くときにペンを持ち替えなくても済み、思考の継続を妨害しない。以上のことから、特別な訓練や意識を払う必要がなく、従来から人間が慣れ親しんだ紙上での作図を計算機支援する可能性を実験することにした。本システムでは次の作図環境を提供する。(1)下書き用の画面に対しフリーハンドで書きたいものを自由に書く。(2)下書き用の画面の上に清書用の画面を仮想的に重ね、整形したい対象に対して文房具メタファという仮想的な文房具を用いて整形を行う。これにより、手本の清書になりがちだった従来の計算織上での作図操作に比べ、本システムでは発想の段階からユーザを支援できる。この手書き作図システムをユーザに使用してもらい、その使い勝手について調査した。そして、その結果から、文房具メタファを用いた手書き作図システムの有効性と問題点を考察した。
著者
加藤 直樹 徳岡 昌文 篠原 靖智 小山 泰二 長田 裕之
出版者
日本マイコトキシン学会
雑誌
マイコトキシン (ISSN:02851466)
巻号頁・発行日
vol.64, no.2, pp.197-206, 2014-07-31 (Released:2014-10-15)
参考文献数
36
被引用文献数
1

麹菌Aspergillus oryzaeは我が国の伝統的な発酵食品の生産には欠かせない微生物であり,長い年月をかけた育種により,その安全性が確立されている.本菌はアフラトキシン生産菌A. flavusから派生した家畜種と考えられており,その進化的な近縁関係は両種のゲノム解読によっても裏付けられている.我々人類にとって対極とも言える両種の決定的な相違点として,二次代謝産物生産能を挙げることが出来る.両種のゲノム中には共通して多数の二次代謝系遺伝子が存在しているにも関わらず,A. oryzaeは一切,アフラトキシンを生産せず,報告のある二次代謝産物もごく少数である.生合成に関わる遺伝子の変異や欠損,転写抑制といった遺伝的要因の蓄積によるマイコトキシン生産能の喪失は,A. oryzaeがA. flavusから家畜化して生じた種であるという概念によく合致している.そういったA. oryzaeにおけるマイコトキシン生産を回避するための遺伝的要因「セーフガード」に焦点を当て,我々が最近明らかにしたシクロピアゾン酸(CPA)生産に対するセーフガードを中心に解説する.小胞体Ca2+-ATPaseに対する強力な阻害物質であるCPAはA. oryzaeの一部の菌株における生産が報告されている.その生合成遺伝子クラスターには,A. flavusでは欠失している遺伝子が含まれている.一見すると従来の家畜化の概念とは相反する現象ではあるが,種々の解析の結果,その遺伝子はCPAを2-オキソCPAに変換することで毒性を和らげる役割を担っていることが明らかとなった.麹菌ゲノム中には,その安全性を担保するための様々な遺伝要因が蓄積していることが改めて示唆された.
著者
及川 浩和 加藤 直樹
出版者
日本教育情報学会
雑誌
教育情報研究 : 日本教育情報学会学会誌 (ISSN:09126732)
巻号頁・発行日
vol.25, no.2, pp.31-37, 2009-09-15

日本語を学ぶために別科に入学した中国人留学生を対象として,コンピュータの漢字変換機能に着目し,正確な読みの指導を中心とした読解・聴解能力を育てるための5つの学習活動を取り入れた日本語学習指導法を提案する.第I報では,コンピュータに対する不安度,読みの誤り,文字を手がかりにした意味の理解度について実態調査を行い,学習が成立するための基礎資料とし,学習プロセスモデルを構築するまでの過程を述べた.本稿では構築した学習プロセスモデルにおける学習状況を明らかにするため,これまでに授業実践した結果と評価について述べる.授業実践の結果,漢字変換機能を活用した学習には成果が見られ,学習者にとってこの学習活動は肯定的に受け止められた.
著者
及川 浩和 加藤 直樹
出版者
日本教育情報学会
雑誌
年会論文集
巻号頁・発行日
no.24, pp.256-257, 2008-08-19

日本語を学ぶために別科に入学した中国人留学生を対象として,コンピュータの漢字変換機能に着目し,正確な読みの指導を中心とした読解・聴解能力を育てるための5つの学習活動を取り入れた日本語学習指導法を開発した.学習プロセスモデルに基づき授業実践した結果,漢字変換機能を活用した学習には一定の成果が得られ,学習者にはこの学習活動に対し肯定的な意見が多く聞かれた.
著者
宮本 英里 加藤 直樹
雑誌
研究報告ヒューマンコンピュータインタラクション(HCI)
巻号頁・発行日
vol.2011, no.2, pp.1-6, 2011-07-21

これから向かう目的地周辺の情報取得方法は,メールや電話,web 検索や地域情報提供サービスの利用がある.しかしこれらは,検索に時間がかかることや、沢山の情報の中から欲しい情報を取捨選択する必要があること,そもそも有用な情報があるか分からないという問題点がある.本稿では,これらの問題点を考慮し,目的地のリアルタイムな情報取得をスムーズにするために,欲しい情報に対する質問をツイートすると同時に,地図上で目的地を指定することで,今その場所にいる人々に質問を投げかけることのできる Twitter をベースとしたクライアントソフトウェアを提案する.指定した地域に現在いるユーザに限定してツイートを送ることで,検索する時間や手間が省けることはもちろん,自分の欲しい情報を得られる可能性が高くなり,情報の信頼性,正確さも増すと考えられる.この情報交換を通して緩い繋がりが発生し,最終的には地域を越えたコミュニケーションの促進が期待される.As the existing way of taking information near destination where people going from now on, there are e-mail, phone, the use of web search, and local information services. However, there are problem that taking a lot of time to search, need to choice appropriate it from plenty of information, and it is not clear that whether useful information exit. For covering these problems and make it possible to obtain information smoothly, this paper proposes client software based on Twitter. Using this software, user can ask a person existing destination now. How to use this software is to tweet the question for you want to know and designating one's destination on map. By sending a tweet is limited to users who are currently in the specified region, it can save user's time and effort to find, but also increases the possibility of obtaining the information they want, and the reliability and accuracy of the information increase. Loose connection occurs through the exchange of this information, and ultimately is expected to promote communication beyond the area.
著者
加藤 直樹 村瀬 康一郎 益子 典文 松原 正也 伊藤 宗親 興戸 律子
出版者
岐阜大学
雑誌
萌芽研究
巻号頁・発行日
2004

情報通信手段を活用した学校改善のための課題解決方略を,高等教育の取組を事例として検討し,より一般的な教育改善に対する教育経営工学の枠組みを検討した。このために,高等教育の取組として,岐阜大学の教育経営戦略について新たに調査分析を行い,学校教育でのこれまでの調査結果と比較検討して,教育改善を効果的に推進するための方略を検討した。具体的には,以下のように実施した。(1)高等教育における情報通信手段を活用した戦略的な取り組みについての調査分析とくに,教育改善の視点から導入された情報通信手段を中核にして検討し,学生や教員等の意識の変容等についての調査を試み,とくに学生からの取組期待が高く,指導者側の意識改革が肝要となることを指摘した。(2)教育課題に対して,情報通信手段に対する利用実態と期待の分析高等教育での取組は,組織的な教育改善と情報通信手段の位置づけ,及び具体的な方略を分析し,総合的な教育改善を支援するシステムとしての重要性が増していることがしてきされた。さらに,学校教育への適用の可能性について検討し,過去の取組経緯と照らしてCMIの取組を近年の情報通信技術の進展に対応させて検討する枠組みの構成が重要となることを示した。(3)情報通信手段の活用による教育改善の方略のための経営的モデルの検討情報通信手段は,情報共有,組織構成員及び関係者のコミュニケーションなどを支援する手法として活用されるが,学校教育における従来からの取組は基本的な枠組に大きな変化はないことから,過去の事例を「課題解決型の学校経営に関する教育工学的アプローチの開発」として研究資料に整理した。
著者
永野 和男 園屋 高志 加藤 直樹 村瀬 康一郎 近藤 勲 生田 孝至
出版者
静岡大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
1995

本研究の目的は,(1)企業等の協力あるいは教師や研究グループによる自主的な活動により各地で多数試行されている「ネットワークを利用したマルチメディア情報通信を学校教育に活用する種々のプロジェクト」の動向を把握し,適切に評価することにより,今後の教育実践及び必要な条件等に関して指針を与える。(2)これまで蓄積されてきた教育情報を相互に利用できるような仕組みを開発し,マルチメディアを中心とした教育情報の組織的な流通の促進を支援する。(3)マルチメディア及び情報通信を用いた教育実践の評価の枠組みと学習の評価の枠組みを作成し,それによる評価分析により,今後の教育実践のあり方等に関する指針を示す。ことである。平成8年度は,前年度と同様,分担者を(A)小・中学校におけるマルチメディア利用・ネットワーク利用の実践に関する試行および調査検討(B)教師支援のためのマルチメディア利用・ネットワーク利用の実践に関する試行および調査検討(C)マルチメディア・ネットワーク利用に関する教育的意義と評価方法の検討の3つのグループにわけて研究を進めた。(A)班では,遠隔共同学習,メディアキッズなど先進的な事例について,経過,成果の調査,問題点の検討をもとに,インターネットで実践できるカリキュラムのモデルとして「野菜・果物データベース」とその教材を開発し,実践してその実用性を評価した。さらに,これまで提供されてきたインターネットホームページを整備し,体験版のCD-ROMを作成して,実践校などに配布,啓蒙活動を進めた。(B)班では,前年度に,蓄積された教育情報(学習素材,メディア教材など)を各大学や各教育センターなどで利用できるように条件整備を図りながら、その教育利用の方法,成果についての実態調査を進めた。(C)班では,昨年に引き続き,Internet 100枚プロジェクトの課題研究,共同学習を中心に,経過,成果を追跡調査,技術的問題点,教師の意識の変容,教員養成の方法などを明らかにした。これらの成果は,最終報告書にまとめると同時に,文部省などに対して,今後進めるべき具体的政策を提言した。
著者
一森 哲男 加藤 直樹
出版者
一般社団法人 日本応用数理学会
雑誌
日本応用数理学会論文誌 (ISSN:24240982)
巻号頁・発行日
vol.8, no.3, pp.389-404, 1998-09-15 (Released:2017-04-08)
参考文献数
10

This paper treats an allocation of a fixed amount of discrete resources to a set of activities so that the performances of activities resulted from the allocation are balanced as much as possible. However, the perfect balanced allocation is not possible, in general, due to the discreteness of resources. So, our aim is to minimize imbalance among the performances. We consider the variance of the performances among activities as a measure of the imbalance. Thus, our problem is formulated as a minimum-variance resource allocation problem. We propose a branch-and-bound algorithm whose experimental computer program was run on 12, 000 examples.
著者
及川 浩和 加藤 直樹
出版者
日本教育情報学会
雑誌
教育情報研究 (ISSN:09126732)
巻号頁・発行日
vol.25, no.2, pp.31-37, 2009-09-15 (Released:2017-03-31)
参考文献数
6

日本語を学ぶために別科に入学した中国人留学生を対象として,コンピュータの漢字変換機能に着目し,正確な読みの指導を中心とした読解・聴解能力を育てるための5つの学習活動を取り入れた日本語学習指導法を提案する.第I報では,コンピュータに対する不安度,読みの誤り,文字を手がかりにした意味の理解度について実態調査を行い,学習が成立するための基礎資料とし,学習プロセスモデルを構築するまでの過程を述べた.本稿では構築した学習プロセスモデルにおける学習状況を明らかにするため,これまでに授業実践した結果と評価について述べる.授業実践の結果,漢字変換機能を活用した学習には成果が見られ,学習者にとってこの学習活動は肯定的に受け止められた.
著者
笹嶋 宗彦 石橋 健 山本 岳洋 加藤 直樹
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第37回 (2023) (ISSN:27587347)
巻号頁・発行日
pp.1N4GS1003, 2023 (Released:2023-07-10)

兵庫県立大学社会情報科学部では,実践力のあるデータサイエンティストの育成を目標に,学部1年生,2年生を対象として,連携企業の実データを用いた課題解決型演習(PBL)を実施しており,今年で4年目となる.本学部が育成を目指すデータサイエンティストとは,ITスキルと統計学の知識を用いてデータを分析する力だけではなく,実社会の課題を定式化し必要なデータを収集する力や,分析の結果を用いて社会をよくする提案が出来る社会実装力を備えた人材である.低学年はデータ分析力が低いが,ツールを利用して実データを分析し,実店舗へ向けた販売施策を提案する過程を体験することで,経営を改善することへの興味を持たせることや,データだけでなく現場を見て考えることの重要性を学ばせることを狙いとしている.2019年の学部創設以来1年生向けのPBLを4回実施し,今年度は新しい試みとして,実習対象となる店舗を1店舗に限定して実施した.事後に学生アンケートを取ることで,演習を評価した.本稿では,2022年度実施したPBL演習の概要と,これまでのPBL演習を通じて得られた,実データを利用するPBLの長所と課題について述べる.
著者
坂井 明日香 丸橋 弘明 羽室 行信 笹嶋 宗彦 加藤 直樹 宇野 毅明
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会論文誌 (ISSN:13460714)
巻号頁・発行日
vol.36, no.1, pp.WI2-I_1-12, 2021-01-01 (Released:2021-01-01)
参考文献数
12

Recently, data-driven sales management is widely recognized and sales at the real super-market is not the exception. For designing such strategies, first of all, we have to analyze consumers’ behavior. However, such an analysis is difficult, especially for the managers of the real shops, since they only have customers’ data of their own shops. Generally, the customers buy things not only from the managers’ shops but also other shops. The goal of this research is to develop a general method to transfer sales promotion strategy, derived from analysis on wide area, to local real shop. The authors analyzed such consumers’ characteristics who buy olive oils in Kansai region. For the analysis, we used QPR(Quick Purchase Report system, developed and managed by MACROMILL, Inc). Firstly, we divided the consumers on the QPR into five clusters, according to the simultaneous buying pattern. Then, we analyzed each of the clusters and found some emerging patterns of the purchasing behavior. Observing the patterns, we designed a marketing strategy for the real shop in Hyogo prefecture belonging Kansai district. Finally, we carried out an experiment at the shop to evaluate whether the strategy promotes the sales of the olive oil or not for six weeks. The result of the experiment showed that the marketing strategy is effective in one view. At the same time, we learned many lessons from the research, especially difficulty of the evaluation at the real shop.
著者
笹嶋 宗彦 石橋 健 山本 岳洋 加藤 直樹
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第36回 (2022)
巻号頁・発行日
pp.1I1OS601, 2022 (Released:2022-07-11)

兵庫県立大学社会情報科学部では,実践力のあるデータサイエンティストの育成を目標に,学部1年生,2年生を対象として,連携企業の実データを用いた課題解決型演習(PBL)を実施している.本学部が育成を目指すデータサイエンティストとは,ITスキルを用いてデータを分析する力だけではなく,実社会において課題を発見・定式化し必要なデータを収集する力や,分析の結果を用いて社会をよくする提案が出来る社会実装力を備えた人材である.低学年は,データ分析力も,ITスキルも持っていないが,スキルに合ったやり方でデータを分析し,実店舗へ向けた販売施策を提案する過程を体験することで,経営を改善することへの興味を持たせることや,データだけでなく,現場を見て考えることの重要性を学ばせることを狙いとしている.2019年の学部創設以来,1年生向けのPBLを3回,2年生向けを2回実施し,それぞれ事後に学生アンケートを取ることで,演習を評価してきた.本稿では,今年度実施したPBL演習の概要と,これまでのPBL演習を通じて得られた,実データを利用するPBLの長所と課題について述べる.
著者
加藤 直樹 村瀬 康一郎 松原 正也 興戸 律子 日比 光治 山崎 宣次
出版者
日本教育情報学会
雑誌
年会論文集
巻号頁・発行日
no.27, pp.332-333, 2011

岐阜大学の教育清報データベースSIS-TEMにおける教育情報資産を継承するとともにコンテンツ共有を可能とするシステムを「実践の智DB」として開発している。本研究では,このコンテンツ共有機能を具現化するためのスマートフォルダについて検討し,コンテンツの登録に加えて,相互参照のための検索条件を設定したフォルダ機能,相互のコメント等の登録と検索への反映などに関する機能について報告する。
著者
加藤 直樹 安達 彰裕
出版者
公益社団法人日本オペレーションズ・リサーチ学会
雑誌
日本オペレーションズ リサーチ学会論文誌 (ISSN:04534514)
巻号頁・発行日
vol.32, no.3, pp.390-406, 1989-09
被引用文献数
1

本論文ではスポーツの団体戦における勝敗決定方法として採用されている勝ち抜き戦及ぴせんめつ戦においてチームの勝利確率が選手の出場順序に依存しないための必要十分条件をある種の確率モデルの下で導く。本論文では選手1と選手2が引き分けの無い試合を行うとき、1と2それぞれが固有の「強さ」を表す非負の実数aとb(少なくとも一方は零でない)を持ち、1が2に勝つ確率がp(a、b)で与えられるものとする。この仮定の下でAチームとBチームが勝ち抜き戦またはせんめつ戦によって団体戦を行うとき、AチームがBチームに勝つ確率が、Aチーム及びBチームの選手の出場順序によらず一定であるための必要十分条件を示す。そして、その必要十分条件の下では、勝ち抜き戦で勝つ確率はせんめつ戦で勝つ確率と等しいことを示す。さらに、従来スポーツの勝敗の確率モデルとしてよく用いられてきたBradley-Terryモデル(すなわちp(a、b)=a/(a+b))はこの必要十分条件を満たすことを示す。最後に、関数p(a、b)に関するゆるい仮定の下で、その必要十分条件を満たすのは、p(a、b)=f(a)/(f(a)+f(b))に限ることを示す。ここでf(a)はf(0)=0を満たす任意の単調増加関数である。
著者
加藤 直樹 高野 真希子 木田 哲量 近藤 勉 今野 誠 須藤 誠 加藤 清志
出版者
日本学術会議 「機械工学委員会・土木工学・建築学委員会合同IUTAM分科会」
雑誌
理論応用力学講演会 講演論文集
巻号頁・発行日
vol.59, pp.196, 2010

滑走路や高速道路舗装に使用されているようなコンクリート平版が弾性基礎上にある場合、半無限ばりの解析では、従来はその変形および曲げモーメント分布は単純な逆ベル形であったが、本研究によれば減衰部に極性の交番する変形が発生することが明らかになった。この事実は設計にあたり、単純曲げではなく曲げ疲労強度を考慮すべきことを示唆してる。そこで本報告は、半無限舗装版に車輪型点荷重を受ける場合、コンクリート版に引張ひび割れが発生する実状にかんがみ、地盤反力係数(地盤安定処理の程度)と応力やたわみを2000~3000m超という長手方向版長Lに対し、幅員B=100m程度でB/L=1/20~1/30を考慮し、はりにモデル化して解析を進めた。なお、幅員方向応力分担能をはり状に仮定し、版厚の影響についても考察した。また、応力解析にあたり、とくに目地なし半無限版を想定し、たわみ、曲げモーメント、地盤係数等の相関関係を総合的に考察し、舗装版設計上の限界特性値や地盤安定処理についての指針を明らかにし、両振り曲げ疲労対策としての高強度筋使用と鉄筋法の提案を行ったものである。
著者
笹嶋 宗彦 加藤 直樹 丸橋 弘明 羽室 行信
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第34回全国大会(2020)
巻号頁・発行日
pp.4K3GS304, 2020 (Released:2020-06-19)

データサイエンス教育においては,プログラミング技術や統計学知識などのデータ分析力だけでなく,社会の現場から問題を見つけ出す課題発見力や,分析の結果を現場に浸透させて改善する社会実装力の重要性を学ばせることが必要である.兵庫県立大学社会情報科学部では,これらデータサイエンティストが備えるべきスキルを実践的に学ばせるために,企業と連携して,実際のデータを用いた課題解決型演習を,学部1年生から必修科目として取り入れている.2019年度入学の一期生101名を対象としてPBL演習を実施し,事後アンケートを取ることで,学生からの主観評価を得た.その結果,自分自身がデータサイエンティストとして社会活動していく上での課題や,本人の持つスキルのバランスなど,様々な気づきを学生に与えることができた.他方,PBL演習の運営については,初めての試みでもあり,様々な知見が得られた.